おウチくる!?行く行く~! 園長インタビュー企画
「おウチくる!?」は、ごくみんこと学生インターンの大極(だいごく)が、日々現場で、よりよい保育を実現する園長先生に突撃インタビューするコーナーです。
おうち保育園での笑いあり、涙ありの、新発見エピソードの数々をお届けします!
品川区の住宅街にある、おうち保育園おおいまち園。
波紗織園長は、都会での「孤育て」経験から、働く女性や困っている親子に寄り添いたいと、3年前にフローレンスでインターンを始めました。様々な経緯を経て、現在は、おおいまち園の園長に。そんな波園長が考える園づくりとは…!?
おおいまち園で、お話を聞いてみました!
孤独な子育て(=孤育て)経験から生まれた、社会問題への関心
私には、12歳の息子が1人います。以前、遠方にいる家族から離れ、子どもの成長を一緒に喜んでくれる人や、困ったときに頼れる人があまりおらず、都心で「孤育て」をしていた時のことです。テレビで児童虐待のニュースが相次ぎ、虐待をした保護者をバッシングする風潮が起きていることに、強い違和感を覚えました。自身の経験から、「孤育て」の辛さが、虐待の1つの要因となっているのではないかと感じました。とはいえ、子どもがか弱く脆い存在ということも知っていたので、どうしたら虐待を防ぐことが出来るのか、関心を持つようになり、政治社会学を勉強しようと思い、大学に入り直しました。
社会問題は「自分ゴト」だった!という気づきから、課題解決の主体者へ
大学では、社会的弱者の研究をしている教授の元で勉強しました。勉強していくうちに、虐待をする親が、社会で孤立している存在だということが分かりました。周囲から上手くサポートを受けられなかった結果、望まない出産、幼児や児童への虐待につながっていくのだと思いました。社会的なサポートが不十分なために起こりゆく児童虐待。
虐待をした親に100%責任があるとは限らず、私たちの側にも責任がある、という発見があり、児童虐待の問題が「自分ゴト」に変わっていきました。
その時、フローレンスが、働く女性や苦しい状況にいる親子の支援をしている、ということを友人から聞いて、自分も何か始めようと思い、フローレンスのインターンに挑戦しました。
社会問題解決のために、「自分のできることをやる」というシンプルな答え
おうち保育園事業部に配属になり、インターン生として1年近くフローレンスで働きました。インターンを卒業するときに「おうち保育園の現場で働きませんか」というお話があり、園の保育スタッフとして働くことになりました。
事務的な業務から保育現場に入ることに対して、あまり抵抗はありませんでした。「何をするのか」よりも、「なぜするのか」を重視していたからです。微力ながらも、困っている人の手助けができ、傍観者でなく、自ら課題解決に関わっていけるのであれば、何でもやりたいと思いました。
周囲のサポートで乗り切った、子育てと仕事の両立
入社して2年間、とよす園の保育スタッフとして働きました。子育てしながらの仕事は、周りのサポートがあったからこそ、乗り切れました。
子どもを育てていると、学校の行事や、子どもの病気や災害など、急にお迎えが必要になることもあります。快く「帰っていいよ」と言ってくれるスタッフや園長に支えられ、ここまで続けることができました。心から、働きやすい環境だな、と思いました。
おおいまち園の園長になり、今まで支えてもらった分、今度は自分が、スタッフや子育てをしている人たちを支えていきたいと思っています。どんなライフステージのスタッフも働きやすい職場づくり、子育てのパートナーとして保護者をサポートできる園づくりをしていきたいです。
保育園を通して、子どもたちに地域ぐるみでたくさんの愛情を注ぎたい
過去の経験からも、子育ては、親だけでできるものではないと思います。色々なご家庭があるので、思うように子どもと関わることができない保護者もいます。
しかし、どんな家庭で育つ子どもも、周りの大人から“大切にされた記憶”、“愛情を感じられる関わり”、“親切にしてもらった経験”を持つことができるといいなあと思います。
そんな想いから、保育園を通して、地域での関わりを強めていこうと考えています。
とよす園にいた時は、ビル清掃の方がいつも園児に優しく声をかけて下さいました。
おおいまち園でも、オーナーさんや地域の方からご理解をいただき、いつも感謝しています。近所の連携園でも、大きな園庭で、どろんこ遊びや夏祭りなど、小規模園ではなかなかできないような経験をさせていただいています。
子どもたちにも、「みんなが可愛がってくれていて、本当にうれしいね」といつも伝えています。こういった温かい言葉があふれる保育園にしていきたいです。
ひとりぼっちの「孤育て」をなくそう!保護者を巻き込んでの園づくり
そのために、まずは保護者とのつながりを強められるよう、オープンな園づくりから始めています。保護者の保育参加や、お迎え時間のお茶タイム、子どもたちが食べているおやつの試食などなど。保護者同士の横のつながりが出来ることを期待しています。お父さんたちには園の力仕事をお願いするなど、園に愛着を持ってもらえるような働きかけをしています。地域のみんなで子育てに関わることができる、環境作りを目指しています。自然な形で保護者を巻き込んで、困った時にはいつでも支え合える環境を、保育園を通して作っていきたいと思います。
私たちにとって、保護者は顧客でなく、“パートナー”です。1番手がかかる乳幼児期の子育てを、一緒に悩み、考え、伴走していける関係でありたいと願っています。
社会変革は、半径5メートルから!
おうち保育園で、出来ることを全力でやっていこう、と周囲を巻き込み行動する波園長。
子ども達を包み込むような微笑みと、変革への揺ぎない意志に、心が熱くなりました。