Florence News

オレンジウォーク対談記事のアイキャッチ画像。フローレンス澤田、バディチーム青木さんが、オレンジのTシャツを持って二人で並んで立っている写真

家庭とつながり、孤立を防ぐ――バディチーム青木氏と児童虐待防止推進イベント「ORANGE WALK」振り返り対談!

#カルチャー #寄付

児童虐待防止に取り組む団体へ寄付を届けるチャリティウォーク「ORANGE WALK 2024(以下、ORANGE WALK)(日本こども支援協会主催)」が今年も11月に開催されました。「ORANGE WALK」は、スマホアプリから全国どこからでも誰でも参加でき、参加者の歩数や参加人数に応じた金額が団体へ寄付されるチャリティイベントです。昨年に引き続いてフローレンスは支援先団体の一つに選ばれ、多くの方から応援していただきました。

今回選ばれた支援先団体は、フローレンスを含む全16団体で、子育て支援・虐待防止を目的とした家庭訪問型の支援活動を行う「NPO法人バディチーム」(以下、バディチーム)もその一つです。フローレンスの活動と親和性があり、事業所が近いという共通点もあることから、昨年から共に「ORANGE WALK」を盛り上げてきました。

そんな「バディチーム」の青木博美さんとフローレンスの澤田澄江が、今年の「ORANGE WALK」を振り返るとともに、それぞれの団体における児童虐待に対する取り組みなどについて語りました。対談の模様をお届けします!

青木 博美

青木博美さんの顔写真

NPO法人バディチーム 事務局・広報担当

居場所型子育て支援の経験から、そうした場に出かけていくことも難しく、孤立しがちな親子へのサポートとして家庭訪問型支援を知り2018年バディチームに参画。保育士・ベビーマッサージ講師。趣味は音楽フェスに行くことと韓国ドラマ鑑賞。

澤田 澄江

澤田澄江の顔写真

認定NPO法人フローレンス
みんなで社会変革事業部 寄付広報担当

文学研究所、外資系企業勤務、文芸翻訳家を経て2021年にフローレンス入職。準認定ファンドレイザー、交流分析士インストラクター。こどもに寄り添う支援をしたいと2024年に保育士資格を取得。趣味は剣道、マラソン、着物、筋肉。

「この一歩が児童虐待防止につながっている」

澤田澄江の顔写真

澤田

「ORANGE WALK」お疲れさまでした! 昨年に比べて支援先団体が増えただけでなく、参加者も5,000人ほど増加して4万人を突破、トータルの歩数も73億歩と、本当に盛大な開催となりましたね。フローレンスでも、「ORANGE WALK」が恒例行事となりつつあり、「今日どれくらい歩いた?」などコミュニケーションの機会にもなっている気がします。

青木博美さんの顔写真

青木

バディチームも同じく、今年も楽しく参加させてもらいました。

澤田澄江の顔写真

澤田

「この一歩が児童虐待防止につながっているんだ」という気分にもなりますよね。たくさんの参加者が楽しく歩くことで、児童虐待防止という意義がより広まりやすいように思います。

青木博美さんの顔写真

青木

バディチームでも多くのスタッフが口コミで「ORANGE WALK」の活動を広めてくれました。「参加させてくれてありがとう」といった言葉ももらえて、逆にわたしたちの方が励まされた思いです。

澤田澄江の顔写真

澤田

自分たちの一歩が児童虐待防止のアクションになっていると実感されたんでしょう。同時に多くの方がそれだけ児童虐待に対する関心がある表れなのかもしれませんね。

青木さんと澤田が並んで話している様子

家庭に訪問し、困難を抱える親子を支えるバディチームの活動

青木博美さんの顔写真

青木

児童虐待防止の機運が高まる中、わたしたちのような団体がどのような活動を行っていくかということも重要ですよね。フローレンスさんでは、児童虐待防止という観点からどのような取り組みを行っているのでしょうか。

澤田澄江の顔写真

澤田

わたしたちは児童虐待を未然に防止するために、貧困や地域での孤立などさまざまな社会課題にアプローチしています。例えば、赤ちゃんの遺棄や虐待のゼロを目指す「にんしん相談」や「赤ちゃん縁組」事業、訪問型病児保育のひとり親支援、生活の厳しい家庭に定期的に食品を届け、つながりを作る「こども宅食」、専門資格を持つ保育ソーシャルワーカーが保育所や行政と連携して家庭をサポートする「保育ソーシャルワーク」などを行なっています。

さらに、こどもを性被害から守る仕組み「日本版DBS」法の創設などの政策提言やソーシャルアクションで課題の根本解決にも取り組んでいます。
バディチームさんはどんな取り組みに力を入れているのでしょうか。

