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「私たちに何ができるのか?」12年目の新たな挑戦 ーフローレンスの被災地支援

「私たちに何ができるのか?」12年目の新たな挑戦 ーフローレンスの被災地支援

#障害児・医療的ケア児家庭支援 #保育園こども食堂 #仙台 #寄付

今年も3月11日がきました。

甚大な被害をもたらし、かけがえのない命を奪い、多くの人生に影響を与えた東日本大震災。12年経った今なお、つらい状況に置かれている人がいます。

一方で、被災地に飛び込み、支援活動をする中でその後の生き方を変えた人がいます。仕事や家族など様々な理由で被災地に行けない人は、何か自分にできることはないかと模索し、物資の支援や寄付という形での支援をしました。

2011年は、世界の人々が被災地に心を寄せ、行動を起こした年でもありました。

西行戻しの松公園より松島を望む
西行戻しの松公園より松島を望む

「今、目の前にいる親子に笑顔を届けるために、フローレンスは何ができるのか?」

それはフローレンスが常に問い続け、活動してきた歴史であり、フローレンスの被災地での復興支援の形でもあります。

12年目の今日、フローレンスの走り続けてきた復興支援の軌跡を辿るとともに、仙台での新たな挑戦をご紹介します。

震災発生直後から、ニーズに応える支援を提供

当時、東京の飯田橋にオフィスがあったフローレンスでも、「何かできることはないか」と模索し、震災直後から東京と東北で様々な支援活動を行ってきました。

東京では、被災地から避難してきた妊婦さんの受け入れや、小さなお子さんのいるご家庭へベビーシッターを無償で提供し、慣れない土地で孤立しがちな妊婦さんや母子に寄り添いました。

東北では被災して経済的に困窮する中高生を対象にした無償の学習進学サポート「希望のゼミ」をベネッセコーポレーションの協力で2011年10月より開始。

さらに石巻に無償学習室を設置し、仮設住宅で暮らす子どもたちが集中して勉強できる環境を作るなどして、被災地の塾運営企業が復興するまでのあいだ、震災によって子どもたちの夢や進路が絶たれないよう支援しました。

2011年12月には、西友が郡山市で運営するショッピングモール内にスペースを提供していただき、放射線量が高く外遊びができない子どもたちのために「ふくしまインドアパーク」をオープン

ふくしまインドアパークは、評判となり翌年2012年8月には南相馬市でも開始。活動を地域に引き継ぎ2015年に終了するまでの4年間に、のべ4万人を超える福島の子どもたちに、のびのびと思い切り体を動かして遊べる場所を提供しました。

インドアパーク閉園イベントの様子
2014年2月 ふくしまインドアパーク南相馬閉園イベント

復興の新たなフェーズを迎えて

震災から数年が経ち、復興のフェーズが変わり、多くの団体や企業が緊急支援の役目を終えていくなかで、フローレンスは新たな課題を見出します。それが、仙台市の待機児童数の急増でした。沿岸部で被災した多くの人が近隣都市に移住したことで、仙台市も人口が急増し、数年前に解消していた待機児童問題がふたたび浮上していたのです。

つらい状況のなかで移住した土地で、子どもを預けられずに働くことが困難な親御さんを支援するために、保育園の運営実績があったフローレンスは2015年4月に「おうち保育園こうとう台」を開園、続く2016年に「おうち保育園木町どおり」、そして2017年4月には企業主導型保育園「おうち保育園かしわぎ」を開園しました。

節分イベントの様子
仙台市で「おうち保育園」3園を展開

不足していた障害児の親子の行き場

こうして保育という形で親子に寄り添う中で、さらに見えてきたのが障害児の保育問題でした。2019年にもなると、仙台市内に保育園が増え、待機児童問題が徐々に解消されてきた一方で、「障害児の保育園受け入れが進んでいない」という現状が見えてきたのです。

フローレンスのおうち保育園では「子どもの年齢や国籍、障害の有無にかかわらず、すべてのお子さんへ、それぞれの発達状況にあわせた保育を提供する」インクルーシブ保育を提供しており、「違うこと」はその子一人ひとりの素敵な個性であると考えています。 

ある親御さんは、障害があることを理由にいくつもの園で入園を断られるなかで、つねに「障害があってすみません」と謝りつづけていたと話してくれました。

その親御さんがフローレンスのおうち保育園の入園説明会で「うちの子、すみません。障害があるんですが」と尋ねたところ、園スタッフが「障害があることで謝らないでください。私たちは障害があることが悪いことだとは1ミリも思っていませんよ」と当たり前のように答えた、その一言で受け入れられたと感じ、感極まられたというエピソードがあります。

子どもたちの様子
「おうち保育園」ではインクルーシブ保育を提供しています

すべての親子の笑顔のために

2014年に被災地支援を主軸として始まったフローレンス仙台支社の活動は、目の前の親子をとりまく社会課題に向き合い続け、保育事業の枠を超えて、「ほいくえん子ども食堂」やコロナ禍の緊急支援として開始した「仙台こども宅食」を通じた見守り支援、政策提言活動と広がり続けています。

子ども食堂の様子
「ほいくえん子ども食堂」(写真は2019年に撮影したものです)

仙台での新たな挑戦「医ケア児おやこ給食便」

2021年10月には、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な医療的ケア児を、ご自宅で医療的ケアに対応した看護師がお預かりするサービス「医療的ケアシッター ナンシー」を仙台市エリアにて開始しました。これまで首都圏を中心に事業を実施してきたフローレンスの障害児家庭支援事業としては、初の東北地方への展開です。

それから1年後の2022年10月、「医ケア児おやこ給食便」をトライアルで開始しました。おうち保育園で実施している「ほいくえん子ども食堂」のお弁当を月に1回無料で、医療的ケア児のいるご家庭に、同居するご家族分、希望する数をご自宅に配送する取り組みです。

お弁当を作る様子
おうち保育園で栄養バランスの取れた美味しいお弁当を作っています

背景には、お弁当を届けることで、お子さんの医療的ケアで忙しい親御さんに「家族との時間」をプレゼントしたいという想いがありました。

仙台に限らず、医療的ケア児のお子さんがいる家庭では、どうしても親御さんがきょうだい児のための時間を取りにくくなってしまいます。

親御さんとしては、もっと一緒に時間を過ごしたくても、医ケア児はほんのすこし目を離しただけで命取りになることもあり、近くのコンビニに行くことすらためらわれる状況で暮らしている方もいます。

お弁当を届けたご家庭からは、「初めて(きょうだい児のお子さんと)一緒に『いただきます』ができた」、「心に余裕ができて一緒に遊ぶ時間を取ることができた」といった嬉しい声が届いています。

給食便配布スタッフ
医ケア児支援の専門知識を持つスタッフがお弁当をお届け

フローレンス仙台支局スタッフは、「フローレンスの支援の特長は、医ケア児のお子さんだけでなく、ご家庭を支援できるところです。この先、ニーズがあれば『医ケア児おやこ給食便』でつながったことをきっかけに、少しでも家庭をサポートできる手を増やしていきたいと考えています」と支援拡大に意欲を燃やしています。


そして、これからも、支援の道は続きます

東日本大震災の復興支援から続くフローレンスの仙台市エリアでの活動は、親子のSOSに耳を傾けながら一歩ずつ着実に広がり続けています。

このようなフローレンスの活動の原動力となっているのは、ご支援くださる企業の皆さんや個人の寄付者の皆さんが寄付に託してくださる想いです。

フローレンスが皆さんと一緒にさらに前に進み、親子の笑顔があふれる社会を実現するために、引き続きご支援・応援をよろしくお願いします。


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