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障害児保育園ヘレン開園から10年、社会はこう変わった

障害児保育園ヘレン開園から10年、社会はこう変わった

#障害児・医療的ケア児家庭支援 #政策立案・政策提言 #ソーシャルアクション

「こども達のために、日本を変える」

フローレンスは先日、ビジョン・ミッションと同じく、新しいタグラインをつくりました。

まだこどもやその家族を取り巻く課題は数多く存在します。

そんな課題を解決して日本を、社会を変え、未来のために希望をつくっていかなくてはならない。そんな風に私たちは考えています。

でも「社会が変わる」って、実際にはどんなことなのでしょうか。そこにはどんな景色が広がっているのでしょうか。イメージしづらいという方も多いと思います。

今回は、フローレンスの障害児保育事業と、そこから社会が変わってきた様子をご紹介します。

 

いまから10年前に生まれた、障害児保育園ヘレン

障害児保育園ヘレン荻窪園の写真

2024年、障害児保育園ヘレンは最初の園が開園してから10年を迎えます。

東京都杉並区、荻窪駅の近くにヘレン荻窪園が開園したのは、2014年9月のことでした。

きっかけは、フローレンスに届いた、あるお母さんからのメッセージでした。

「こどもに障害があり、どこの保育園にも入れません。働かなければならないのに……」

その子は呼吸器をつけているお子さんでした。そのころまだ「医療的ケア児」という言葉は社会にありませんでした。

このメッセージを受け取り、スタッフは東京都内を懸命に探しましたが、医療的ケアのあるこどもを長時間受け入れる保育施設は見つかりません。

障害があり、医療的ケアがあるからといって、保育を受ける機会が親子から奪われてしまってよいのか?
いや、そんなはずはない。

ならば、自分たちでそんな保育園を作ることにチャレンジするしかない。

そんなきっかけで、障害児保育園ヘレンは生まれました。

ヘレン荻窪園開園時の写真

ヘレン荻窪園開園時の写真

 

 

ヘレン立ち上げ後、社会への広がり

立ち上げまでには困難も数多くありましたが、たくさんの方に応援していただき、無事障害児保育園ヘレンは開園しました。

ヘレンの利用を希望されるご家庭は多く、感謝の声もいただきました。

時にはヘレンに入園するために近くに引っ越してくるご家庭もあり、利用定員はすぐに埋まりました。

取材や視察などの依頼も多く、障害や医療的ケアのあるこどもが保育を受けられる場が少ないという「障害児保育問題」を、社会に知ってもらう機会も増えました。

医療的ケア児とその家族は、日本全国で暮らしています。

フローレンスが施設を、事業を運営するだけでは、日本全国に保育の場を広げていくことはできません。

次のステップとして、日本の障害児保育問題を解決していくために、同じ医療的ケア児の問題に立ち向かう事業者や親の会の皆さんとともに、政策提言を始めました。

同じく医療的ケア児を支援する団体とともに立ち上げた「全国医療的ケア児者支援協議会」シンポジウムの様子

同じく医療的ケア児を支援する団体とともに立ち上げた「全国医療的ケア児者支援協議会」シンポジウムの様子

想いのある政治家、官僚の方々にも当事者の声が届き、2016年に児童福祉法が改正。歴史上初めて「医療的ケア児」の存在とその支援の必要性が条文に謳われます。

そしてその流れはとどまることなく、2021年に医療的ケア児支援法が制定され、医療的ケア児の支援が自治体の責務として明確に定められたのです。

これにより、学校や認可保育所等での医療的ケア児の受け入れが大きく前進することになりました。

数年前は社会に言葉もなかった医療的ケア児の支援が、国全体で課題として認識され法律化される。

障害福祉、児童福祉の歴史的な一歩でした。

2021年、医療的ケア児支援法の成立を祝って、協議会の皆さんとともに記念撮影

2021年、医療的ケア児支援法の成立を祝って、協議会の皆さんとともに記念撮影

 

 

10年の時を経て、私たちが「再び」担う役割

そして2024年、私たちが中心となって起こしてきた社会の変化の、その先端を、私たち自身が再び担うときがやってきました。

フローレンスが運営する小規模認可保育所であるおうち保育園で、医療的ケア児の受け入れを始めることになったのです。

奇しくも、障害児保育園ヘレンの最初の園である荻窪園と同じ杉並区。

10年という期間で、社会は大きく変わりました。

待機児童は大きく減少し、保育を受けることができなかった医療的ケア児にはさまざまな選択肢が生まれました。

私たちが、当事者のご家族、同じ想いを持つ事業者、政治家、行政の方々など、数多くのステークホルダーの皆さんとともに一つずつ形にしてきたことが、着実に社会に変化を生み出し、そしてその変化が再び、自分たちの事業の現場に届いてきている。

そんな色鮮やかな波のような景色を眼の前にして、わたしたち自身も改めて目が覚めるような想いに包まれています。

このようにして社会は変わるのだと。

ヘレンの保育の様子

 

まだ見ぬこどもたちの希望のために

医療的ケア児の保育の問題は、社会において長い間問題として認識されていませんでした。

こんな問題に直面しているこどもとその家族がいるという声を上げ、「医療的ケア児」という言葉を法律に入れるところから政策提言は始まりました。

同じように、まだ当事者以外には見えていない課題が、社会には数多くあるでしょう。

社会の大部分から見えない課題や障害に光を当て、みんなでその課題に立ち向かってゆく。それがわたしたちの目指す姿です。

でも、それはわたしたちだけでは到底なし得ません。医療的ケア児の分野でも、たくさんの仲間と一緒だったからこそ、道なき道を切り開くことができました。

これからもフローレンスは、まだ見ぬ課題、まだ見ぬこどもたちと、その家族のために、事業をつくり、しくみを変え、文化を生み出し、「新しいあたりまえ」を未来に手渡していきます。

そこにはあなたの力も必要です。一緒に、社会の変化の、その色鮮やかさに触れてみませんか。


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