銀座に日本初のモアサナイトジュエリー専門ショールーム「Brillar(ブリジャール)」が、昨年10月オープンしました。
オープン以来、ダイヤモンドに替わるあたらしい価値を国内に紹介した同店は話題となっていますが、先日6月1日「世界こどもの日」にリリースした「チャリティライン smile」にも注目が集まっています。
実は、このチャリティラインジュエリーは、フローレンスのひとり親支援にご賛同いただいたBrillarさんと、フローレンスとの共同開発商品。
売上の30%がフローレンスの「ひとり親支援」に寄付される仕組みです。
Brillarさんがどうしてひとり親家庭の親子を応援するためのチャリティラインをつくろうと思ったのか。
株式会社Brillar代表取締役社長の小原 亦聡(オハラ イソウ)さんに、フローレンス代表 駒崎がインタビューさせていただきました。
追い詰められた母を救ってくれた、見知らぬ人
駒崎
銀座ショールームオープン以来、フローレンスの「ひとり親支援」に多大なご支援をいただいており誠にありがとうございます。
また、このたびは一緒にチャリティラインジュエリーをつくらせてもらって本当に感激です!ファッションに疎い僕でも、これはかわいいなと思います。
小原
こどものSmileをモチーフにしたジュエリーにしようというのは、開発に携わったフローレンスのご担当者さんもとても気に入ってくださいました。
駒崎
今回のチャリティラインのプロジェクトも「ひとり親家庭の支援」を目的としたものになりますが、Brillarさんがフローレンスのひとり親支援にご賛同下さっている想いについて、改めてお伺いできますか。
小原
実は、私自身が幼少時母子家庭で育ったという原体験があります。母は今の父と再婚するまで、シングルマザーで働きながら私を育てていました。
私は小さい頃、とても身体の弱い子どもで、病気になるたび母は仕事との板挟みになりとても苦しんだようです。
フローレンスさんが運営していらっしゃる、ひとり親に安価に病児保育を提供するサービスは、私の母のようにシングルマザーの女性に間違いなく必要な支援だと感じます。
就労を継続できることは、母子家庭の命綱ですから。
駒崎
子育てと仕事の両立に1人で頑張っていらしたお母さんの背中を見て育ったご経験から、ご支援を決めてくださったんですね。
小原
母親はお金のためっていうより、働くのが好きという人でした。長くキャリアを続けていて、当時働いていた組織の中でも最年少女性幹部になり、けっこう責任の重い仕事をしていたようです。一方で、病気がちな私を抱えてそうした仕事を両立させていくのは至難の業だったようです。
ある時、母は翌日に何百人もの前でプレゼンをしなければならない大事な任務を任されていました。そんな時に私が病気になってしまったんです。
母は、私を抱いて行き交う車に飛び込んでしまおうかと思ったそうです。ふら……っと。それくらい、追い詰められちゃってたんですね。
駒崎
……!
小原
そのときの話には実は続きがあって。
たまたま自転車をこいでいた男の人が私たちの隣を通りかかったんですよ。
で、「この親子はなにか様子がおかしい」っていうのが分かって、声をかけてくれたんです。そして、後ろに荷台がある自転車だったので、それに私を乗せて病院に連れていってくれたんです。
- ええ!!全然しらない人が!すごい話。
駒崎
それで一命をとりとめた?
