フローレンスでは、2026年、橋本吉央(はしもと・よしちか)と本間奏(ほんま・かなづ)の2名が、新たにディレクター(執行役員)に就任しました。
フローレンスのディレクターは、担当する事業領域に責任を持つと同時に、組織全体の経営にも携わります。今回就任した2人に共通するのは、一つの職種や事業にとどまらず、いくつもの領域を横断しながら経験を重ねてきたことです。この記事では、2人の歩みと、経営チームの一員としてこれから大切にしていきたいことを、本人の言葉も交えて紹介します。
新たな経営体制について
フローレンスは「こどもたちのために、日本を変える」を掲げ、保育や病児保育、障害児・医療的ケア児家庭支援、こどもの貧困や孤立への支援、政策提言まで、親子を取り巻くさまざまな社会課題に取り組んできました。事業をつくり、しくみを変え、文化を生み出しながら社会を動かしていくことを、わたしたちのミッションとしています。
こうした課題は年々複雑になり、暮らしのいろいろな場面にまたがっています。異なる領域で経験を積んだ2人が経営に加わることには、大きな意味があると考えています。
なお、医療局ディレクターを務めてきた田中純子は、2026年7月末をもってディレクターを退任しました。田中は引き続き、フローレンスの関連団体である医療法人社団マーガレットが運営する「フローレンスこどもと心クリニック」の院長を務めます。
これにより、フローレンスの経営チームはディレクター5名体制となりました。
代表理事・赤坂緑より

フローレンスが向き合う親子の課題は、どれも一つの事業や専門性だけで解決できるものではありません。訪問型の病児保育も、障害児家庭への支援も、こども宅食も、それぞれの現場で親子と向き合い、そこで見えたことを事業や政策、社会への発信へとつなげてきました。その一つ一つをつなぎ、組織として前に進めていくのが、経営チームの役割だと思っています。
橋本さんと本間さんは、それぞれ畑の違う場所で、現場と事業と組織の課題に向き合ってきた2人です。異なる経験をしてきた2人の視点が経営に加わることを、とても心強く感じています。
わたしたちが目指すのは、こどもたちが多様な選択肢と可能性を持ち、社会のなかで育まれることがあたりまえになる社会です。そんな「新しいあたりまえ」は、大きな一つの出来事ではなく、スタッフや利用者、支援者、協働してくださる皆さんとともに、日々の判断と行動を一歩ずつ重ねていく先に生まれると思っています。新しい経営チームで、その歩みを続けてまいります。
発信としくみづくりの経験を、経営へ――橋本吉央
担当領域:広報・ソーシャルテック部門

橋本は、SEとして金融系システムの開発・導入に携わったのち、第一子の誕生をきっかけに子育てを取り巻く課題への関心を深め、2015年、社内システムの担当としてフローレンスに入職しました。
その後は、コーポレートニュースの編集、広報、ファンドレイジング、障害児保育の事業運営と、幅広い領域を経験。自身も2度の育児休業を取得しながら働いてきました。2026年、ディレクターに就任しました。
システム、発信、寄付、障害児保育の事業運営。一見ばらばらに見えるこれらの仕事を通じて橋本が向き合ってきたのは、社会課題の解決を支えるしくみをつくり、その取り組みを必要な人や社会に届けることでした。自身が子育てをしながら働いてきた経験も、その根っこにあります。
その経験を、これからの経営にどう生かしていくのか。橋本に聞きました。
仕事も子育ても、楽しむことを諦めなくていいのがあたりまえ。 発信としくみづくりの両面をとおして、父でも母でも、「しんどいだけじゃない仕事と子育て」ができる社会を目指します。
わたし自身、3人の子育てをしながら、2度の育休を取って働いてきました。第一子が生まれたとき、このままの働き方では大切にしたいものを大切にできないと感じたことが、いまの仕事の出発点になっています。
こどもという小さくて巨大な存在を前に右往左往し、なにもかも思い通りに行かず、ただただ「子育てってしんどい」とため息が漏れる。
それは世の親(保護者)の日常ではありますが、だから仕事か子育てかのどちらかを諦めたり我慢するのではなく、両方を楽しんでもいい。少なくとも「楽しみたい」と思ったっていい。それがあたりまえだと言える社会を目指したいですよね。
現場とバックオフィスどちらも経験して感じるのは、どんなに良い取り組みも、必要としている人に届かなければ意味がないということです。だから、現場で積み重ねてきた知恵や工夫を、わかりやすく伝え、テクノロジーの力も借りながら、もっと多くの人や社会に届けていきたい。そこからのフィードバックがフローレンスの事業をさらに前に進め、組織の運営そのものをアップデートしていくことにもつながります。
フローレンスの強さは、目の前の親子のために全力を尽くす視点と、社会全体を俯瞰し課題を解決しようとする視点が、多様なバックグラウンドをもつスタッフの連携によってつながっていることだと思います。一人一人が最大限に力を発揮できるように、AIをはじめとするテクノロジーも効果的に活用し、われわれ自身が楽しんで働ける、そんな組織をつくっていきたいです。
親子の「つらい」が深刻化する前に――本間奏
担当領域:寄付型事業部門(ソーシャルワーク・こどもの貧困支援

