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足や頬でゲームを操作!?テクノロジーを使って肢体不自由のお子さんと遊ぼう

足や頬でゲームを操作!?テクノロジーを使って肢体不自由のお子さんと遊ぼう

#障害児・医療的ケア児家庭支援 #カルチャー

「障害のあり・なしに関わらずインクルーシブに誰でも遊べる」

最近はインクルーシブ公園などもでき始め、言葉としてはよく耳にする機会も増えてきていますが、実際に障害者と健常者の関わり合いが街中で自然に溶け込むような光景として体験したり目にしたりしている方はまだまだ少ないと思います。

フローレンスは障害児保育・家庭支援事業に2014年から取り組んできました。

2014年に障害児を専門に長時間預かる「障害児保育園ヘレン」を設立した当初は、とにかくまずは圧倒的に不足していた障害児・医療的ケア児の「居場所」を作るというところからスタートしました。

そこから10年。関連団体とともに活動するなかで、医療的ケア児という言葉も一般に浸透し始め、2021年には医療的ケア児の支援を国・自治体の責務とする法律も施行されました。地域の保育園・学校に通うケースも増え始めています。

対象期間は2023年度と2024年度それぞれ4~6月。
各年度、1自治体ずつ未回答。

フローレンスで東京都23区の保育課に「医療的ケア児の保育園入園状況」をヒアリングしたところ、お預かり総数が昨年度に比べて1.5倍増えていることが分かりました。

これからは、医療的ケア児・障害児が特別な空間ではなく地域で育つケースも少しずつ増えていくことが予想されます。

変化する環境を踏まえ他の支援団体とディスカッションしていくなかで、フローレンスは次は「障害の有無に関係なく一緒にいることが自然で、お互いに気にかけることがあたりまえの社会」を目指して活動したいと考えています。

これまでも、希望する医療的ケア児が地域の保育園や学校に通うことを後押しするべく色々な活動に取り組んできました。

それとはまた全く別軸でのアプローチで実施した試みが、今年の8月に開催した肢体不自由のお子さん対象の「パラeスポーツ・フェスタ」。

「楽しい」でつながり、テクノロジーの力をつかって障害の有無を越えて一緒に遊ぼう!という取り組みです。

肢体不自由のお子さんとゲームをやってみよう

「パラeスポーツ・フェスタ」は、肢体不自由のお子さんとそのご家族がテクノロジーを使ってゲームを体験するイベントです。

肢体不自由のお子さんは体の動かせる部位や範囲が限られているため、通常のコントローラーではゲームをすることが難しいのですが、わずかな力でも動かしやすいスイッチやレバーを用いれば一緒に楽しむことができます。

フローレンスではそういったデジタル機器を「インクルーシブ・テック」と呼んでいます。

こちらのお子さんは足元に押しやすい大きめのスイッチボタンを置いてゲームをプレイ

当日は40種類ほどのインクルーシブ・テックと、「ぷよぷよeスポーツ」「スイカゲーム®」など市販のゲームを用意しました。

ゲームは、例えばぷよぷよの落下速度を緩やかにするなど、難易度を調整することもできるため、適切なものを選べば市販のゲームでも、ご家族やきょうだい、友達と楽しむことができます。

また、一つのキャラクターの操作を数名で分担することもできるので、親御さんやきょうだいと協力プレイで楽しむやり方も。

参加された方の中にはインクルーシブ・テックに触れたりゲームをやるのがはじめてという方もいます。今回のイベントではまずは第一歩として、インクルーシブ・テックやゲームに出会うこと、保護者やきょうだい、同じような障害を持つ友達と遊んでみることを目指しました。

イベントに参加したのは22名の肢体不自由のお子さんとご家族。

ボランティアとして参加した作業療法士(学生含む)のアドバイスを聞きながら、テクノロジーとゲームを選んでいきました。

作業療法士さんにお子さんの状態を伝えながら適切なインクルーシブ・テックを探す親御さん

参加後アンケートでは9割の保護者がインクルーシブ・テックの活用で「今後もご家族やお友達と一緒に遊べそう」「お子さんができることが広がりそう」と回答した今回のイベント。

お子さんたちがそれぞれのやり方でゲームを楽しむ様子をぜひご覧ください!

障害の有無を越えて、自然とまぜこぜで遊ぶシーンも

イベントを開催するにあたって障害児家庭にヒアリングしたところ「健常のお子さんといきなり混ざって遊ぶことにはハードルを感じる」という声もあり、今回のイベントではまずはお子さんとご家族が安心して楽しめる環境のなかで、インクルーシブ・テックに触れていただき、家族・きょうだい・同じような障害を持つ友達と楽しむことを目指しました。

しかしイベントが盛り上がるなかで想定していなかった嬉しい場面も。

こちらの写真、ボランティアとして参加した学生さんとお子さん・弊会スタッフ・肢体不自由のお子さんが一緒にゲームをして盛り上がっているシーンです。

ゲームで楽しく遊ぶなかで自然とできた光景で、想像してなかった喜びがありました。

イベントの司会者に「対戦しようよ」、と声をかける肢体不自由のお子さんも。

「楽しい」「一緒に遊ぼう」という気持ちでつながり、テクノロジーを使っていけたら、「インクルーシブはいいことだからやりましょう」ではなく、気がついたら壁を越えて自然と混ざり合う形ができるのかもしれないーーー

まだまだ乗り越える壁はたくさんありますが、フローレンスとしても目指す未来への希望を感じた瞬間でした。

最近ではテクノロジーを駆使して活躍する障害者も増えており、小さい頃から楽しみながらインクルーシブ・テックに触れていくことで「一緒に遊ぶ」だけでなく、将来的には「一緒に活動する」、「一緒に働く」などとつながっていく可能性もあります。

参加後アンケートでは、ご家庭でのインクルーシブ・テックの導入に対して7割が「導入したい」と回答する一方で、「個人で導入するには難しそう」「専門家とつながるのが難しい」「値段が高い」というコメントもあり、普及に向けた課題も見えました。

「医療的ケアが必要なこどもを育てている保護者は仕事を諦めるのがあたりまえ」な時代が変わり始めています。わたしたちは「障害の有無に関係なく一緒にいることが自然で、お互いに気にかけることがあたりまえ」という次の社会を見据えて、当事者や支援者の皆さんとともに一つ一つの課題に取り組んでいきます。


【ご家庭・支援者向け】ガイドブックを配布しています

「お子さんとインクルーシブ・テックを使ってゲームを始めてみたいけど、テクノロジーやゲームはどこから手をつければよいのか分からない」とハードルを感じる方もいらっしゃると思います。

そのようなご家庭・支援者向けに最初に手にとっていただく「はじめてガイドブック」を制作しました。障害児のゲーム・デジタル機器の活用に向けて専門的に支援している株式会社アシテック・オコの小林さんに監修いただいています。

お子さんの成長の段階に応じたインクルーシブ・テックやゲームの選び方、始めるにあたって気をつけたいポイントを解説しました。

希望される方に無償でPDFデータを配布しています。以下のフォームよりお申し込みください。


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