平素より弊会の運営に対し多大なるご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
弊会が2017年に東京都渋谷区において開設した複合保育施設「おやこ基地シブヤ」に関しまして、助成事業に係る手続きに不適切な対応があったことを助成元である公益財団法人日本財団(以下日本財団)よりご指摘いただきました。
本件の経緯と対応について、下記のとおりご報告申し上げます。
1. 対象施設の概要
弊会は2017年、東京都渋谷区に複合保育施設「おやこ基地シブヤ」を開設いたしました。同施設は、開設当時、認可保育所、障害児施設「ヘレン初台」、病児保育室、小児科(※1)を併設しており、認可保育所の整備に際しては国の「保育所等整備交付金」および東京都の補助金を受給しております。
このうち、弊会の自主事業として併設する「ヘレン初台」の整備費用につきましては、日本財団からの助成を受けて整備を行いました。
また、建設費用の一部については、金融機関からの借入金により充当いたしました。
(※1)病児保育室および小児科は医療法人社団マーガレットによる運営。
2. 指摘内容と確認結果
日本財団より問い合わせを受けて調査した結果、以下の事実を確認しております。
(1)担保設定に関する手続きの不履行
建物の建設資金の金融機関からの借入に伴い、当該建物に対して担保設定がされておりました。助成契約においては、助成対象資産を担保に供する場合、日本財団への事前の相談が必要とされておりましたが、当該手続きが履行されておりませんでした。
(2)当該建物の共有部面積の算定における不整合
日本財団に対する助成金申請手続において、弊会が申請した面積の算定基準に不整合がありました。
日本財団への申請時、ヘレン初台と認可保育所の共有部分(廊下等)については、両事業で等分(2分の1)とした面積で申請しておりました。
一方で、その後の認可保育所申請においては、両事業の定員(ヘレン初台5名:認可保育所30名)に応じた面積で申請しておりました。この変更について日本財団への適切な報告及び修正相談が行えておらず、同一施設内で2つの異なる面積算定が混在する状態となっておりました。
3. 報告および事前相談が行われなかった経緯と要因
弊会の内部において、ヘレン初台の助成金申請担当者と、おやこ基地シブヤ建設プロジェクト(銀行からの資金調達を行う財務担当、認可保育所開設申請担当)間の連携が不足しており、十分な情報共有がなされておりませんでした。このため、以下の重要な制約事項が各担当者間で連携されないまま、日本財団との契約が締結されました。
- 融資において建物への担保設定がなされること
- 日本財団助成金申請において、建物への担保設定に事前の相談が必要となること
- 日本財団助成金申請において、共有部の面積が等分で申請されていること
- 認可保育所の補助金申請において、共有部の面積が定員比で申請されていること
本来であれば、ヘレン初台と認可保育所を個別の事業として扱うのではなく、複合施設全体として統一した面積および資金調達の情報管理を行うべきでした。しかし、担当者間の連携が不十分であり、事業ごとの分断された管理にとどまっておりました。
担保設定および面積算定の不整合が生じた経緯は以下のとおりです。
| 日付 | 弊会担当 | 事象 |
|---|---|---|
| 2016年9月 | - | 「おやこ基地シブヤ」プロジェクトが開始 |
| 2016年10月 | ヘレン初台担当 | 日本財団にヘレン初台の助成金申請(共有部分を「等分」として面積申請) |
| 2017年2月 | - | 建物工事着工 |
| 2017年3月 | 認可保育所担当 | 認可保育所の開設申請(共有部分を「定員比」として面積申請) |
| 2017年4月 | ヘレン初台担当 | 日本財団と助成契約締結(共有部分を「等分」とした面積で契約) |
| 2017年10月 | - | 「おやこ基地シブヤ」事業開始 |
| 2017年12月 | 財務担当 | 担保設定の契約(根抵当権設定契約証書)締結 |
| 2018年2月 | ヘレン初台担当 | 日本財団へ助成事業(ヘレン初台の開設)の完了報告、助成金の受領 |
| 2025年11月 | - | 建物に担保を設定していた事実が発覚、抹消手続きを実施 |
| 2025年11月 | - | 根抵当権抹消手続き完了 |
| 2025年12月 | - | 日本財団より問い合わせを受け、事前相談のない担保設定の事実を確認、弊会にて経緯の確認を開始 |
| 2026年1月 | - | 認可保育所開設申請と日本財団向け助成金申請間の面積算定の不整合が判明、経緯の調査を開始 |
| 2026年4月 | - | 日本財団へ指摘事項に対する報告を実施 |
| 2026年4月 | - | 弊会より助成金の一部自主返納を実施 |
4. 弊会の対応について
本指摘事項につきまして事実確認を行い、日本財団への報告を完了しております。
事前相談なく担保設定を行っていたことについては、日本財団より厳重注意を受けました。
なお、当該担保(根抵当権)設定は2025年11月に抹消手続きが完了しております。
面積算定の不整合につきましては、弊会にて改めて整理を行い、認可保育所の開設申請の基準に統一し、日本財団からの助成金の一部を自主返納することといたしました。
統一した面積算定に基づき、助成金相当の金額を弊会にて改めて算出し、2026年4月23日、実際の受領額との差額12,845,000円を日本財団に自主返納いたしました。
| 事業費総額:42,449,739円 助成金額 :33,959,000円 自主返納額:12,845,000円 |
|---|
なお、本事案と並行し、「おやこ基地シブヤ」全体において他に補助金・助成金の申請手続き上の不備が存在しないか、外部弁護士を通じた横断的な調査を実施し、他に問題がないことを確認済みです。
5. 再発防止策の策定に向けて
判明した課題に基づき、以下の再発防止策を策定し、順次実施してまいります。
- 公的資金関連事業の法務監査体制の確立
- 資金調達時における情報共有・一元管理ルールの明確化
- 資金助成元との承諾手続きの適正化
- ガバナンス・内部統制の継続的強化
本件は、助成事業の適正な遂行に対する信頼を損なう事態であり、弊会としてとして極めて重く受け止めております。関係者の皆さまに対しまして、改めて深くお詫び申し上げます。
今後は、本件を教訓として、組織運営の透明性および適正性の一層の向上に全力を挙げて取り組んでまいります。
2026年4月27日
認定NPO法人フローレンス
代表理事 赤坂 緑