本間は、総合商社の法務部と営業部で働いたのち、自身の子育ての経験などから親子に関わる社会課題に取り組みたいと考え、2019年にフローレンスへ入職しました。
入職後は、新規事業の立ち上げや政策提言などを担当。現在は子育て世帯の孤立や困窮に関わる支援事業を統括し、2026年、ディレクターに就任しました。
本間はこれまで、目の前の家庭に支援を届けることと、NPOや企業などさまざまな立場の人たちと連携して、支援につながるしくみそのものをつくることの、両方に取り組んできました。
その経験から、経営の立場で何を大切にしたいのか。本間からのメッセージです。
親子の「つらい」が深刻化する前に、気づき・つながれるのが本来のあたりまえ。 親子に支援を届け続けながら、NPOや企業の皆さんとともに、そんな社会の実現を目指します。
わたしがこれまでの活動でいちばん強く感じてきたのは、「つらい」「助けてほしい」と口にすることは、思っている以上に難しい、ということです。「困ったら言ってくださいね」と伝えても、自分からSOSを出せる人ばかりではありません。そして支援する側も、気になる家庭とつながりたいのに、どうつながればいいか分からず立ち止まってしまう。現場では、そんな場面によく出会います。
保育の現場やこども宅食の活動を通して、経済的な困りごとを抱えたり、孤立し子育てが困難な状況などに置かれた、たくさんの親子に出会ってきました。「もっと早く出会えていたら」と感じることも、少なくありません。民間だからこそ気づいて動ける柔軟性がある一方で、支援を本当に必要とする人へ広く届けるには、一つの現場の工夫にとどめず、国や自治体の制度や社会の側そのものを変えていくことが欠かせないとも感じています。
少子高齢化が進み、いろいろな人や資源が足りなくなっていく時代に、一つの団体だけで解決できる課題はありません。行政や企業、各地のNPO、地域で暮らす一人ひとりが少しずつ力を持ち寄って、「困ったときはお互いさま」と言い合える循環をつくっていきたい。ディレクターとしても、現場と社会のあいだをつなぎ、その輪を一緒に広げてくれる仲間を増やしていく役割を担っていきたいと思っています。
これからのフローレンスについて
新たにディレクターとなった2人は、それぞれの担当領域を担いながら、経営チームの一員として組織全体の運営にも携わっていきます。フローレンスは、親子の社会課題に取り組むだけでなく、自分たちの組織のあり方にも同じ誠実さで向き合い、その姿勢を日々の一つ一つの仕事の中で示しながら、これからも社会に必要とされる事業としくみをつくり続けてまいります。
フローレンスの経営チームについては、以下のページをご覧ください。