小原
そうですね。その人がいなかったら母も私も今いないかもしれません。
- まさに絶望の淵から救ってくれた人がいたと。
駒崎
- 私の中では薄っすらとした記憶でしたが、知らない人に命を助けてもらったという話を母から聞いて育ったので、自分もいつか誰かの役に立ちたいという思いが強くなって……このことが寄付をしたいと思った原体験ですね。
小原
駒崎
……胸が一杯になりますね。そんな話があるなんて。
小原
その人に御礼したいって母は探しましたが、もちろん名前もわからないから。
自分の母親がシングルマザーだったからこそ、見知らぬ人からの善意に救われる経験ができたっていうのは自分の人生にとってはすごくプラスになったと思ってます。
ひとり親の貧困率が先進国で最も高い日本
駒崎
お母さんはひとり親でありながらお仕事を頑張られていて、その当時にすでにひとり親で仕事と子育てを両立するロールモデルとなっていたんですね。
しかし、全体を見ると日本はOECD加盟国の中で唯一ひとり親の相対的貧困率が50%を超える国で、就業が不安定です。
日本は、先進国の中でもっともひとり親が働いている国なんですけど、働いてもワーキングプアになってしまう。社会構造上女性の賃金が押さえられていたり非正規雇用を強いられていて、社会全体がひとり親を追い詰めてるみたいなところがあるんで。
病児保育を安価に提供しつつ、構造を変えていきたい、と思っています。
小原
そうですね、人の意識を変えていかないといけないですよね。
例えば小さい子どもを保育園に預けるのはかわいそう、とか、病気の時は親が近くにいなければ……っていう意識がまだまだある気がするんですが、私はずっと母が働いていたので保育園育ちです。私自身、特に人格に問題はないかと…。笑
- まさに全くなんの問題もなく社会に貢献されていらっしゃって、きっとお母さんも誇りに思っていらっしゃるでしょうね。
駒崎
僕らは保育事業者ですけど、3歳まで母親が見ないと駄目な子になる「三歳児神話」とか、そんなわけないでしょって。
小原
子どもを大切にしてくれて愛が注げる人の側にいたら、そこは問題ないのかなって思いますね。何でも自分ひとりでやろうとしなくても、周りの人の手を借りていいんだよって。
駒崎
親が安心して仕事にも子育てにもプライベートにも前向きに取り組めることは、子どもの笑顔に直結しますよね。お母さんが笑っていたら、子どもも嬉しい。
起業して利益を出し、慈善活動に繋げたい
小原
今回「ひとり親を1人にしない。こどものSmileが社会の宝物」というテーマで、フローレンスさんとチャリティラインジュエリーをつくりました。 親子の笑顔がなによりも、これからの未来をつくるたからものだなと感じます。
- 日本初のモアサナイト専門ジュエリーショップ「Brillar(ブリジャール)」を起業されて、チャリティ活動を行う背景についても教えていただけますか。
駒崎
小原
起業したのは、外資系金融機関在職中にモアサナイトという素晴らしい人工宝石に出会い、これは必ずニーズがあると思ったから。
学生時代からチャリティやボランティア活動に参加しており、いつか起業して利益を出し、もっと大規模な慈善活動に繋げたいという想いは社会人になる前からはっきりとありました。
モルガン・スタンレーの新卒採用の面接で、なんで入社したいの?と聞かれて、私「御社で経験をつんで、いずれは自分のビジネスをやって、そのビジネスで儲けたお金を財団なりどこかに寄付したりという慈善活動をしたいんです」って言ったんです。
あの時の初心を、起業したり引っ越しが決まった人生の節目だからこそ有言実行したいなと感じました。Pay It Forward(ペイフォワード:恩送り)、お世話になったから誰かに返したい、っていう風に思いました。
駒崎
すごい!新卒の面接で「御社をいずれ辞めて起業して、慈善活動やりたいです」って。
しかもそれを初志貫徹されて。
小原
ありがとうございます。自分でビジネスをやることと、チャリティ活動の両方に昔から興味があり、どちらも実現できたのは私の中で自然な流れだったと思います。
今後も様々な分野のビジネスを展開し、事業規模・寄付規模も大きくしていくのが目標です。
駒崎
なるほど。会社名とブランド名のBrillar(ブリジャール)はどのような意味ですか。
小原
