大阪市の養子縁組の斡旋団体が平成26年にあっせんした養子縁組で、乳児の養親(育ての親)となった女性が約1カ月後に詐欺事件で逮捕され、児童相談所が乳児を一時保護していたことが分かりました。この養子縁組では、養親希望者からの問い合わせメール後わずか一週間で、子どもを委託していました。
http://www.sankei.com/west/news/160414/wst1604140010-n1.html ※記事は削除されています
報道によると、26年春ごろ九州に住む女性から「養親になりたい」とメールが届き、メールや電話で養親側の経済状況などを調査したということです。
家庭訪問を1度実施したものの、最初のメールから1週間ほどで乳児を委託。
約1カ月後に養親の女性が詐欺事件の容疑者として逮捕され、この乳児は児童相談所に保護されてしまいました。
養子縁組制度は家庭を必要とする子どもに一生の家庭を与え、特定の大人の愛情に包まれながら育つための制度です。丁寧な養親の選定がなされないまま委託された上に、1カ月の間に実親・養親・乳児院と、転々とせざるを得なかった1歳にも満たない赤ちゃんを思うと胸が痛みます。
フローレンスの赤ちゃん縁組では、親となる責任の重大さと養子縁組制度を深く理解した育ての親希望者のみを選定していきます。
具体的には、説明会の参加後、個別面談・家庭調査などの厳正な審査を経て、適正が認められた上で育ての親候補者としての登録が可能となり、子どもを迎える更なる準備としてフローレンスの運営する保育施設での実習や、提携している医療施設にて助産師による指導のもと入院型の育児研修を受けることになっています。
また、 私たちは生みの親のカウンセリングも丁寧に行っていきます。
予期せぬ妊娠に悩む女性への丁寧なカウンセリングを行い、各々の状況に応じて必要な社会的資源につなぎます。
そして最終的にその女性と赤ちゃんにとって最善の選択肢が養子縁組だと至った場合に、その赤ちゃんが生まれてきた背景も考慮の上でマッチングを行い、最も良いと思われる育ての親候補者に委託します。
委託後も行政・司法とともに試験養育期間を見守りながら、親子となる成長期間をサポートし、生みのお母さんの委託後の心のケア・自立へのサポートも行っていきます。
今回の事件によって、養子縁組の仕組みそのものやあっせん団体全体に不信感を抱かれてしまうことは大変残念なことです。
現在民間のあっせん団体は20程度。2012年度は116人の養子縁組が成立しており、子どもが家庭で愛情に包まれて育つために大きな役割を担っています。
一方で、養子縁組についての共通ルールがないため、不透明な実態も指摘されてきました。
現在、行政でも養子縁組についての法律を設ける方針です。あっせん団体についても今の届け出制から許可制にしてルールや透明性を確保した上で、養子縁組を推進することを目指しています。
こうした法律が整備され、規制と養子縁組の支援の両面が強化されることが、養子縁組が日本で広まっていく上で不可欠です。
フローレンスでは質の良い養子縁組を行っていくために複数の団体と協働し、養子縁組の実務勉強会を行うほか、制度づくりに貢献していきます。
そして赤ちゃん縁組の担い手として、まずは赤ちゃんが幸せになれることを一番に、
委託を決意した生みの親、育ての親、当事者全員が幸せになれる縁組を目指していきます。
これからもみなさんの応援よろしくお願いいたします。