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5人に1人の女性がキャリアを諦める不妊治療の実態とは?職場の仲間と、性と不妊について語り合ってみた

5人に1人の女性がキャリアを諦める不妊治療の実態とは?職場の仲間と、性と不妊について語り合ってみた

突然ですが、クイズです。

1「女性の卵子が一番多い時期は?」
2「精子3億個。これは一回分?一年分?一生分?」
3「国内で不妊治療中のカップルは何組に1組でしょう?」
4「できるだけ精子をためておいたほうが、妊娠しやすい?」
5「男性に不妊の原因がある割合は?」

 
すべて正解できた方はいらっしゃいましたか。
(答えは、記事の一番下に)

 

実は、フローレンススタッフの正答率も恥ずかしながら高くはありませんでした。

私たちは赤ちゃん縁組事業や保育事業を運営する団体で子育て中のスタッフも多くいます。これほど出産や育児が身近にある組織であっても、性や妊娠に関する理解や知識は各人バラバラでした。

そういえば、性の話題って日本では「いやいやいや、昼間に話すことじゃないですよね」みたいなとぼけっぷりでスルーする感じ、ないでしょうか・・・?

 正しい性の知識に触れる機会がないまま成人するにもかかわらず、男女が結婚したら当然子どもを授かることがステレオタイプとして語られがちです。

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しかし、現代の不妊治療経験者は夫婦5.6組に1組。体外受精で生まれる子どもは18人に1人。つまり、不妊に悩んでいたり、治療に対峙している人が、ごく身近にいるということ。または、これから子どもを持つ人にとっても、自分自身が当事者となり得るということなのです。

先日フローレンスで、【仲間をサポートするための不妊治療の基礎知識研修】という研修が開催されました。

“子育てとともに何でも挑戦できる” ”つよくてやさしい組織”を目指すフローレンスの社員同士が、性や不妊治療について理解を深め、昼間っからオープンに語り合うことで、職場にどんな変化が生まれたのか?

 ぜひレポートをご覧ください。

 


不妊治療の課題に直面した社員からの発案

今回【仲間をサポートするための不妊治療の基礎知識研修】を企画したのは、実際に不妊治療を経験した女性社員たちでした。
彼女たちは、不妊治療をしていることをチーム内で比較的オープンにしてきたためメンバーからサポートを得られたものの、治療と仕事との両立には実に高いハードルを感じたといいます。

こうした問題は、待機児童問題と同じで、喉元過ぎれば熱さを忘れてしまう。当事者が語らなければ、課題が顕在化しない。不妊治療中の社員がどんなことで困っているのか。どんな配慮が必要なのか?
治療の不安と負担を経験した彼女たちは、仲間に知ってもらうことから始めたい、と考えました。

 

チームで性と不妊について話し合う

 

研修の講師をしてくださったのは、「NPO法人Fine代表の松本亜樹子さん。
NPO法人Fineは、全国2300人もの不妊治療当事者が参加する団体で、不妊当事者の環境改善を目的としたカウンセリング、アンケート、公的機関への働きかけを行っています。

 

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松本亜樹子氏プロフィール
NPO法人Fine理事長/一般社団法人 日本支援対話学会理事/日本生殖心理学会理事など

自身の不妊の経験を活かしてNPO法人Fineを立ち上げる。厚生労働省の不妊治療支援検討会や生殖医療に関わる専門委員会等の委員を務めるほかコーチング、企業研修講師、フリーアナウンサーとして活躍。著書:「ひとりじゃないよ!不妊治療」「不妊治療のやめどき」

 

 

研修は、フローレンスの保育現場スタッフ、バックオフィスの本部スタッフが混合で4~5人ずつのチームになるところからスタート。
冒頭に紹介したような妊娠の基礎知識についてクイズ形式で松本さんが私たちに質問を投げかけ、チームで話し合うワークスタイルで進行しました。
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クイズを通して、赤ちゃんを授かるにはまさに奇跡のように様々な条件が整わなければならないことがわかりました。
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例えば、排卵日の数日前が最も妊娠しやすいというのがあたかも定説になっていますが、実際は、基礎体温や生理周期の安定している女性でも排卵日を特定することは難しいそうです。
また、男女共に精子と卵子の状態は年齢に関係します。
長時間労働と晩婚化も影響し、日本国内で不妊は見えざるサイレントマジョリティとなっています。

