「遺言書」ときいて、どんなイメージを持たれますか?
「縁起が悪い」
「多額の財産があるわけではないので、自分には関係ない」
「まだまだ元気だから必要ない」
そんな声をよく聞きます。
ところが、相続人側(遺産を引き継ぐ側)からすると「遺言書があって良かった!」というケースは意外と多いのです。
つまり、お子さんやお孫さんがいる方は「遺言書」を早いうちに作成しておくことが安心材料になりますし、遺産が相続される立場になる方にとっては、親御さんと「遺言書」について話しておくことで、未来に備えることができます。
欧米では一般的でありながら、日本ではまだまだ馴染みのない「遺言書」について、その必要性と遺贈寄付の魅力についてご紹介します!2022年9月12日から行われているキャンペーンのご案内もありますので、ぜひご一読ください。
遺言がない場合は、法定相続分を参考に遺産の分割を行います
「法定相続分」とはなにか、言葉は知っていても詳しく説明できる人は少ないのではないでしょうか。「法定相続分」とは、被相続人(遺産を残して亡くなった人)の財産を相続する場合にあたり、共同相続人が取得する相続財産の民法で定められた相続割合をいいます。
被相続人の相続財産は、すべての相続人の共有となり(共同相続)、遺産分割によって解消するまで続きます。この共同相続の状態にある相続人を「共同相続人」といいます。共同相続人が合意すれば、法定相続分どおりに遺産を分割する必要はありません。
そこで問題となるのが、誰が相続人となるのかです。
Aさんの祖父は昭和初期の生まれで、5人の子どもがいます。祖母はすでに他界しています。祖父の娘であるAさんの母は長女として、結婚してからも祖父の名義の家で同居してきました。Aさんはまだ独身で、実家暮らしです。
祖父に万が一のことがあったとき、当然、祖父の世話をしているAさんの母が、家も財産も継ぐのだと思っていました。
ところが、祖父が亡くなったとき、遺言書がなかったために、今住んでいる家や土地も含めて、すべての財産が、祖父の5人の子ども全員に等しく相続されることがわかったのです。
Aさん(35歳・独身・女性)の場合
民法によれば、同居しているかどうかに関わらず、財産は子ども(1親等)に均等に分けられます。つまり、祖父の名義の家や土地も、祖父の5人の子どもたちに等しく分配されることになるのです。5人のうち、亡くなっている人がいる場合(「代襲相続」といいます)には、その子ども(被相続人の孫)が法定相続人となります。
「遺産分割協議書」を作成する
当然ながら、貯金は均等に分けられても、住んでいる土地や家をそのまま物理的に分割することはできません(但し、所有権を共有分割することはできます)。
そこで、相続人全員で遺産の分け方についての話し合いをすることで、誰がどの財産をどのような割合で相続するのかを決めることができます(但し、法定相続人全員の同意が必要)。これを「遺産分割協議」といい、全員の合意が取れた内容を「遺産分割協議書」に記載し、全員が署名のうえ実印で押印します。
署名と押印の、意外と高いハードル
ここで問題となるのが、「相続人全員から署名と押印をもらえる関係にあるか」ということです。子(法定相続人)がすでに他界していた場合、その子ども(被相続人からみた孫)と連絡をとる必要があります。
全員の署名と押印が集められなければ、遺産分割協議書は成立しませんので、相続人が行方不明になっていたり、認知症で判断能力がなくなっていたりした場合、手続きは非常に煩雑になります。対象となる財産の額や規模は関係ありません。遺産分割協議が調わなければ、土地や家の売却や名義変更も難しくなってしまいます。
遺言書があれば、相続人側の負担を減らせます
遺産分割協議によらず相続手続きの負担を減らせるのが「遺言書」です。
今回のケースであれば、祖父としては、一緒に暮らして世話をしてくれていたAさんの母に、土地や家はもちろん、少しでも多く財産を残したいと考えていたかもしれません。
遺言書を残しておくことで、遺産分割協議書を作成する必要はなくなり、法で定められた遺留分(注1)を侵害しない限り、相続人に遺産分割の負担をかけることなく意志を反映させることができます。
(注1)遺言によっても奪うことのできない法定相続人(兄弟姉妹(代襲の場合は甥姪も)以外の法定相続人)が取得できる最低限の遺産の割合
「遺贈寄付」という選択 ー遺言で、生きた証を次の世代へ
遺言書は、相続人側の負担を減らすだけのものではありません。遺言書によって、財産を残される方のご意志を、「遺贈寄付」という形で次世代につなぐこともできます。
近年、「最期の社会貢献」として遺贈寄付をお考えの方が増えています。
大切に築き上げた財産を、自分の生きている社会に還元する、あるいは未来の社会をよくするために遺すという考え方が、欧米だけでなく日本でも広まりを見せており、この10年間で「遺贈寄付」件数は2倍弱、寄付金額は2倍強の168億円に達しました。
遺贈寄付というと莫大な金額をイメージされる方も多いかと思いますが、実は少額からの寄付も可能です。フローレンスにも「財産の一部を、未来の子どもたちのために役立てたい」という故人のご意志を継いで数万円からの寄付をしてくださる方もいます。
実際に、フローレンスにご寄付いただいた方のエピソードをご紹介します。
お母様の幸子さん(仮名)から受け取った相続財産を、社会貢献活動に活かすことを検討されていました。生前の幸子さんのご意向もあり、子ども支援をしている団体に寄付したいが、どの団体へ寄付するべきかを非常に悩まれたそうです。
