こんにちは!2019年1月までフローレンスでインターンをしていた高橋琴美です。
私は、埼玉県の大学に通う大学院生です。人口減少が進行している日本の中で生まれてきた「宝物」の子どもたち、1人1人が光り輝く未来について日々研究し、考えています。
そんな私ですが、もちろん保育士資格も取得しています。「保育のことを知りたいなら、保育士を体感するのが1番」と思い、大規模認可園での勤務も経験しました。
さて、保育士としての実務経験後、大学院生となって客観的に保育を考えたとき、あることを感じました。
それは「今、日本の保育は変わり始めている」ということです。
病児保育が普及したり、小規模保育園が全国にできたり……。色々な保育形態が生まれています。そして、私はこんな風に思いました。
「変わりゆく今の保育現場を見てきたい。体感したい」。
そこで私は、多種多様な保育を次々に生み出し、社会をより良くしているフローレンスのインターン生になりました。
私は現在、フローレンスの保育現場に行って、様々なことを感じ、考えています。そして「研究者のたまご」の自分から見た、フローレンスの保育のスゴいいところを記事にしています!
おうち保育園に「きゅん」とした記事、みんなのみらいをつくる保育園のピースフルスクールプログラム、障害児訪問保育アニーのあったかい最先端保育、「なんで??」で深まる障害児保育園ヘレンと、現場から多くのことを吸収して、たくさんの記事を書いてきました。
そして私は、この1月でフローレンスのインターン生を卒業しました。
インターン卒業、最後の記事は「おやこ基地シブヤ」の体験記です。
おやこ基地シブヤは、1階に「障害児保育園ヘレン初台」、2階に「みんなのみらいをつくる保育園初台」、3階小児科「マーガレットこどもクリニック」に「病児保育室フローレンス初台」があり、多用な保育形態が一体となった施設です。
私はこのおやこ基地シブヤで、実習に入りながら取材をしてきました。
今回は、このおやこ基地シブヤで体感してきたことをお伝えさせていただきます。
そして最後には、これまで現場を回ってきた私が考えた「保育の未来」について、書きたいと思います。
それでは、現場レポ最終回です!
1階:障害児保育園ヘレン「ゆったりと、それぞれのペースでいいよ」
障害児保育園ヘレンは、たんの吸引や胃ろうなどの医療ケアを必要としてるお子さんや、中重度の障害のあるお子さんを長時間お預かりする、日本で初めての障害児保育園です。
ヘレンの子どもたちは、ゆったりと、落ち着いた環境が大好きです。落ち着いた家庭的な環境を好むのは、通常保育を受ける子どもたちも同じですが、ヘレンの子どもたちは特に激しい物音や強い光に敏感です。
子どもたちの個性を尊重して、園では、保育士や看護師、理学療法士が力を合わせて、快適で楽しい生活を送れるよう、環境を整えています。
子ども達を保育している様子
そんなヘレン保育からは、子ども達に向けてこんなメッセージが向けられていると感じられました。
「ゆったりと、それぞれのペースでいいよ」。
保育士としての勤務経験もある私ですが、通常保育とヘレン保育で大きく違うところは、「子どもの発達のペースに合わせて保育内容を考える」という点でした。
通常保育では、「A君は2歳児だから、今の時期にはおしゃべりが出てきてもいいかな」などと考えますが、ヘレン保育では「A君は、今ここまで出来ているから、今度はこんなことが出来るようになるといいね」と考えます。
子ども達1人1人が違っていて、それで良いんだと感じられます。
医療的ケアもあり、より命と密接に関わるヘレン保育は常に気を抜けません。目の前の子ども達に対して「何をどこまでやっていいのか」、難しさもあります。
それでも、今まで笑わなかった子どもが少しずつ笑い始めたり、今まで怒らなかった子どもが少しずつ怒り始めたり‥。
子ども達のわずかな表情や、小さな動き1つ1つにときめきます。
こんなときめきを感じられるのが、ヘレン保育です!
2階:みんなのみらいをつくる保育園「自分の未来は自分で決めよう」
さて、ヘレンに心を癒やされ、2階へてくてく階段を上っていくと、子ども達のにぎやかな声が聞こえてきました。
―あ、私はこの声が好きなんだよな。保育士のスイッチが入るやつ。日本の未来に希望を感じるやつ。
こんなことを心の中で思いつつ、子ども達の声にパワーをもらいながら、保育室に入ると、子ども達はお散歩から帰ってきて、お昼の準備をしているところでした。
みんなのみらいをつくる保育園初台は、1-5歳児の子どもたちのための認可保育園。定員は30名以上で、2017年10月に始まったばかりの新しい園です。
そんな、みんなのみらいをつくる保育園の保育スタッフからは、子ども達へのこんなメッセージが感じられます。
「自分の未来は自分で決めよう」。
みんなのみらいをつくる保育園では、年齢の違う子どもたちが、みんなで助け合いながら遊んだりする中で成長していく、異年齢保育を行っています。
このような異年齢保育では、分からないことは自分で考え、それでも分からないと、歳上のお兄さんやお姉さん達に聞いたりして、子ども達が自分達で答えを出していきます。
保育者は、子ども達に質問されてもすぐには答えを出さず、「◯◯してみたら?」と子ども達が答えを出すきっかけを作っていきます。
「自分で考えて、自分で学ぶ」。こんな保育は、みんなのみらいをつくる保育園ならではです!
