フローレンスでは障害児保育問題を解決すべく、医療的ケア児や重症心身障害児の長時間保育を実施する「障害児保育園ヘレン 」、医療的ケア児や障害児のご自宅にスタッフが伺い1対1で保育をする「障害児訪問保育アニー」、看護師が医療的ケア児や障害児に発達支援を行いながらお預かりする「医療的ケアシッター ナンシー」といった障害児保育・家庭支援を提供しています。
今回は、それぞれの事業をご利用中のご家族同士が『出会う・つながる場・きっかけを作れたら』という思いから、日本オラクル株式会社(以下、日本オラクル)ご協力のもと、家族交流会を開催しました。
ヘレン・アニー・ナンシー合同の交流イベントは初の試みでしたが、とても楽しい時間を共有することができました。
本記事では、各コンテンツや当日の様子、参加者・日本オラクルの方の声をインターンシップ生の磯部が新鮮な目線でお届けいたします!
コンテンツ紹介&当日の様子
ファミリーフォト
フォトグラファー『Bommy Chimie』さんに撮影していただきました。お子さんたちはもちろん、親御さんの笑顔も溢れた素敵な空間でした。参加者の方からは「撮りたいと思っていても、通常のフォトスタジオは階段があったりバギーで撮ることが難しくて、色々問い合わせしましたが、良いところが見つかっていませんでした。思っていたよりしっかり写真撮影していただけて驚きました。」との声も寄せられていました。
筆者自身も広報のカメラマンをしながら「かわいい~♡」と連呼せずにはいられませんでした!
ボッチャ
ボッチャはヨーロッパで生まれたスポーツで、パラリンピックの正式種目でもあります。このコーナーは日本オラクルのみなさんが企画・運営を行ってくださいました。なんと写真に写っている木製のスロープは、今回みんなで楽しめるようにと手作りで用意してくださったそうです。ご家族で赤と青のボールを使って競い合い、大盛り上がりのコーナーになりました!
星つむぎの村 プラネタリウム
『一般社団法人 星つむぎの村』さんによる出張プラネタリウム。みんなで夜空を見上げながら星座を眺めていたのですが、それぞれお誕生日の星座ごとにお子さんの名前を読んでくれるサプライズも!今夜の星空から宇宙の果てまで、わたしたちのいのちと宇宙のつながりを感じられるプログラムでした。
ゆったりした時間をみなさんとともに過ごしていただき、大反響のコーナーとなりました!
おえかきトートバック
シンプルな無地のトートバックに、お絵かきペンやクレヨン、手形インクを使ってお子さんと一緒にオリジナルバックを作成しました。
好きな色や好きなもの…個性あふれる素敵な作品がたくさん出来上がりました!
手作りおもちゃ ワークショップ
ストローやファイルを使って手持ちサイズの風車を作成しました。
出来上がった作品で嬉しそうに遊んでいるお子さんたちの姿も印象的でした!
保護者Q&Aコーナー
日頃疑問に思っていることを付箋紙に書いて、参加者同士で情報をシェアしました。
ケアや外出時の工夫から趣味のことまで幅広い質問が上がり、見ごたえのあるボードが完成しました!
日本オラクルからおやつの提供もあり、大人もこどももモグモグしながらおしゃべりを楽しみました。
参加者の声
家族交流会にご参加いただいたAさんのご家族に参加のきっかけや参加してみての感想を伺いました。
地域の保育園に通えていないので、同じ年のお子さんと触れ合う機会がなかなかありません。同じ年のお子さんでも、できることとできないことがありますが、みんなができることをみんなでやれて、同年代のお子さんとも集まることのできる機会だったので、ぜひ参加したいと思いました。
色々な方がサポートしてくださったので、こどもが楽しみやすい環境で色々なことに挑戦することができました。時間制限なくゆっくり過ごすことができて、すごく楽しかったです。
特にプラネタリウムではリラックスして過ごすことができました。本人がキラキラするものが好きなのですが、普通のプラネタリウムだと静かに見たり、椅子に座ったりしなければいけません。寝たまま見られるというのがとても良い環境で、良い刺激になって、とても楽しそうにしていました。
このような温かいコメントをいただきました。
Aさんのご家族はもちろん、ほかの参加者のみなさまにとっても、今回の家族交流会が素敵な思い出になっていると嬉しいです。
日本オラクル川向さんへインタビュー
今回のイベントでは、企画の段階から当日の運営まで、日本オラクルに一緒に取り組んでいただきました。日本オラクルは、寄付でサポートしてくださるだけでなく、イベント運営やボランティア活動など、さまざまな形でフローレンスの活動を支えてくださっています。
