子どもとの関わりの中で、子どもの健やかな成長を助ける「おもちゃ」を選びたい、または与えたいと思ったことはありませんか?
2022年度最後の3月保育塾では、子どもの発達に合わせた遊びやおもちゃって何だろう?という問いについて、子どもの成長・発達をいま一度振り返りつつ、実際に大人である私たちがワークショップを通じて遊びを体験し、子どもと遊び・子どもとおもちゃの関係について考えました!
保育塾とは、フローレンスの全スタッフに向けた自主参加型の研修です。毎回異なるテーマをもとにサポーターをお呼びし、アクティブラーニングを通じて学びを深めています。 2022年度の保育塾は「子どもにとってより良い環境を考える姿勢をもちながら、日々の業務に取り組むきっかけとなる場」をデザインしています。
サポーターには、これまでにベビーマッサージ講師や保育士、学校サポーター、病院内の遊びの広場で通院の親子遊びを支援するプレイリーダーなど、長年さまざまな形で保育・教育現場に従事し、現在はフローレンスのインクルーシブひろばベルに勤務する杉本かをりさんを迎えました。
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また、杉本さんは認定NPO法人芸術と遊び創造協会認定のおもちゃコンサルタント・木育インストラクターの資格を取得し、その資格を活かして、「おもちゃ広場」という子育てサロンも月に1度開催されています!
「遊び」は子どもと世界のかけ橋
子どもは遊びを通じて様々な「もの」や「ひと」、自分自身に出会っていきます。
「子ども」を頂点にした、「もの=おもちゃ」「ひと=保護者や家族などまわりのひと」とつながった「トライアングルの関係」が幼児期は特に大切です。
子どもは「おもちゃ」と関わりながら知的好奇心を育んだり、「ひと」と関わりながら自分自身以外の心に出会い、コミュニケーションの力も育んでいきます。
<乳幼児と成長発達とおもちゃ~0・1・2歳~>
生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、周りの人から受け取る関わりが「もの」であり、この世で初めて出会う最初の「おもちゃ」や「遊び」です。
抱っこされたときのぬくもり、におい、声、眼差しや表情を全身でキャッチし、赤ちゃんの方からは、泣いたり笑ったり声を出して全身でメッセージを伝えてくれます。こうしたお互いのやり取りこそが「遊び」です。
次第に、見る活動が活発になり、手指の運動が発達して、5本指のまとまった動きから1本1本違う動きへと発達し、つまむ動作もできるようになってくると、見てつかむ、見て押す、引っ張ったり、振ったりして、音を鳴らしたりして、目と手を協応させて遊ぶことを楽しめるようになります。
この時期は口で確かめる、舐めるという動きが活発になるので、誤飲などに気をつけながら遊びを楽しみましょう。
1歳前になると、気持ちを通わせるコミュニケーションが深まってくるので、「どうぞ」「ちょうだい」など、言葉の意味はわからなくても、もののやりとりができるようになるので、大人も赤ちゃんとの遊びを楽しめるようになってきます。
言葉を添えることで「言葉の世界」と「遊びの世界」が広がっていく時期ともいえます。
視覚の機能が育ち「手で触れて分かる世界」から「見てわかる世界」へと物事の理解の仕方が変わってくる時期。
「見立てあそび」ができるようになるので、何でもまねをするようになるため、関わる大人による遊びのモデルがとても大切です。
自我が芽生えてきて、おもちゃを取り合ったり、貸し借りする体験をしながら、自己と他者の違いを学ぶ、そんな経験から思いやりも知り始めます。
<乳幼児と成長発達とおもちゃ~3・4歳~>
3歳になると、想像と創造の世界がぐんと広がり始めるので、目で見たものを単に手で触れるだけではなく、手で「もの」を作り出すようになります。言葉やイメージの世界も広がってくるので、大人が積極的にその手助けをしてあげたいものです。
運動機能はさらに発達するので、それぞれの運動能力の高まりに合わせ、伸び伸びと体を使って遊べる環境も大切になります。
また、五感や運動を通したダイナミックな体験(触れてみたら温かかった、重くて持ち上げられなかった、くぐったり、またいだり、飛び越えたりしててっぺんまで登ったなど。)はこの時期こそ必要なことです。
例え、身体的な発達で粗大運動が難しくても、風や陽ざしを感じたり、周りの音に耳を澄ましたり、または関わる大人が手助けしたりしながら自分自身の身体感覚が味わえると良いでしょう。
お子さんの状況や障害によって、というところはあると思いますが、可能な限りの中で、ぶらんこやすべり台など、体が小さいこの時期に大人が一緒に楽しみながら、体験することができたら、お子さんにとっては何にも代えがたい経験となります。
4歳頃になると、自我が強まったり、競争心が芽生えたりして、友達とケンカもするようになりますが、これは、社会性の育ちの1つ。友達と遊びをしたり、ケンカをしたり、または失敗をしてどうしたら良いのかを子ども自身が気づき自分で工夫して乗り越えるという様々なことを通して社会のルールを身に着けていく学びのチャンス!
「ほどよい失敗をほどよく体験すること。」は、子どもの成長にとって重要なことです。
ただし、子どもが困っていたら、「こうしたら失敗しないよ」「失敗したときはこうしたらいいね」とサポートすることは必要です。
ワークショップで遊びを体験
今回は講義だけではなく、子どもに関わる大人自身が楽しみ、遊びの幅を広げ、発達に応じた遊びを学ぶことで、子どもが夢中になって、目をキラキラ輝かせ、わくわくする瞬間を生み出すことができるのではないかと考え、ワークショップも実施しました!
ワークショップで使った主な材料は、牛乳パック。
牛乳パックにした経緯としては、身近なものかつ廃材を使っておもちゃを作ることが出来れば、地球にも優しく、遊びの幅を広げられるのではないかと思ったためでした。
牛乳パックを集めるにあたってフローレンスのスタッフに呼びかけ、なんと、当日までに100個近い牛乳パックが集まりました!(まさにフローレンスWAYの「チームフローレンスでいこう!」を体現…!)
既成のおもちゃに触れる機会はあっても、手作りおもちゃを作ってあそぶ経験は久しぶりな方も多かったようで、皆さん楽しみつつ夢中になって作られているのが印象的でした。
発達のぺースは個性的。リードするより待つ姿勢で
3月保育塾では、子どもの発達に合わせた遊びやおもちゃって何だろう?という問いについて、考えました。
発達には個人差があります。
いま、目の前にいる子どもは、どんなことができるんだろう?どんな発達段階なんだろう?と考えることが大切です。
発達にでこぼこがあったり、障害のあるお子さんと向き合う時にも、その子が何を求めているのか?ということを、ゆっくりと、あせらずに、大人が察してあげることも大切です。
そして、何よりも子どもが楽しく遊ぶには、子どもの自発性が大切であり、「この遊びはこうしなければならない!」「こうやらないといけない!」という発想から解放してあげたら、子どもは子どもの世界に入っていくことができるのではないでしょうか。
フローレンスでは現在、様々な職種で採用を行なっております。フローレンスに興味がある。フローレンスで働いてみたい。そんな方はぜひ!