「障害者雇用」の実践本・7年半にわたるTipsを書籍化!
フローレンスには、2018年に立ち上がり、現在9人の特別支援学校を卒業して入職したスタッフで構成される「オペレーションズ」というチームがあります。
このたび、わたしたちの7年半にわたる障害者雇用の試行錯誤をまとめた書籍『障害者雇用の「困った」を解決! 発達障害・知的障害のある社員を活かすサポートブック』を11月30日に出版することになりました。
著者はフローレンスで障害者雇用チームの立ち上げから携わった企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)であるスタッフの2名。
障害者採用の基礎知識から、支援体制の整え方、業務の切り出し方、採用した障害のあるスタッフに「どのような業務を、どのようにやってもらうのか」のノウハウ、お仕事ハックを、実際の事例をもとに紹介しています。
世の中を見渡せば、障害者の雇用率は「法定雇用率の引き上げ」の後押しで、数字は上がっています。でも、その一方で就労数が増えても離職率は高いままで、離職理由からは障害者スタッフの働きがいが軽視されているように思われます。
書籍には、フローレンスが障害者雇用チームを運営する中で実際に起きた成功・失敗の事例や、スタッフの成長のためのさまざまな工夫について全て書かれています。
これを読めば、どんな会社でもインクルーシブな障害者雇用を実現できるのではないか?そんな思いの詰まった1冊です。
オペレーションズが総務チームで大活躍!
フローレンスは、「法定雇用率達成のためでなく、フローレンスらしい障害者雇用を実現していきたい」との思いから、7年半前から特別支援学校を卒業した18歳での新卒採用を定期的に行っています。
現在は、20代前半を中心に、9名の発達障害・知的障害のメンバーがいます。全員、総務チームに配属されており、みんな社内の重要メンバーとしてイキイキと働いています。
フローレンスでは、誰かが入職した時、1番最初にお世話になるのが、この「オペレーションズ」と呼ばれる、彼らです。
パソコンやロッカーの手配、オフィスの使い方などの説明をしてくれる、本当に頼りになる先輩です!オフィスの受付もオペレーションズの業務で、会社のフロントとして、来客対応や社内への物品の貸出、郵便物の社内配布など、多岐に渡る業務を数々こなしてくれています。
フローレンスの新入社員研修では、「総務チーム留学」と称して、オペレーションズと一緒に仕事をする期間を数日間設けています。それにより、総務チームとして社内の様々な部署との関わりを体験できます。
また、オペレーションズと共に働くことで「彼らとの距離感」や「一人一人の得意なこと」「不得意なこと」「お願いできそうなこと」などがわかり、その後、他の部署に配属になっても「これならお願いできるかも」と積極的にオペレーションズに仕事をお願いしてくれるようになっています。
障害者雇用も全員が重要メンバー
フローレンスでの障害者雇用の特徴は、障害者を数字合わせや福祉的観点で雇用しているのではなく、団体に貢献してくれる「重要メンバー」として雇用していることです。
他の部署の人達が、ちょっと面倒な大変なことを、オペレーションズが集約して取り組んでくれるので、みんなが本業に取り組める時間を確保でき、みんなの残業を減らすことに貢献してくれています。
パソコンやスマートフォンの設定(キッティング)、名刺や資料などの印刷、書類の発送、伝票の代理申請、動画制作等々、みんなが本業以外の「ちょっと面倒なこと」を代行してくれるのです。フローレンスは保育園などの施設運営も手掛けているので、施設に交代で行き、清掃なども担当してくれています。
障害者雇用から進んだマニュアル化
皆さん発達障害や知的障害があるのに、なぜ?ここまでいろいろな業務、複雑な業務がこなせるのか?
それには全ての業務において、彼らにも判りやすい「マニュアル」を作成していて、その手順に従えば、誰でもできるようにしていることによるものです。
わかりやすい言葉で、丁寧に、1つ1つ絵や写真も付けて、誰もがそれを見れば、できてしまうマニュアル。この仕組みが画期的で、これは障害者雇用に限らず、みんなで仕事をシェアする時にとても重要です。
障害者雇用というと、特定子会社や別会社に出向するかたちで障害者の方々が一般社員から遠い(見えない)ところで業務に従事していることも少なくありません。フローレンスでは、オフィスの真ん中で、みんなが当たり前のように働いています。
「ありがとう」「助かっているよ」
他部署のスタッフとの交流もたくさんあります。
「ありがとう!」「いつも助かっているよ!」
直接スタッフからのフィードバックがあり、時には「これちょっと違っているから、もう1度やり直してみてもらえる?」と言われるようなこともありますが、そこにはやはり、オペレーションズへの感謝の気持ちが根底にあるのです。
そして何より、フローレンスでは、障害のあるスタッフの成長を信じています。
18歳で入社し、最初は単純作業からスタートして、それぞれの持ち味、特技でどんどん力を付け「丁寧な作業が得意な人」「動画編集が得意な人」「数字に強い人」「清掃が上手な人」など、それぞれの強みを発揮して貢献する。
様々な分野で「なくてはならない存在」となっていきます。皆さん、誇りと自信を持って、新しい分野、業務にもどんどんチャレンジし、また、オペレーションズの中でのリーダーとして、チームメンバーを引っ張ってくれる人も出てきています。
その中で仕事にやりがいを感じ、各々がどんどん成長していきます。
フローレンスの障害者雇用スタッフは、必要不可欠な存在として、活躍し続けてくれることを望まれているのです。
試行錯誤を繰り返し、失敗と成功の積み重ねフローレンスの障害者雇用は「障害のある子どもたちが職業に就く未来を当たり前のこととして想像できる社会」を目標に掲げてスタートしています。
フローレンスの障害者雇用が最初からうまくいった訳では決してありません。この7年半、障害者雇用のスタッフが、試行錯誤を繰り返し、失敗と成功を積み重ねてきました。
様々な企業の優良事例から多くを学びながら支援体制を整え、スキルアップにつながる業務を集める仕組みを作り、支援に必要な情報のデータ化を進めてきたことで、障害のあるスタッフも生き生きと活躍できる場となり、障害者雇用における成功事例の一つとして評価をいただけるようになりました。
これまでは、フローレンスの障害者雇用チームとしてnoteでも発信してきました。
今回、この書籍を通じて、全ての会社の障害者がインクルーシブにイキイキ働き、戦略人材となれるよう、フローレンスの失敗や成功を参考にしていただきたいと考えています。
これから障害者雇用を始めようと考えている方や、障害者雇用を始めたばかりの方がこの書籍を手に取った時、少しでも役立てていただければと思います。
『障害者雇用の「困った」を解決! 発達障害・知的障害のある社員を活かすサポートブック』
こうすればうまくいく!
<支援体制の整え方/業務の切り出し/合理的配慮/離職防止>
第1章 障害者雇用を始めるために
第2章 障害のある人と一緒に働くときに知っておきたいこと
第3章 業務の切り出しとマッチング
第4章 知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ハック
秀和システム ¥1,500(税抜)