フローレンスは、2004年に共済型・訪問型病児保育事業からスタートしました。その後20年の営みのなかで、こどもの虐待や貧困、障害児家庭の支援不足、親子の孤立といった社会課題に向き合い、その解決策の一案として多様な事業を実践してきました。
たとえば、主に東京都で展開している「小規模認可保育所」や障害児を対象とした各種事業のほか、「こども宅食」「おやこよりそいチャット」「にんしん相談」「赤ちゃん縁組」など、全国で展開する福祉事業や支援活動があります。また、それらの事業の担い手となる団体や利用者が増えるように政策提言にも力を入れています。
わたしたちの活動は、利用者のみなさんからの利用料をはじめ、国や自治体の制度に基づく補助金、さらに個人や法人のみなさんからの寄付金・助成金によって成り立っています。だからこそ、お預かりした資金の使い道を、できる限りわかりやすく、きちんとお伝えすることを大切にしています。
補助金の仕組みと使い道について
今回は、なかでも公的資金である補助金について、その仕組みと使い道をご説明します。
国や自治体からの補助金で成り立っている保育・福祉事業は、「子ども・子育て支援法」・「児童福祉法」に基づいて運営しています。補助金は、保育士や看護師などスタッフの人件費や、事業の運営に必要な費用(施設家賃や給食材料等)に充てられます。
令和6年度には、国や自治体からの補助金を、あわせて18億9千万円受け取りました。そのうち約8割(15億6千万円)は、保育所運営や施設型病児保育、障害児向けの訪問保育事業などの運営に充てられており、「子ども・子育て支援法」や「児童福祉法」に基づき、決まった基準で交付された補助金です。
また、約1割強(2億5千万円)は、国の制度に基づき、地域団体の食支援事業を支援するために交付されました。
残る7千6百万円にあたる補助金は、相談支援や地域連携などの事業に対して交付されたものです。
財務情報は、所轄庁(東京都生活文化局)の情報公開サイトで公開されており、保育所の運営にあたっては、毎年、自治体への報告も欠かさず行っています。

※2024年度時点。東京都、仙台市で運営する小規模保育所・認可保育所・企業主導型保育所を含みます。
保育事業の補助金について
フローレンスが令和6年度に受け取った補助金のうち、約15億6千万円は「子ども・子育て支援法」や「児童福祉法」に基づき交付されたものです。
これは、保育所や病児保育施設、障害児向け訪問保育など、日々の保育・福祉事業の安定的な運営に使われています。
主な内訳は、以下の通りです
- 病児保育(訪問型/施設型)運営にかかる補助金:2千万円
- 保育所運営にかかる補助金(施設型):9億3千万円
・小規模保育所(東京・仙台) 11園
・企業主導型保育所(仙台) 1園
・認可保育所(東京) 2園 - 障害児向け訪問保育・通所型児童発達支援にかかる補助金(訪問型/施設型):6億5百万円
・居宅訪問型保育事業:約70名/月
・通所型児童発達支援事業に対する東京都補助事業
・月あたり算定数(※):約320〜420人日
(※)利用者1人が1日通所利用するごとに算定されます
補助金の仕組み
これらの補助金は主に、「公定価格」と呼ばれる利用者(こども)一人あたりの金額をベースに計算されます。
さらに、保育士の処遇改善や、障害のあるこどものための追加的な保育士配置などに対しても補助金が交付されます。

食支援事業の補助金について
国は、全国のひとり親家庭等を支援するこども食堂やフードパントリー等の地域団体に、貧困・孤立対策として資金助成や運営支援を行う事業を実施しています。令和6年度は、地域団体への支援を行う「広域運営支援団体」を国が10団体採択しました。
フローレンスも、「広域運営支援団体」の1つとして、令和6年度に約2億5千万円の補助金の交付を受け、全国112か所の地域団体に資金助成し、研修会等で事業ノウハウを提供しました。
その他の補助金について
残る7千6百万円にあたる補助金は、相談支援や地域連携などの事業に対して交付されたものです。いずれも公的な制度に基づき、事業運営のための費用の一部として、一定の割合で支給されています。
これらの補助金も、法令および行政の基準に則って適正に処理され、必要な報告や手続きが行われています。
おわりに
今後も、みなさんに信頼される団体であり続けられるよう、一歩ずつ、誠実に取り組んでいきます。「事業をつくり、しくみを変え、文化を生み出す」取り組みを通じて、「新しいあたりまえ」を未来に手渡していきます。