青木博美さんの顔写真

青木

わたしたちは、行政や民間機関と協力しながら家庭訪問型の支援活動を行なっています。「子育て世帯訪問支援事業」として、行政から依頼があった子育てに困っている家庭に訪問し、家事、保育、送迎、学習支援などの具体的なお手伝いをしながら家庭の孤立を防ぎ、育児疲れの軽減や生活環境を整えるサポートをしています。実際に家庭の中に入るからこそ、見えてくるものが多くあると思っています。

澤田澄江の顔写真

澤田

なるほど。家庭の中に入らないと見えないこともありますよね。

青木博美さんの顔写真

青木

そうなんです。他にも、「食の支援事業」として家庭で食事を作る支援や、「里親家庭支援事業」として里親を支えることを目的とした訪問型の支援なども行なっています。また、既存の制度や支援に当てはまらない制度の狭間で孤立している家庭へ保育や家事、送迎などのサポートのほか、今年度からは「小さな居場所事業」も実施しています。これは、こども食堂や一般の居場所など不特定多数の人がいる所には行きづらい子どもや親子に対し、手作りの温かい食事や落ち着いた空間で心身を休めることができる、少人数で過ごす小さな居場所を提供するというものです。

小さな居場所事業での様子
小さな居場所事業での様子

孤立する家庭へつながる難しさ

澤田澄江の顔写真

澤田

「孤立を防ぐ」というのは、児童虐待防止に取り組む団体にとって一つのキーワードになるのかもしれませんね。ただ、孤立している家庭へどうアプローチしてつながるかというのはなかなか難しい課題だと感じています。

青木博美さんの顔写真

青木

バディチームでも、先述した「制度の狭間」に陥ってしまった家庭につながるのは容易ではありません。そこで、フードバンクの取り組みを行なっている団体さんと連携して、支援が必要そうなご家庭があれば連絡をいただいて、訪問につなげるといった工夫をしています。ただ、訪問が難しいご家庭もあって、そういった場合には「小さな居場所事業」につなげて、親戚の家に来てもらったような感じでゆっくりと休める環境を提供しています。

澤田澄江の顔写真

澤田

寄り添うことを大切にされているんですね。

青木博美さんの顔写真

青木

そうですね。「寄り添う支援」として、どんな事情や背景があったとしてもご家庭のありのままを受け止め、受容し傾聴して共感していくことを大切にしています。すごく難しいんですけど。でも、寄り添うことの大切さを、社会にも少しずつ広げていきたいですね。

一人一人が寛容さを持ち、児童虐待のない社会へ

澤田澄江の顔写真

澤田

寄り添うと同時に、知識を持ってきちんとサポートができる人が入っていくことも重要だろうなと思いますね。

青木博美さんの顔写真

青木

バディチームでは「子育てパートナー」と呼ばれるスタッフが家庭への訪問を行なっています。年齢、性別、資格や経験の有無を問わず幅広く募集をしているのですが、実際に訪問するまでに研修を行なうことはもちろん、事務局の「コーディネーター」と呼ばれるスタッフが伴走し、現場での話を聞いて、共に悩みながら一つの家庭を支援しています。

青木さんが話している様子

澤田澄江の顔写真

澤田

そういったことができるのが、まさにわたしたちNPO団体が支援する意義ですよね。理想は地域や社会で子育てができることが一番ですが、現状としてなかなか難しいですし、社会は寛容さも失いつつあるような気がしています。一人一人が寛容さを持ち、優しく寄り添うことで児童虐待も軽減していくのではないでしょうか。寛容さのない社会では追い詰められ、孤立してしまう人を増やしてしまう一方であり、人というのは追い詰められると本当に予想もしないような行動をとってしまうものですから。

青木博美さんの顔写真

青木

わたしたちが毎年11月に「ORANGE WALK」で歩くことで、追い詰められていると感じている方へも「世の中にはあなたを支えたいと思っている人がいるんだよ」ということをメッセージとして発信していけたらすごく嬉しいですね。それがバディチームのビジョンでもある「みんなで子育てする社会」にもつながると思いますし、多くの人に知っていただく機会になればと思います。

澤田澄江の顔写真

澤田

「ORANGE WALK」は、児童虐待防止に対する社会の意識を高め、団体の取り組みに賛同してもらえるという点で非常に有意義なものですが、今後はそれだけにとどまらず、団体の活動そのものを支援していただくための寄付にどうつなげていくかという部分もファンドレイザーとして設計していけたらと思います。支援活動にはお金が必要だということも発信しながら活動を広めていきたいですね。


児童虐待の背景には妊婦や親子の経済的困窮や社会的孤立など、いくつもの要素が絡み合っています。誰にも頼れず困っている場合も多く、フローレンスでは幅広い支援に取り組んでいます。

そして、こういった活動を継続して行うことができるのは、寄付者の皆さんからご支援をいただけるからです。引き続きフローレンスをよろしくお願いいたします。


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