Brillarはスペイン語で、輝きっていう意味です。平凡な生活だったり子育てに追われる中で 少しでも癒やしになるような。小さなアイテムだけど大きな勇気をもたらすようなものをつくりたいという意味が込められています。女性が輝けるように。
エシカルファッションを選択する人が増えている
駒崎
モアサナイトという宝石についても初めて知りました。
小原
ダイヤモンドに見えるけど、人工の擬似石で、ダイヤモンドより輝きが強くて耐久性がダイヤモンドと同じというジュエリーです。海外では既に宝石として人気を得ていますが、もともと日本にはこのモアサナイトを扱っている店がなかったんです。
質屋でも見分けがつかないくらいダイヤモンドとほぼ同じなので、日本のジュエリー業界では認めないというような空気があったのかなと思います。
駒崎
でも、ダイヤモンドと同じ耐久性で輝きはダイヤモンドよりも美しいという評価なんですよね?だったら、それでいいじゃん?て思うんですけど。
小原
そうなんです。アメリカなどではむしろダイヤモンドを発掘するために児童労働や内紛が背景にあることを問題視する声が大きく、クリーンなジュエリーを身につけたいというニーズが高まっています。
駒崎
「ブラッド・ダイヤモンド」っていう映画にありましたね。
児童労働とか内乱のときにダイヤモンドが自由に兵士たちの高給に使われているというか、非常に血にまみれたダイヤモンドのあり方。もしかしたら宝石産業全般に言えるのかもしれないけど、自分が先進国にいることで加担してしまっていないか?と思うことがあります。
- 金とくらべて実は埋蔵量はダイヤモンドのほうが多いのではないかと言われていて、公表されていないんですよ。価格は人工的に操作されているという人もいます。
小原
少し昔だったらメディアがすくなくて情報もとれない時代だったら選択肢は限られますが、今は調べるじゃないですか、みんな。10分の1の値段でダイヤモンドと同じなら、そちらを買うっていう消費者が賢くなってます。
- それでモアサナイトの専門店を日本でたちあげたんですね。
駒崎
小原
インスタグラムなどを使ってモアサナイトっていうジュエリーがあるんだよということを国内で広めています。フォロワーは現在5300人くらいいるんですけど、フローレンスさんへの寄付を喜んでくれる声が多く届いています。
お客様からも、モアサナイトへの共感や、売上の一部を寄付しているというアクションに賛同するダイレクトメッセージが来て、自分もなにか社会のためになる行動を心がけてみるって言ってくれる人もいるんです。
駒崎
すごい、嬉しいです!欧米のセレブリティの間ではモアサナイトを敢えて選ぶというような、そういう考え方が広がってきていますよね。
毛皮とか象牙とか持つのも恥ずかしいっていうか。ハンコとか象牙である必要まったくないし、プラスチックでいいし。そんなことのために動物殺すのほんとにやめて!って思います。
小原
人工的に作れないものはなくなってきています。それでもダイヤモンドのほうがいいっていう考えを否定するつもりはなくて。ただ、選択肢は多いほうがいいですよね。
駒崎
ぼくもし結婚指輪を買う時にモアサナイトを知っていたら、絶対そっちにしてましたよ。
小原
そっちのほうがエシカル(倫理的)ですよね。人々の意識も、変化しつつあります。寄付についても、こうありたいという価値観を選択するアクションとして可能性のあるものだと思います。
フローレンスさんとこれからもこうしたソーシャルアクションをご一緒させていただけると嬉しいです。
駒崎
モアサナイト知ってる?って若いカップルに教えたいですね。
このチャリティラインを、たくさんの方に知っていただけますように。
これからも、ともにあたらしい価値観や選択肢を社会に届けていきましょう!
(了)
エシカルな価値観を提供するあたらしいジュエリーブランド「Brillar」さんと開発したチャリティライン。
子どもの笑顔をモチーフにしたsmileコレクションです。
ぜひ、ご自身や大切な人の日常を輝かせるアイテムとしていかがですか!
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— 認定NPO法人フローレンス (@sprflorence) June 13, 2019
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モチーフ横にFlorenceの刻印発見! pic.twitter.com/LpjfNu8Wgc