「フローレンスは2004年から長い期間、活動されていて実績もあります。様々なメディアで紹介もされていて、信用できると感じました。そんなフローレンスを応援することに決めました」
うれしいお言葉とともに、相続財産の一部をフローレンス全体の活動支援へご寄付いただきました。
西本 結子さん(仮名)50代
フローレンスを信頼し、託してくださった方々の想いを受け取り、次世代を作る子どもたちのために活用していくこと、それがフローレンスの使命と考えています。
大切な方のご意志を、未来の子どもたちの笑顔につなぐフローレンスの遺贈寄付について、詳しくはこちらからご覧いただけます。
日本では、どのくらいの人が遺言書を書いているのでしょう
遺言書は、財産を残された方の意志を反映させ、相続人側の負担や争いを生まないために重要なものです。
では、日本ではどのくらいの人が遺言書を書いているのでしょうか。
普通の方式による「遺言書」には、次の3種類があります(この他、特別の方式による遺言もあります)。
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言
このうち、①自筆証書遺言と③秘密証書遺言は民法で定められた方式に従って自分で書くことができます。②公正証書遺言は、公証役場で公証人に作成してもらえるので、費用がかかりますが安心です。
日本公証人連合会によれば、公正証書遺言の作成件数は年々増加しており、令和元年には11万件を越えています。自筆証書遺言については、正確な件数が把握できないものの、年々増加傾向にあるようです。
しかしながら、法務省による調査対象者へのアンケート結果(注2)では、遺言書を作成した人の割合は、75歳以上でも10.4%にとどまっています。
一方で、遺言書を作成したいかという質問には、全ての年代で約4割が前向きな回答をしています。
その一歩が踏み出せないのは、不安だから
遺言書を書きたい人は多いのに、実際に書いている人が少ないのはなぜでしょう。
同調査によれば、すべての世代で2割以上が「書き方・法知識」で不安を感じています。また、「遺言書の作成に必要となる費用」「きちんと遺言が実行されるか」については、若い世代ほど不安に感じていることが明らかになっています。
遺言書を書くチャンス!好評につきフリーウィルズウィーク(無料寄付遺言書作成週間)第2弾実施決定!
遺贈寄付をしたいと思いながらも、複雑な手続きや書類が必要なのではないか、高額な費用がかかるのではないか、本当に遺言が実行されるのが不安だといった理由から、なかなか検討できずにいる方に朗報です!
日本承継寄付協会が2022年8月に実施し、多くの反響があったフリーウィルズウィーク(無料寄付遺言書作成週間)を2023年3月22日(木)〜31日(金)に再度実施予定です。
相談窓口を経由してご紹介する司法書士の方々のご協力のもと、寄付遺言書作成を「無料」で実施(該当する寄付遺言書の要件あり)します。
また、遺贈寄付の専門家報酬の一部(5万円分)を助成するキャンペーンを、ご相談多数につき、2023年3月31日(金)まで申請期間を延長することが決定しました。
フリーウィルズキャンペーン(第2弾) ※第1弾・第2弾は終了しています
日本の司法書士制度が生まれて150周年を迎える2022年。
自分の思いや願いを遺言書に託すことができる文化が根付くように、遺贈寄付が盛んなイギリス発祥の【フリーウィルズウィーク(遺贈寄付の専門家報酬助成)】を日本初実施。
主催:一般社団法人 日本承継寄付協会
※フローレンスは本キャンペーンの賛同パートナーです
期間:2022年9月12日(月)〜 2023年2月28日(火)
対象者:遺贈寄付を考えている、または関心のある方
※該当する寄付遺言書の要件があります。また、印紙代や郵送代はご負担いただきます。
未来へ想いを遺して、「よき先祖」になる
「遺言書を書く」ことが、決して縁起の悪いものではなく、ご自身の生きた証をどの様に残すかを考える機会であり、残される家族のためにもとても大切なものだとおわかりいただけたのではと思います。
イギリスの文化思想家ローマン・クルツナリックの著書に『グッド・アンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか)』(あすなろ書房 2021/9/8)(原題『The Good Ancestor: How to Think Long Term in a Short-Term World)と訳された本があります。
私たちはやがて、この先延々と続くであろう未来において「祖先」となります。そのとき、私たちの遺した想いが引き継がれて、未来を生きる人々の笑顔につながるとしたら、「よき先祖」になることができたら、素晴らしいことではないでしょうか。
この機会に遺贈寄付についてご検討いただけましたら幸いです。
フローレンスは「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指し、子どもの貧困、子どもの虐待、親子の孤立などの社会課題解決を目指し、病児保育事業、障害児保育・支援事業、赤ちゃん縁組事業(妊娠相談・特別養子縁組あっせん事業)、ひとり親家庭支援、困窮家庭支援などをおこなっている団体です。
一般社団法人日本承継寄付協会が「遺贈寄付のやり方や寄付先がわからない」方のために発行した「遺贈寄付の情報発信メディア『えんギフト』」では、「寄付検討者にとって納得しワクワクできる寄付先」として、フローレンスをご紹介いただきました。
『えんギフト』は、PDFまたは冊子を無料でお配りしています。ご希望の方は、フローレンス遺贈ページの「お問い合わせ」よりご請求ください。