「シチズンシップ保育」ってどういう保育なのでしょう?
フローレンスの保育園では、「みんなの未来をつくることに自ら参加し、貢献し、そして楽しむ心を育む」ことを保育理念に掲げ、「シチズンシップ保育」を実践しています。
【シチズンシップとは】
「一人ひとりが社会の一員として、よりよい社会の実現のために、積極的に多様な人々と協働して課題解決する」資質、能力のこと
未知の課題に溢れているこれからの社会を生きる子どもたちが、社会の一員としてこのような資質、能力を発揮できるよう、自分で考え、他者と協働する経験をたくさん積んでほしいという願いを込めて、日々の保育を実践しています。
とは言え、保育者によって大切にしていることや実践方法はそれぞれかも知れません。
そこで、私たちがこれまで取り組んできたシチズンシップ保育を感覚ではなく言語化し、スタッフの共通理解を進めていくことが必要であると考えています。
みらいの保育園事業部では、まずは保育現場のリーダー層から、シチズンシップを育むための具体的な保育のあり方を握っていこう!と、2023年度、1年間かけて保育現場での実践とその結果を持ち寄り、保育のありかたを深め、言語化していく取り組みを行っていくことにしました。
隔月の研修と園での実践を往復、繰り返しによって「シチズンシップ保育」の言語化と共通理解、保育の質の向上を進めていきます!
本間正人先生に応援いただいてのキックオフ開催
この往還型研修「シチズンシップ保育探究」のキックオフでは、コーチングやコミュニケーション学の大家である、
本間正人先生(https://learnology.co.jp/)にお越しいただき、「シチズンシップ保育探究の意義―信頼を醸成するコミュニケーション―」と題して研修を行っていただきました。
本間正人(ほんままさと)先生
「教育学」を超える「学習学」の提唱者。NHK教育テレビでビジネス英語の講師などを歴任し、「研修講師塾」「調和塾」を主宰。誰もが最新学習歴を更新し続ける「学習する地球社会のビジョン」を目指す。現在、らーのろじー(株)代表取締役、京都芸術大学および社会構想大学院大学客員教授、松下政経塾主幹、NPO学習学協会代表理事、一般社団法人クロスオーバーキャリア代表理事、NPOハロードリーム実行委員会理事などをつとめる。コーチングやほめ言葉、英語学習法、などの著書79冊。ミネソタ大学大学院修了(成人教育学 Ph.D.)。
今回の研修ご登壇が実現した背景として、本間先生から「フローレンスと保育士さんを応援したい」とお申し出をいただき、無償で今回の研修を実施していただくことになりました。
保育者自身がシチズンシップを体現していこう!
研修を通して本間先生は何度も、私たち保育者自身がシチズンシップを体現していく重要性を強調されました。
子どもは周りの大人の姿を見て学習していく。
そのため、どんなに言葉でシチズンシップをレクチャーするよりも、私たちがまずはシチズンシップを体現し、子どもたち・保護者・スタッフ同士の関わりの中で活かしていくということが非常に重要だと学びました。
「みなさんが、スタッフ同士の会話でもシチズンシップを体現しているようなコミュニケーション、互いにエンパワー(※)されるようなコミュニケーションを取っていたら、子どもたちは『そっか、ああいうのが大人のコミュニケーションなんだ』と、無意識レベルで学習していくのです」という言葉が印象に残っています。(※それぞれが持つ力を発揮し、主体的に行動できるようにすること)
これからの子どもたちに必要な力とは
AIやロボットが人間の仕事の多くを代替できる時代、人間だからこそできることがより重要になっていきます。そんなこれからの時代を生きる子どもたちに必要な力について、このように解説いただきました。
①0から1を生み出していくクリエイティビティ。創造する力
②五感を使って発見し、感動する力
③人間関係を築き、深めていく力
④意味を見出す、意味づける力
⑤挑戦する力、チャレンジする力
人間の人間らしいところ、まさにシチズンシップ、自分の主体性で自分から行動を起こしていくということが、人間に与えられた本当に素晴らしい力である。
これは私たちフローレンスの保育園が掲げる保育目標、
自分の気持ちを大切にし 他者の気持ちも大切にする子ども(共感性)
自らの内なる声を聴き 主体的に動く子ども(内発性)
自由に考え 創造する子ども(創造性)
に通じるものがあると感じました。
そして、
「0-6歳の子どもたちにいかにシチズンシップを育んでいけるかというのはとても重要。この時期に『シチズンシップの種を蒔く』ことは、人生100年時代に彼らが生きていくための基礎になる力をつけるためのものすごく大切なプレゼント」
「フローレンスがシチズンシップ保育を掲げてみなさんで考えて作り上げていく、というチャレンジをしていることは僕は本当に素晴らしいことだと思う」と励ましを送っていただき、参加者一同、胸が熱くなりました…!
