先週土曜から始まった安田成美主演の連続ドラマ「朝が来る」。みなさんご覧になりましたか?
1話では、主人公の夫婦が「特別養子縁組」に至った経緯や、子どもの実の親・片倉ひかりが出産に至るまでが描かれました。養子の朝斗くん役が「37.5℃の涙」の1話に登場した子役の男の子だったので、大きくなったな~とキュンキュンしながら見守りました。
このドラマでテーマとなっている「特別養子縁組」
今回は、あまり馴染みのないこの制度について皆さんに詳しくご紹介します。
●特別養子縁組って?
「特別養子縁組」とは、民法第817条で定められている子どもの福祉のための制度で、様々な事情で親が育てられない子どもを、家庭で特定の親から愛情を受けて養育することを目的としています。
原則として6歳未満の子どもとその生みの親との法律上の親族関係を消滅させ、子どもと育ての親の間に実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度です。
養子縁組という制度に解釈を広げると「普通養子縁組」という制度もありますが、これは養子となる者は戸籍上、実親と育ての親両方との親子関係を持ちます。
一方、「特別養子縁組」は育ての親と養子の親子関係を重視し、養子は戸籍上育ての親の子となり実親との親子関係が消滅します。戸籍には、育ての親となる夫婦の「長男・長女」と記載されます。
また、いったん養子縁組をしたら離縁は原則としてできません。育ての親には、子どもにとってその成長にふさわしい養育環境を用意し、成人後も精神的に子どもを支え続けること、すなわち「子どもの一生を引き受ける覚悟」が求められることになります。子どもが病気になることもあるでしょう。成長して犯罪を犯すことだってあるかもしれません。それは実の子であっても同じことですが、何が起こってもその子の全部を引き受ける、育ての親にはその覚悟が問われます。
●特別養子縁組はどのようにできるのか?
厚生労働省によると平成25年度に家庭裁判所で成立した「特別養子縁組」474件のうち、民間事業者のあっせん件数は196人となっており、「特別養子縁組」成立の約半数弱を担っていることになります(それ以外は行政の児童相談所によるあっせん)。ドラマに登場するベビーバトンも民間事業者として描かれていますね。
私たち民間事業者は、望まない妊娠をした女性の相談を受ける一方、育ての親を希望する夫婦のカウンセリングや選定をし、生まれた子どもと育ての親のマッチングを行っています。(ここはまた今後詳しくお伝えするとしてここでは省略します)
児童相談所は、税金が投入された行政機関であるのに対し民間事業者への運営の補助は一切ないため、「特別養子縁組」の仲介に関する費用は育ての親が負担する場合がほとんどです。
実際に子どもが生まれ委託されると、育ての親は家庭裁判所へ「特別養子縁組」の申し立てを行います。
6ヶ月の「試験養育期間」中には裁判所や児童相談所から養育状況の確認のための家庭訪問があったり、生みの親にも親子関係が消滅することへの意思確認がなされます。これらを経て審判が確定すると、実の親との親子関係は消滅し、育ての親と子の法的な親子関係が認められます。子どもと夫婦をただマッチングするだけでは成立しないのが特別養子縁組です。子どもが委託され適切に司法や行政のチェックを受け、やっと法的に親子となります。
●すべての子どもたちが幸せになってほしい
子どもは、特定の親から愛情を受けながら養育されるのが一番とされています。子どもが健やかに育っていくための制度、それが「特別養子縁組」制度です。
そして、望まない妊娠をするなど何らかの事情で子どもを育てることができず育ての親へ子どもを委託した生みの親、子どもを望む夫婦、それぞれを大切にして当事者みんなの幸せを考えることが、より良い「特別養子縁組」につながる、子どもの幸せにつながると考えています。
フローレンスでは子どもを産んでも育てられない事情を抱えた女性の妊娠相談と、赤ちゃん縁組(「特別養子縁組」)の取り組みを行っています。
「特別養子縁組」の制度はまだまだ知られておらず、悩んだ女性が子どもを出産後すぐに殺してしまうなどの痛ましい虐待死が起こっています。こういった事件を防ぐためにも、「特別養子縁組」制度が広く知られるよう、シェアをお願いします。
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