2023年11月10日、城北高等学校の生徒7名がフローレンスのオフィスに来てくれました。
当日は、オフィス見学やフローレンスの取り組みについてのご紹介のほか、社会課題を扱ったワークショップを体験しました。
生徒の皆さんにとっては、普段見聞きすることの少ない「社会課題」を知る機会に、わたしたちスタッフにとっても接点を持ちにくい高校生と共に考える貴重な時間になりました。
突然ですが、はじめまして!
今年4月に新卒でフローレンスに入社しました、づーちゃんです!
今回は、ワークショップを担当した私づーちゃんが、訪問当日の様子をお届けします。
若い世代に「社会課題」を身近に感じてほしい!
城北高等学校では、働く人の日常を見聞きし社会への理解を深めるため、生徒ひとりひとりの関心に合わせて選択した企業を訪問する「職場訪問」を行っているそう。
今回、フローレンススタッフの家族に城北高等学校の卒業生がいたことからのご縁で先生からお声がけいただき、次世代を担う10代へ「社会課題を知る・学ぶ機会を作りたい!」というわたしたちの想いから、訪問が実現しました。
フローレンスってどんなところ?
神田神保町にあるわたしたちのオフィスに到着し、まずはオフィス見学です。
高校生活の中で、NPO法人のオフィスを訪問する機会はなかなか無いのではないでしょうか。皆さん終始緊張の面持ちでしたが、スタッフの様子を間近に見て、社会に出て「働く」イメージやフローレンス特有のあたたかな雰囲気を感じてもらえていたら嬉しく思います。
オフィス見学のあとは、今年増床したばかりの6Fフロアに移動し、フローレンスのビジョン・ミッション、事業内容や取り組みをご紹介。
「フローレンスオフィスの雰囲気を存分に感じてもらいたい!」という思いから、スタッフの執務スペースとの仕切りをつくらず、声が届く開かれた空間で行いました。
フローレンス設立の背景やフローレンスが取り組む政策提言・事業開発の事例、社会課題についてご紹介し、「一人一人が政治や政策を担う主体として、意見を出し、手を動かし参画することで社会のルールは変えることができる」というメッセージもお伝えしました。
生徒の皆さんから、「政策提言」や「事業開発」には欠かせない「調査」に関する質問があったり、終始真剣な眼差しで耳を傾けている姿が印象的でした。
自分たちの力で社会を変える! ワークショップ
団体紹介のあとは、今回のメインコンテンツ「自分たちの力で社会を変える!」ワークショップです。
ワークショップのテーマは、「男性の家事育児参加について」。 「日本の女性が担う家事育児の参画時間は男性の5.5倍」 「女性と比較すると男性の育休取得率は依然低い値で推移している」 日本社会の現状を踏まえ、男性がもっと家事や育児に参加するために社会に対してできるアクションを考えてもらいました。
今回の企画を担当した私がこのテーマを設定した理由は、高校生と少し年齢の近い私から日本の社会課題をお伝えし、それについて一緒に考えることで「社会課題はとても遠い世界の話ではなく、身近な問題なんだ!」と感じてもらえる機会にしたいと思ったからです。 男子校である城北高等学校の皆さんに「男性の家事育児参加について」考えてもらうことで、社会全体の価値観や意識をアップデートできるきっかけになるように、と想いを込めました。
社会課題を知ろう
とはいえ、いきなり「社会課題を考える」と言われても、テーマが大きすぎるし、よくわからないのでは……。 まずはアイスブレイクとして「(男性の家事・育児参加に視点を置いて)もし将来家族をもったら、どんな家庭でありたいですか?」というトークテーマで意見交換!