今回は、本イベント担当の川向さんにインタビューをしました。
ーーー今回のイベントにどのような思いで参画を決めてくださったのか教えて下さい。
川向さん
最初に医療的ケア児と直接触れ合ったきっかけがフローレンスの行っていた「障害児かぞく「はたらく」プロジェクト」(以下、はたプロ)でした。それは、医療的ケアのあるお子さんを持つ親御さんの再就労を支援するプロジェクトだったのですが、その中でご家族に一度、日本オラクルへ来てもらったことがありました。そのときに「外出することに色々な苦労がある。今回も来るのがすごく大変だった。でも来られてよかった。」という話を聞いて、なにか心に引っかかりを感じてはいたんですよね。医療的ケア児のご家庭の就労を支援するという「はたプロ」ではありますが、その前の段階で家族がもっと街に出やすくとか、そういうことができると良いなと思いました。それまでは気が付かなかったけれど、「はたプロ」への支援を通して「あ、普段街の中で全然(医療的ケア児とそのご家族に)会っていない」ということに気がつきました。フローレンスから家族交流会を開催したいと言われたときに、たしかにそれができたらすごく良いよなと思ったし、やるなら「来てよかった!楽しかった!」と思ってもらえるようなものが良いなと思ったんですよね。
ーーーたしかに、医療的ケアのあるお子さんに直接会うことで、その先に「普段どんな風に生活しているのだろう」「移動はどうしているのだろう」という想像がつながっていきますよね。日本オラクルのみなさんも本日たくさん参加してくださいましたが、どのようなことを感じられましたか?
川向さん
わたしが最初に医療的ケアのあるお子さんとご家族に会った時みたいに、今日の14組のご家族に会ったことで「色々な子がいるな。でもボッチャしたらみんな楽しそうにしていて、そこは変わらないんだな」ということに気がついたら、意識が360°のうち1°くらい変わっていく。すぐに仕事につながる訳ではなくても、そういう気づきのきっかけになれば、社会にとってのインパクトは大きいのかなと思います。
ーーー「ボッチャ」は、企画の段階からほとんど日本オラクルさんが進めてくださりましたが、日本オラクルメンバーのみなさんは慣れている様子で驚きました。
川向さん
「ボッチャ」は、日本オラクル内の「ODAN(Oracle Diverse Ability Network)」というコミュニティの取り組みの一環でやる機会がありますが、先日の「パラeスポーツ・フェスタ」※に参加し、様々な障害の度合いがあるということを間近で見た日本オラクルメンバーが「いつものルールではインクルーシブなゲームにならない」ということに気がづいて、ボッチャ用の手作りのスロープを作成しました。
ーーー公式グッズかと思いました!
川向さん
0から近所のDIYショップに行って、作ってくれたんですよ。日本オラクルメンバーが「パラeスポーツ・フェスタ」に参加したことで一部変わって、何ができるだろうと行動に起こして、またその行動に触れた人が影響されてと連鎖していくといいなと思います。
ーーー今日出会った人からまた広まっていきますよね。
川向さん
医療的ケア児について何も知らなかったら、最初は「どうしたんだろう?」と驚くこともあるかもしれない。でも、遊んだことがある人ならニコッと笑えると思うんですよ。家族の立場で考えると、外出してびっくりされることが続くと悲しくなるし、外に出たくなくなってしまう。でも街の中の人が笑ってくれるだけで外に出るハードルがそれでも下がると思います。医療的ケア児とそのご家族が街中で過ごしていることが「当たり前だな」と思える人が1人でも増えるだけでも、すごく意義があると思います。
今回の家族交流会では、いつも利用しているフローレンスの事業の垣根を越えて多くのご家庭の皆さんに参加いただき、ご家族が新たな出会いやつながりを作るきっかけになったように感じています。
また、こういったとりくみをフローレンスだけでなく、他のパートナー企業やご協力いただける方々と一緒に取り組むことで、当事者以外が知る・気づくことにもつながり、社会の変化の波を少しずつ広げていくことができます。
フローレンスは今後も、医療的ケア児やその家族の支援はもちろん、こどもの虐待、貧困、孤立などの社会課題に向き合い、『今を生きるわたしたちとまだ見ぬこどもたちが希望と手をつないで歩める社会』の実現に向けてパートナー企業やご協力者の皆さんと共に取り組んでまいります。
もしこのような取り組みに興味のある方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。