20組の、新しい親子が集まった日
秋の風を感じる2023年11月25日(土)、フローレンス事務局6階スペースで、ある大切な会が行われました。集まったのは、20組の親子の皆さん。フローレンスの赤ちゃん縁組の相談員、サポートの事務局・保育スタッフも加わり、総勢80人弱が一堂に。おいしいケータリングのランチやお菓子を囲み、和やかに会が始まれば、あちこちで「ご無沙汰しています」「大きくなったね」そんな言葉が飛び交って、こどもたちの楽しげな声が広がりました。
それは、フローレンスの赤ちゃん縁組が開催する「親子交流会」。特別養子縁組でこどもを迎えた養親さんとお子さんたちが集まる、年に1回の催しです。
親子交流会は、養親さんへのフローレンスの委託後支援のひとつ。今回のように対面の会や、ZOOMでの開催の「オンラインサロン」もあります。こういった交流会は、普段の生活圏が遠い養親さん同士が会える貴重な機会として他の委託団体でも行われているものですが、わたしたちが少しこだわっているのは「参加自由」であること。
養子を迎えたご家族同士の交流の場は、家族の支えとして提供したい一方で、養親さん一人ひとりの考え方も大切にしているからです。
こどもを託す・託される、それぞれの道のり
フローレンスの赤ちゃん縁組は、赤ちゃんの遺棄や虐待をなくすという願いを込めて始まりました。目指しているのは、「産みの親・育ての親・こども」の3者すべてが幸せになること。
何かに流された選択では、こどもを幸せにすることはできません。自分の人生も大切に、心から納得して決めることがとても大切です。
実の親のほとんどは、予期しない妊娠に悩む妊婦さん。「フローレンスのにんしん相談」でSNSなどを通じてつながり、悩みに寄り添い、国や自治体の支援情報も提供しながら、自分で育てることも含めて何が最善なのかを一緒に考えます。何度も意思確認をし、心から「託す」と決断した場合にだけ、特別養子縁組につないでいます。
特別養子縁組は、こどもが安定した関係を築けるよう実親との縁を断ち、法的に養親と家族になる制度です。養親になる・ならないの選択は、とても重いもの。だから、わたしたちは手厚い研修に力を入れています。座学研修のほか、フローレンスが運営する保育園で実際にこどもと関わる実習、対話のワークショップなど。それは、ご夫婦が考えを深めた先に決断するための、大切な道のりを整えることでもあります。
すべてがかみ合って初めて成り立つから、委託の数は決して多くありません。けれど、自分で育てると決めた実親さんと赤ちゃんも含め、幸せな未来は確かに増え、続いていくと信じています。
「一年前には想像もしなかった未来」を、みんなでつくる
この日集まった20組の親子は、背景も人生も考え方もさまざま。
けれど、長い研修と意思確認を乗り越え、養親になるという同じ選択をした方々です。
日常の生活では保護者同士ではなかなか話す機会のない「養子」ならではの話や、養親研修仲間の方、スタッフとの思い出話。「養子」を特別なこととせずに、自然な形で話題にできるような、気負わずに語らえる時間となれば、と私たちはこの会を運営しています。
会を終えた養親さんから毎年多く寄せられるのは、養親となった仲間と「会えた」「話せた」ことへの喜びの声です。
「先輩ママからいろいろ教えてもらえた」「保育士さんがいらしたので、普段の育児の些細な相談を気軽にできたのも良かった」「皆さんにお会いできて、たくさんお話ができて、それだけで大満足でした!」
もちろん、養親さんならではの思いもたくさん。
「お世話になったスタッフさんに、大きくなった姿を見てもらえたのが何よりでした。オンラインで会った方や研修で一緒だった方ともお話できたり、一年前には想像していなかった未来がそこにあって感無量でした」「全員で縁組された子を育てている空気を感じた」
参加自由であることにも、アンケートに回答されたほぼ全員が良いと受けとめ、参加されない方への理解も寄せてくださいました。
「養子に限らず、お子さんの個性や発達など何かしらの悩みの渦中にいるとき、交流を持つことで疲れてしまっては良くないので」「集団での行動が苦手な方もいると思うので、参加必須としていないのは良いと思います」「各々のご家族のかたちや家族の成長がある中で、参加したいと思うタイミング、そうでないタイミングはあると思う
家族になるのは、ゴールではなくスタートだから
フローレンスでは、委託後も、ずっと長く支えていくことを大切にしています。
始まりのときも、進んでいく途中も、ひとりひとりの思いと生き方を大切に、チームで進んでいけたらと思います。
養親になりたい方、特別養子縁組が気になる方に、今すぐ15分×3本で受けられる「オンライン基礎研修」がおすすめです。まずは知ることから、始めてみませんか。
わたしたちの活動は、皆さんからの寄付に支えられています。
これからも、幸せのチームを増やしていけるよう、ご協力いただければ幸いです。