フローレンスはこの度、復興支援でゆかりのある東北の仙台市を拠点に、「#医ケア児もいっしょに まざらいんキャンペーン」を開始しました。
家族で映画館に行くことが、「奇跡」になってしまう子どもたちがいます
映画鑑賞ができること自体が奇跡に近い子どもたちの為に、ありがとうございました。
フローレンスが8月に仙台市で実施した、医療的ケアの必要な子どもとその家族のための映画上映会に参加した親御さんから寄せられた声です。
人工呼吸器や胃ろうの使用、たんの吸引等の医療的ケアが日常的に必要な「医療的ケア児」(以下医ケア児)は、全国に約2万人いるとされています。
フローレンスが医ケア児の支援を始めたきっかけは、ある一人のお母さんとの出会いでした。「障害のある子を受け入れてくれる保育園が見つからず、仕事を辞めなくてはならない」というのです。
その声を受けて、2014年、フローレンスは日本で初めて障害児を専門的に長時間お預かりする「障害児保育園ヘレン」を立ち上げ、以来、新たな障害児・医療的ケア児家庭支援事業の展開と、障害児家庭支援の拡大を求める政策提言を行ってきました。
進まない、医療的ケア児とその家族の支援
2021年9月、フローレンスと多くの仲間の6年にわたる訴えが実り「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(以下、「医療的ケア児支援法」)が施行され、医ケア児とその家族への支援拡充が期待されました。
しかし、まだまだお子さんのケアのほとんどは家族によって担われており、家族は24時間ケアに追われ、用事を済ませるために外出することも難しい現状があります。
冒頭にご紹介した映画上映会では、5歳になる医ケア児のお子さんを育てながら、ライターとして医ケア児に関する情報を発信し、フローレンスとともに活動を続ける小澤多貴さんが、コメントを寄せてくださいました。
生まれてすぐの時から経鼻経管栄養という医療的ケアがあった息子と暮らす中で、世間一般の「子育て支援」の対象からはずれているように、ずっと感じていました。児童館や子育て支援センターで開催されるイベントはすべて、健康な子ども向けのもので、私たちが参加できそうなものは見当たりません。
絶え間なくケアが必要で、睡眠不足になり夫婦ともにフラフラで、体力的に限界でも、医療的ケアがある息子はどこにも預かってもらえず、実家が近くない私たちは、夫婦で乗り切るしかありませんでした。
少し外を歩けば、鼻からチューブを入れた息子の顔を驚きと好奇の入り混じった目で見られてしまい、それが気になって、出かけることも億劫になってしまいました。
私たちは、世間に受け入れられていない存在なんじゃないかと、何度も思いました。
仙台発!“#医ケア児もいっしょに まざらいんキャンペーン”スタート!
“まざらいん”は仙台弁で「こっちにおいで」「いっしょにやろうよ」という意味です。
フローレンスが目指すのは、「医療的ケアを必要とする人と家族が、笑って暮らせる」社会、障害の有無に関わらず、「誰でも行きたい場所にあたりまえに行ける」社会です。
小澤さんのように、24時間のケアに追われて極度の睡眠不足に陥ったり、人の目を気にして外出を控えるようになったり、医ケア児に関する情報が入手しづらく、支援に繋がらなかったりする人が多くいます。
そこで、フローレンスが仙台で始めたのが、医療的ケア児とその家族を包括的に支援する“#医ケア児もいっしょに まざらいんキャンペーン”です。
①「身近に相談できる人がいない」を解決! SNSを活用したデジタル相談支援:「医ケア児おやこよりそいチャット」
仙台市内在住の方を対象に、LINEで気軽に相談できるしくみをつくりました。ご家族の状況に合わせて、相談員が子育て・生活に関する制度や支援サービスの情報を提供します。他では相談しづらいことも、時間を気にせず気軽に話せます。
②「きょうだい児との時間も大切にしたい」の気持ちに寄り添う。「医ケア児おやこ給食便」
2022年から仙台市在住の医ケア児家庭を対象に、月に1回、フローレンスのおうち保育園が運営している「保育園こども食堂」のお弁当を無料でご自宅にお届けしています。配送は看護師などの専門スタッフが行うため、医ケア児の子育てにおける困りごとを相談することもできます。
医ケア児のKくん(8歳)と妹のAちゃん(5歳)のいるご家庭では、Kくんの医療的ケアとAちゃんの夕食の時間が重なってしまい、一緒に「いただきます」をしたことがありませんでした。でも、「医ケア児おやこ給食便」が届いた日、Aちゃんは初めてお母さんと一緒にご飯を食べることができたそうです。
「医ケア児おやこ給食便」は医ケア児家庭にお弁当だけでなく、親子にとってかけがえのない時間も届けています。
③「家族みんなで出かけたい」を叶える!「医ケア児おやこ映画会」
医ケア児のお出かけは、呼吸器や痰の吸引などが必要となるため、とても大変です。でも、家にこもっていては親御さんは孤立して、きょうだい児もお出かけができません。
医ケア児とその家族が、行きたい場所に、あたりまえに行ける社会への第一歩として、「医ケア児おやこ映画会」を8月に2回開催しました。
参加した親子からは、「普段子どもを連れていくにはハードルの高い映画館に連れて行けて嬉しかったです。 吸引器の音等も気にせず使用出来て、ストレス無く楽しめました。」「(医ケア児の)妹が、目を開いて集中して見ていたのですごいなと思いました」といった感想が寄せられました。
本キャンペーンでは、これからも、ケアを24時間体制で行っているご家庭に、楽しい、喜びの時間をご提供するため、映画上映会やレジャースポットへのお出かけなどの機会を創出していきたいと考えています。
仙台から始まった支援の輪を、寄付で全国に広げませんか?
一人のお母さんとの出会いから始まったフローレンスの障害児支援。今、仙台で、たくさんの企業や団体、自治体との連携から、新たな支援の輪が生まれました。この支援が実現できたのは、フローレンスを継続的に支えてくださっている寄付者の皆さん、企業の皆さん、そしてSNSなどでの発信で応援してくださる皆さんのおかげです。
フローレンスはこれからも、医療的ケアを必要とするお子さんと家族が笑って暮らせる地域社会の実現を目指し、様々な取り組みを行っていきます。
また、今回のキャンペーンを通して、地方における医療的ケア児をとりまく問題の解決策の先行事例をつくり、その実績をもとに全国の地方都市での課題解決の道筋とすることを目指します。
さあ、あなたも一緒に“まざらいん”! フローレンスの活動を寄付で応援してください。