意見交換では、「家事育児:仕事を3:7でやりたい」「夫、妻で家事や育児を分担したい」など様々な声があがっていました。友達との意見交換を通して、子育てや子育てしながら働くことについてどんどんイメージが膨らみます。 子育て真っ只中のフローレンススタッフ2名も登壇し、夫側の視点、妻側の視点から「子育て中に困ったこと」についてエピソードトークをお話ししました。
「以前働いていた会社では、育休を取得することが応援されていない雰囲気があり、なかなか子育てに関わることができなかった」 「夫が育休を取得できず、睡眠時間が足りない日々だった……」など、切実な振り返りも。
「子育ては楽しい!!」でも、働き方や社会に根付いた文化によってありたいワークライフバランスを実現できない負担感やモヤモヤなど「子育て家庭のリアル」をお話ししました。
「社会を変える」アクションを考える
エピソードトーク後は、その内容を踏まえ2グループに分かれて社会を変えるためのアクションを考えます。
アイデアは、付箋に書いて模造紙に貼ります!
「仕事の効率性があがったら、長時間労働が減って育児や家事時間が増えそう」 「今日エピソードを話してもらったように、学校でみんなが育児体験談を聞く機会を作ったらどうか」 グループの中で活発な議論を交わしながら課題を深掘りし、真剣に取り組んでくれました。 たくさんアイデアを出したあとは、その中の1つに絞り「具体的な事業内容(活動内容)」や「実現したらどんな社会になりそう?」など細かい部分までブラッシュアップしました。
アイデアを発表!
グループ1
タイトル:『育児の授業』
内容:義務教育の中で、育児に関する授業(育児体験エピソードや育児休業制度などを学ぶ)を行う。育児の体験談を聞いたり、自主的に育児を経験したり、育児に関する幅広い理解を深める。
実現したらどんな社会になる?: 男性が育休を取得することが当たり前で寛容な社会になる。 育児の授業の機会が増えることで、様々なアイデアが広がってそれが政策に繋がったり新しい技術を作ったりする方向に向かうのではないか。
グループ2
タイトル:『育休を単発に』
内容:育休を1日単位で分割して取得できるようにする
実現したらどんな社会になる? 男性の育休取得率が低い理由は、育休中に自分が仕事に関わる時間が少なくなる不安があるからだと思った。それをなくし、1日単位で育休取得できるようになれば、育休のハードルが下がるのではないか。
はじめは「育児や家事について全く考えたことがない」と言っていた生徒の皆さんが、社会の意識変化を促す施策や既存の制度をより使いやすくする方法を考え、ここまでのアイデアにまとめ上げてくれたことにとても驚きました! 2つともぜひ実現させたい、素敵なアイデアです!
生徒の皆さんからの声
最後に、生徒の皆さんからのアンケートの内容を一部ご紹介します。
「今まで自分が知らなかった育児の問題を知ることができ考えるきっかけにもなった」
「今までは法律を作るのは国会議員しかできないと考えていたが、今回の説明を受けたことで企業からでも(国に要望を届けることで)法律を作ることができ社会を変えることができるということがわかった」
「妹や弟がいなく、当然こどももいないので子育てのイメージがわかない(ここに来る前)。ただ、体験談を聞いたことでイメージは拙いながらもできたと思う。ここに来れて、聞けて、考えられて良かった」
「今回フローレンスに来たことで、『こういう仕事があるのか!』と知ることができ将来の選択肢を増やすことができました」
わたしたちの思い
今回のワークショップが、生徒の皆さんにとって「社会は自分たちの力で変えていける」「夫婦で家事育児に取り組むことは当たり前なんだ」ということを実感でき、将来の選択の一助になっていたら嬉しく思います。
わたしたちが想像していた以上に子育て家庭の現状について知り、学びを深めてくれたこと。次世代を担う10代の皆さんの思考の柔軟さと発想力に驚かされました。
城北高等学校の生徒の皆さん、ご協力いただいた先生方、ありがとうございました!
自分たちの力で社会は変えられる。 5年後、10年後の社会課題解決の現場で、皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
これからも若い世代へ「新しいあたりまえ」を手渡していきます
性別によって役割が決定されることなく、子育て家庭をみんなで応援する多様な社会になるために。 わたしたちは、これからも次世代を担う若い世代へ「社会課題を知り、学ぶ」機会をつくっていきます。
フローレンスのこのような活動は、皆様からのご寄付によって支えられています。 引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。