日本の保育の魅力を発信するイベント「J-HOIKU2025」が6月1日、東京大学の安田講堂で開催されました。主催は、社会福祉連携推進法人あたらしい保育イニシアチブ。保育士、企業、専門家など、国内外の多彩な登壇者やゲストが参加し、実際の事例を交えたセッションが行われました。
フローレンスの保育園からも白鳥園長が登壇。現場の保育士と喜び合った心に残る「ありがとう」のエピソードを共有しました。本記事では、イベントの様子とともに、保育という仕事の価値をあらためて見つめ直します。
保育士は日本の未来を育てる最高の職業
こどもを支える保育士という職業が、もっと社会的に認められるべきではないか。保育士という職業を選ぶ方が、もっと自信を持ってやりがいを感じながら働いて欲しいーー
午前の部では、保育士だけでなく、調理師、看護師など、保育に関わる全ての人へ感謝の気持ちを伝える「保育士さんへのありがとうを伝える会」が開催されました。
登壇したのは、保育園の園長、保護者、保育の運営を支える会社の事務スタッフ、保育園と共に帆走する企業の方など。それぞれの立場から保育士に向けて感謝のコメントがシェアされました。
「見えない努力を保育士はしている。当たり前かもしれないが、それは当たり前ではない。」
「家族のように関わってくれた。選択肢が増えることで、働き方が増える。」
「保護者の変化に寄り添い声をかけてくれる、いざとなったら保育園があることが心の支えになる。」
「申し訳ない気持ちがありながらも、先生の大丈夫の言葉に親が救われる。」
そして、フローレンスからは「みんなのみらいをつくる保育園東雲」の白鳥園長が登壇しました。
白鳥園長は、「実際にこども誰でも通園制度を利用した方からの感謝の言葉が詰まったエピソード」を披露。現場の負担がある中でも、「『ありがとう』のひとことを聞くことで、スタッフと心から喜びを分かち合うことができました」と語りました。
さらに、「保育のプロとして、どんなこどもも一人一人を大切に預かり、日本の未来を育む最高の職業が保育士だと信じています」と力強くスピーチ。現場の保育士、保護者、そして保育を支えるさまざまなステークホルダーからの「ありがとう」のメッセージが会場を温かい雰囲気に包み込みました。
総勢600人以上が参加したJ-HOIKU2025
午後の部は、国内だけでなく、海外ともオンラインでつながり、日本から発信する保育の新たな可能性についてセッションが行われました。
オープニングセッションでは、玉川大学教育学部教授・大豆生田啓友さんが「はじめの100か月の育ちビジョン」とウェルビーイング(※)を軸にした保育について話しました。
大豆生田先生が提唱する育ちビジョン「はじめの100か月の育ちビジョン」は、乳幼児期に体と心が育まれることで、こどもの幸せや将来の成長につながるという考え方です。こどもの”全体的な幸せ=ウェルビーイング”を重視する視点は今注目されています。
日本のこどもたちは、世界的に見ても体の健康が高い一方で、心の健康は高いとは言えない現状があります。だからこそ、ウェルビーイングを重視し、安心して挑戦できる保育、家族、保育者、社会が一緒になってこどもを支える保育が求められていると話しました。
※ウェルビーイングとは、体と心とそれを取り巻く環境や社会の状況を総合的に見て、幸せな状態であることを指します。
オープニングセッション後、登壇者たちは「こどものウェルビーイング」をテーマに、日本と海外の保育の違いについてセッションごとに分かれて議論を深めました。
- 身体的ウェルビーイング:日常の生活の中にある「食べる・育てる」という営みを通して、心身の成長に繋がる重要性についてセッション。こどもが自然に触れながら、保育者が共に身近な環境で学び遊ぶことが、こどもの心と体を育む機会になることを話しました。
- 心理的ウェルビーイング:ニュージーランドの保育現場を視察した2名の登壇者が、自身の経験を交えながらセッション。こどもが主体的に学び育つためには、成長を支える心理的な安全と、挑戦を引き出す安全な環境の両方が必要であると話しました。
- 社会的ウェルビーイング:こどもの興味・関心に主眼を置いたイタリアの教育法「レッジョエミリア教育」を発信するクラウディア・ジュウディチさんとオンラインで中継を結びながらセッションが行われました。「こども・まち・社会が共に育つためには、多様な出会いが不可欠です。地域に根差した日本の保育文化の豊かさや、こどもと地域の繋がりを見つめ直すことで、保育の未来を考えるきっかけになるでしょう」と語られました。
こどもたちは社会を変える大きな存在
海外の実践と日本の保育を対話的に照らし合わせながら、教育の本質を考え、未来に向けた課題を考える機会になった本イベント。こどもが育つには体や心だけでなく、社会とのつながりが大きな影響をもたらすことが改めてわかりました。
今後は家庭だけでなく、社会全体で子育てをすることが一層重要になります。社会全体で子育て世代をどう巻き込んでいくのかが、保育園や教育機関に求められていくでしょう。
フローレンスの保育園で働く仲間を募集中
フローレンスの保育園では、こどもたち一人一人の気持ちや意見を大切にし、こどもたちの「やってみたい」を応援する「シチズンシップ保育※」を実践しています。
| 「シチズンシップ」とは?「一人ひとりが社会の一員として、よりよい社会の実現のために、積極的に多様な人々と協働して課題解決する」資質、能力のこと |
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わたしたちと一緒にシチズンシップ保育を探究する仲間も募集しています。詳細は下記よりご確認いただけます。




