フローレンスは2004年、日本初の「訪問型・共済型病児保育」を創業し、これまでに業界最多となる累計10万件以上のお預かりを実施しています。2008年には「寄付によるひとり親支援プラン」をスタートし、病児保育を通してひとり親家庭が安心して働ける環境を提供し、就労、そして家計の安定を支援しています。
今回は、寄付者としてフローレンスの活動支援を続け、現在はフローレンスの病児保育スタッフである「おやこレスキュー隊員」として働く長嶋里果さんに話を聞きました。
ーーーフローレンスを知ったきっかけを教えてください。
長嶋:妊娠中に東日本大震災が起きて、物資や現金を送ることしかできないもどかしさから、応援したい団体が見つかったら継続的に支援しようと考えていたときに、駒崎さん(フローレンス現会長)の病児保育事業創設に関する新聞記事を読んで知りました。
保育と関わりのなかった若い男性が、まだ社会で認識されていない課題を拾い上げて支援に動いていることがすごいと思いましたし、ホームページを見てひとり親家庭の生活の大変さも知り、「これが自分の応援したいことだ!」と思い、毎月の寄付を始めました。
ーーー長嶋さんは以前から保育の仕事をしていたのですか?
長嶋:出産前はフリーランスで手芸の講師をしていました。ただ、出張で国内だけでなく海外へ行くことも多く、子育てを頼れる人が近くにいなかったこともあり、妊娠を機に諦めざるをえませんでした。小さい頃は幼稚園の先生になることが夢だったので、妊娠中に通信教育で幼稚園教諭の免許を取って、それから保育士の資格もとりました。
ーーーフローレンスの「おやこレスキュー隊員」になろうと思ったのはなぜですか?
長嶋:寄付者として参加したフローレンスのイベントで、保育スタッフや利用者のシングルマザーの方とお話する機会があり、「フローレンスがあったから本当に助かった」という話を聞いて、やりがいのある仕事だなと感じました。それに、スタッフの皆さんが温かい人ばかりだったのが印象的でした。
ただ、その頃はまだ子どもが小さかったのと、働きに出られるエリアにフローレンスの病児保育のサービスがなかったので、自宅近くの発達障害児の支援施設で働きはじめたんです。
指導員1人に対して子ども3人だったのですが、じっくりと子どもたちの相手をすることが難しく、自分がやりたいことと少しズレを感じていました。
結局、4年間その仕事を続けたあと、半年ぐらい今後のキャリアを見つめ直す時間を持った時に、フローレンスの訪問型病児保育がマンツーマンでできることや、過去のイベントの楽しかった記憶を思い出し、病児保育という未知の世界に勇気を出してチャレンジしようと思い応募しました。
ーーー「おやこレスキュー隊員」になって、いかがですか?
長嶋:ご家庭にはひとりで行くのですが、事前にきめ細やかな研修を受けられましたし、いつでも組長という保育スタッフのリーダーとコンタクトが取れるので安心です。研修中は、2人1組、3人1組でご家庭を訪問して先輩の保育を見ながら学び、アドバイスももらえました。とにかく先輩方がきめ細やかで優しいんです。何でも伝えてくれて、相談に乗ってくれる。こういった職場はなかなかないですね。ひとりだけど、ひとりじゃない、と今も保育をしながら感じています。
ーーー印象に残っている保育はありますか?
長嶋:まだ言葉の出ていない小さなお子さんのご家庭にレスキューに行ったときのことです。代行受診で病院に行きましたが、そのお子さんは少し癇癪が出てしまっていました。ひとり親のご家庭でお母さんはお休みするわけにもいかず、お子さんも本当はお母さんと一緒にいたいけれど、出来ないとわかっていて寂しかったんでしょう。でも、ギュッと抱きかかえると、ギュッと返してきて。落ち着いて関係性が出来てきたら、笑顔も出て一緒に遊べました。
日中の遊びのなかで一生懸命に見せてくれたぬいぐるみがあったので、夕方にお母さんが置いていってくれたタブレットでそのぬいぐるみの映像を一緒に見ながら過ごしていると、お母さんが帰ってきて「この子の好きなものがよくわかりましたね!」と驚くとともに、とても安心してくれたんです。疲れて帰ってきたお母さんがホッとしているのを見て、嬉しかったですね。
お子さんには喘息もあったので、「夜つらいですよね」とお声がけしながら、どうやって寝かしつけてあげるとお子さんが楽かをお伝えして帰宅しました。
ーーーお子さんの保育を通して、親御さんにも寄り添っているんですね。
長嶋:保育終了時の親御さんへの引き継ぎで、1日のお子さんの様子とどんな保育をしたかをお伝えするのですが、そのことで親御さんに安心してもらえて、また利用しますと言ってもらえるのが嬉しいですし、また頑張ろうと思えます。
訪問型病児保育では、ほとんどが初めてお会いするご家庭で、お子さんの個性もさまざまです。行ってみないと様子がわからないので、臨機応変に対応することが求められます。お子さんを安心して預けていただくために、親御さんから引き継ぎをしながらその日の保育の計画を立てていきます。
2人きりになると、お子さんとの関係も変化していくので、そのあたりをどう切り替えていくかが最初の頃は難しかったのですが、半年も経つと気持ちに余裕が出てきて、対応の仕方を変えることもできるようになりました。今では毎日の仕事での学びが、病児保育の面白さ、楽しさにつながっています。
ーーー今も継続してフローレンスに寄付しているとのことですが、おやこレスキュー隊員になって、気持ちの変化はありましたか?
長嶋:そもそも病児保育のひとり親支援に共感して寄付を始めたのですが、その後、自分が子育てをしながら保育や幼児教育を勉強するなかで感じていた、障害児保育や孤育てなどの社会の課題を、フローレンスが事業を広げながら支援していったので、これはもっと応援しなければと思って寄付を続けてきました。
寄付だけをしていたときには、どんな保育をしているかまでは見えていませんでしたが、実際に自分がおやこレスキュー隊員になって、先輩方の保育が本当に素晴らしいと思いました。マンツーマンの保育だから、保育園と違ってゆったりできるのだろうと漠然と思っていたのですが、全然そんなことはなくて、大変だけれどやりがいがあると感じていますし、このような保育を届けているフローレンスをこれからも寄付で応援したいと思っています。
(インタビューここまで)
※写真はすべてイメージです
いかがでしたか?
フローレンスの寄付者からおやこレスキュー隊員になったスタッフのインタビューをお届けしました。実はフローレンスには、寄付で応援してくださっている方が、いっそこの組織で働きたい!と応募してくださることがよくあります。
また、病児保育の利用者だった方が、お子さんが成長されたおりにご寄付くださることもあります。このようなご縁によるつながりも、フローレンスの目指す社会の実現にむけた活動の大きな力になっています。
「フローレンスの病児保育」では、保育スタッフとして2023年12~1月入社の方を積極採用しています。
保育経験のある方はもちろん、ご自身の子育て経験7年以上でもご応募可能です。1家庭でも多くの親子に病児保育を届けるため、力をお貸しください!
フローレンスはこれからも、親子の「困った」に寄り添う支援を届けるとともに、未来の子どもたちのために、日本を変えていきます。ぜひフローレンスの応援をよろしくお願いします。
次回は、病児保育「寄付によるひとり親支援プラン」の元利用者で、今はおやこレスキュー隊員として活躍中のスタッフインタビューをお届けします!