自分で考え、自分で選択し、無
我夢中になって遊んでいる時の子どもの顔は、何にも代えがたい宝物で、どんな大人になっていくんだろうと考えるとわくわくしてきます。
みんなのみらいをつくる保育園は、キラキラした子ども達の未来で溢れていました!
3階:病児保育室「苦しい」思い出を「楽しい」思い出に
病児保育室フローレンス初台は、渋谷区初の病児保育室です。となりには「マーガレットこどもクリニック」が併設されています。
子育て中の医師が勤務するマーガレットこどもクリニックは、医師も看護師も無理なく勤務できるよう、時短の小児科クリニックとして開設されました。
多忙な長時間勤務により、子育てとの両立が、難しい女性医師も働きやすいよう、環境が整えられています。
クリニックで勤務する医師、クリニックに子どもを連れてくる保護者のみんなが協力して、子どもたちの豊かな成長を育んでいます。
そして、そのクリニックのとなりにあるのが、病児保育室フローレンス初台です。
室内には安静室と隔離室があり、感染力が強い病気の子どもも、周囲への感染の心配が少ない子どもも、安心して過ごせるようになっています。
私は病児保育室で実習をさせていただくということで、看護スタッフの森山先生から、病児保育室の説明を一通り聞きました。その日私が入ることとなった隔離室にいる子どもたちは2名で、インフルエンザにかかって、2、3日ほど経過したA君、B君とのことでした。
説明を聞いていて、通常保育の経験しかない私は、病児保育に正直びくびくしていました。
通常の保育施設では、37.6度以上の熱が出ると、保護者にすぐ電話をして迎えに来てもらうからです。
しかし、病児保育室で過ごす子どもたちの様子を見て、私は驚きました。
子どもたちが、楽しそう……!
熱が出た途端、布団に寝かしつけていた私は、保育室の中で安心して遊ぶ子どもたちの様子に、びっくりしました。
保育士の様子を見てみると、子どもたちが安心して遊べるよう、自然な様子で子どもたちに溶け込み、あたたかい雰囲気をつくりだしていました。
そのとき私は、あまりにも平和で家庭的な保育室の雰囲気に、子どもたちが病気にかかっているということを忘れてしまいそうになっていました。
しかしその一方で、病児保育室の保育スタッフは、やはり病児保育のプロでした。
子どもたちが安心して遊ぶのを穏やかな表情で見つめつつ、ちょっとした体調の変化にアンテナを張り巡らせ、きめ細かいケアを行います。
折り紙ひとつにしても、子どもが安静に楽しみつつ、白熱しすぎないよう声かけや援助のさじ加減を変えていきます。
「病気の「苦しかった」を「楽しかった」に変えていく」
そんなあったかい安心が、病児保育室フローレンス初台にはありました。
これで、私の現場潜入レポートは最後になります。
私は今までに、みんなのみらいをつくる保育園、おうち保育園、障害児保育園ヘレン、障害訪問保育アニー、病児保育室と、フローレンスのすべての保育現場を見てきました。
保育現場を見て思ったことは、「保育スタッフ1人1人が、この国の誇りだ」ということです。
フローレンスの事務局は、保育「現場」を生み出しています。そして、現場の保育スタッフ達は生の「保育」を生み出します。
その保育スタッフ1人1人にスポットライトを当てて、話を聞いてみると、フローレンスの保育への思いや、目の前の子ども達への熱い思いがびしびしと伝わってきました。
このような保育への熱い思いは、フローレンスの誇りであり、日本の将来への希望です。
昨今の保育者には、保護者の就労支援や子育て相談支援、保育の質の保障など、多くのことが求められています。社会からは、こんなメッセージが投げかけられていると感じます。
保育をアップデートせよ。
アップデートとは、「改革」や「革命」ではありません。これまでの良きものを大切にし、その上で「更新」していくことです。
変化の激しい今だからこそ、これまでの日本の保育、保育士の良きものを見つめ直していくことが第一に大切なのだと、現場潜入から学びました。
保育現場で感じ取った一瞬一瞬は、私の宝物です。
私自身も日々アップデートを重ねて、日本の保育や保育士のミライを明るくしていきたいと思います。そのためにやるべきこと、考えるべきことは山積みですが、「日本の保育は、きっと大丈夫」。実際に保育現場に行って、そう思いました。
私はまだまだ諦めません。
お世話になった保育スタッフの方々、本当にありがとうございました!
▼おやこ基地シブヤに入っている各施設について、詳しくはこちらから