私たちの「シチズンシップ保育」
今回の研修では、参加者が動いて、対話して、実感として学ぶワークが多く取り入れられ、ペアになってのインタビューや会場の外に飛び出してのブラインドウォークを通して、保育者にとって必要な視点や姿勢を楽しく学ぶことができました。参加したスタッフも笑顔に溢れていました。
実際にアクティブ・ラーニングの素晴らしさ、対話の面白さを体験し、明日からの保育やチームコミュニケーションに活かしていけそうです。
最初のアイスブレイクとして「シチズンシップと言えば何色?」との本間先生の質問に全員が一斉に回答、シェアしました。
黄色、ピンク、虹色…さまざまな色が挙がったように、一口に「シチズンシップ」と言ってもその解釈はそれぞれ。
だからこそ、シチズンシップという捉え方も共通のベースとして「ここは外せない」という最大公約数はなんなのか?
それを今後1年間かけて、本間先生が伝えてくださった「心と心のコミュニケーション」を通して作っていきたいなと、改めて決意しました。
「こんなことをやってみたらよかった」という事例をシェアをし、「私はこう思う」と当事者としての意見を出し、対話をするという合意形成のプロセスを大切にしていきたいと思います。
そして、フローレンスの保育園としての、私たちの「シチズンシップ保育」をみんなで作っていきます!
参加したスタッフの感想
「シチズンシップをしていく中での大切にしたい心の持ちようや気をつけていきたい点も実際に体験する中で感じられました。」
「『保育者の在り方』が大切であるということに気付かされました。」
「先生同士のコミュニケーション、相手の立場に立った伝え方の大切さを実感した。お互いを否定せず、自分が楽しく働けば、子どもにもそれが伝わり、シチズンシップ保育に繋がるのだと思った。」
「本当の意味で相手の気持ちを考えることができた。」
「子どもや大人(職員や保護者)に対しても、その人自身を引き出せるような関わりをしていきたいと改めて感じた。」
また、本間先生のお話が具体的でわかりやすく面白く、時間があっと言う間だった、もっとお話を聴きたかった!という声もとても多く挙がっていました。
シチズンシップ保育探究の意義
いかがでしたでしょうか。充実した学びの雰囲気が伝わっていたらうれしいです!
子どもたちが自ら意見を発信し、自己決定し、自分たちの未来をつくっていくことがあたりまえの社会になっていくためにも、フローレンスが保育園を運営する意義、私たちがシチズンシップ保育を実践していく意義はこれからますます重要になってくると思っています。
この探究は、シチズンシップ保育をスタッフ一人ひとりが自分の言葉で語れるようになっていくことを目指しています。また、いずれは社内に留まらず、対話や実践を拡げていくための土台となる場としていきたいと考えています。
最後に、このような貴重な機会をいただきました本間先生に、心より御礼を申し上げます。
本間先生、ありがとうございました!
(みらいの保育園事業部・保育スーパーバイザー 塩田由美子)
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キックオフと7月開催の第2回の間に行ったワークショップの様子はこちら↓
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