経済的に厳しいご家庭が、サポートに繋がれずに孤立し、どんどん追い詰められてしまう現状があります。
その現状をどうにかしたいと、行政や企業、NPOの仲間たちと力を合わせ、考え出したのが、経済的に厳しいご家庭に食品を届ける「こども宅食」の仕組みです。
2018年度は570世帯に、2ヶ月に1回ご自宅に食品を届けてきました。
こども宅食は、食品の配送が一番の目的ではありません。
食品の配送を定期的に行う中でご家庭を見守り、いち早く困りごとをすくいあげます。また、必要な支援につないでいくことを大切にしています。
この仕組みが全国に広がれば、生活や子育て、仕事の大変さで疲弊している親子が、本当に追い詰められてしまう前に、必要な支援に安心して繋がれる社会になる。そう思っています。
そのために、一年でも一ヶ月でも早く、全国にこの仕組みを広げたいと考えています。今、本当に困って孤立している親子が、全国にたくさんいるからです。
そのためには、全国各地で子どもやその家族のために何かしたいと考えている方達に、こども宅食の仕組みを取り入れてもらうことが必要です。
それぞれの地域で、それぞれの地域のニーズに沿うように「こども宅食」がアレンジされて広がれば、1組でも多くの親子をサポートすることが出来ます。
そして、実際に、こども宅食と同様の取組みが、全国で広がっています。
今回は、その中から、いくつかの事例を紹介します。
福井県越前市で、2018年の10月に始まったプロジェクトです。越前市、社会福祉協議会、JA、郵便局と、立場の異なる事業者が連携しています。農家が多いという地域の特徴を生かし、JAと連携してお米を配るというのが、大きな特徴です。こども宅食のアンケートでも、「お米」は人気ナンバーワンなので、利用者としても、とっても嬉しいサービスだと思います。
東京都江戸川区で、2017年8月に始まった事業です。子どもの食事に困っている家庭にボランティアが駆け付け、食材の買い物から調理、後片付けまでを行うという、徹底したサポートを行っています。直接話が出来ること、家庭の中の様子を見ることが出来るため、潜在的な困りごとに気付きやすいのが、大きな特徴です。また、江戸川区では、区内の仕出し弁当組合の協力をうけ、自己負担100円で希望する家庭の子どもに直接お弁当を届ける「KODOMOごはん便」というサービスも始まっています。
宮崎県三股町で2018年4月にスタートした、三股町社会福祉協議会と町内の社会福祉法人が連携して行う取組みです。希望者に対し、月に1度無料で食材を配達します。配達する食材は企業などの食品ロス食材や、町内の農家の出荷できない野菜や米、ボランティア団体が作った味噌などを扱い、管理栄養士が作成したレシピも同封しています。
神奈川県箱根町で、2019度の4月からスタートする事業です。給食がなくなる長期休暇中、子ども達が昼食を食べなくなるのを防ぐため、子どもに直接、配達業者がお弁当を届けにいく仕組みです。山間部で、子ども達を一か所に集めるのが難しいという地域の実情にもそくしています。
2018年11月に、新潟県新潟市で始まった、生活が苦しい一人親世帯に毎月5キロの米を無料で届けるプロジェクトです。市民団体「にいがたお米プロジェクト」が事業を運営しています。お米の生産が盛んな新潟県ならではの事業です。
このように、南は宮崎から北は新潟まで、こども宅食と同様の仕組みが、全国で始まっています。ですが、もっともっと、多くの地域で取り入れてもらいたいと思っています。
こども宅食の仕組みは、その地域に合った仕組みにアレンジ出来ることが、大きな特徴です。様々な取組みが始まる中で、より良い仕組みが生まれれば、すぐにまた全国に広がっていくことでしょう。
そうしていくことで、みんなの力で、日本を「誰もが安心して子育てできる社会」に変えていけると、私たちは信じています。