不妊治療の負担、お金・時間・心とからだ

 

・治療や検査を受けたことがある不妊のため病院にいったことがある夫婦=6組に1組
・病院には行っていないが心配したことがある夫婦=3組に1組
・流産・死産を経験したことがある夫婦6組に1組

3組に1組が「不妊かもしれない」と心配したことがあり、実際に治療や検査を経験する人もかなり多いことがわかりました。 

 
一般的に「不妊治療は大変だ」というイメージはあるものの、何が具体的に負担なのか。講義は、いよいよ核心へと迫ります。

不妊治療の負担を、松本さんは【からだ】【こころ】【お金】【時間】の4つに大別しています。
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具体的に松本さんが、各項目の事例を紹介してくれました。

例えば、女性は、ホルモン剤を毎日注射したくさんの卵子を育てていきます。当然、身体への副作用もあり卵巣はパンパンになり痛みも伴います。

また、他の人の妊娠を喜べなくなったり、盆暮れ正月の帰省が嫌になったり。「次こそは」と期待して、妊娠に至らなかったり流産をする精神的な苦痛に身も心もボロボロになることも…。

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そして、私たち受講スタッフが最も驚いたのは治療に伴う桁外れの経済的負担と、非常にハードな治療スケジュールについてです。

NPO法人Fineの調査によると、体外受精1回当たりの治療費に50万円以上かける人は全体の43%。顕微授精になると、1回80万円以上のコストがかかることも。
しかし、体外受精で妊娠・出産できるのは全年齢平均で12%程度という確率。

治療が長期化し、気づけば1000万以上治療費に投じる事例も少なくないとのこと。しかし、年齢が上昇することにより妊娠率は下がり、仕事との両立が困難になり、精神的にも経済的にも負のスパイラルに陥る夫婦は多いと聞き、一同がやるせない気持ちになりました。


仕事との両立は、96%の人が困難と答える

 

また、不妊治療における女性サイドの治療・通院の想像を絶するハードさを、ほとんどの社員がこれまで知りませんでした。

卵子の状態を見ながらオーダーメイドで治療を組んでいくため、毎日来院の指示が出たり急に入院になることも。しかも、不妊治療専門医院は非常に混雑しており、簡単な検査でも半日潰れてしまい、時間も読めない不安定な日々が続くというのです。

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 <治療と仕事との両立が困難な理由>

・急に仕事を休む必要がある。
・予め通院スケジュールを立てることが難しい。
・周りに迷惑をかけて心苦しい。
・不妊のことを職場で言いづらい。  
・保育士など、他の人に代替が難しい職務内容である。
・会議や出張など大切な予定を入れられない。

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NPO法人Fineが実施した「仕事と治療の両立についてのアンケート」によると、5,526人の回答者のうち96%が仕事と治療の両立は困難と回答しています。

両立できずに、退職や休職、転職をした女性は4割以上。
働きながら不妊治療をしている女性の5人に1人が退職を余儀なくされています。

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 仲間の困難さに寄り添い、支えたい。

 不妊治療が、いかに負担が大きく仕事との両立も困難かという現実を知った私たちは、講義後半のグループワークで、各チーム真剣な議論を交わし全体にシェアしました。

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私たちフローレンスの事業現場では、500名もの保育や医療福祉専門職の仲間が働いています。

当日予約100%対応の訪問型病児保育の現場、バッファ人員が少ない認可保育園の現場、代替のきかない障害児保育の現場、そして相談のケースワークを受け持つ赤ちゃん縁組や保育ソーシャルワークの現場……。
それぞれの事業部からは、以下のような意見が出ました。

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障害児保育事業部 マネジメントスタッフ
「その子の障害や体調のことをよくわかっている障害児訪問保育アニーの担任は、代替が難しい。実際に、不妊治療を相談されたら対応できるようバッファ人員について考えたい。
一方、担任自身のキャリアも断絶してしまっては本人が不本意だから、担任を一名で担う仕組みを見直す必要もあると思う。」

おうち保育園 スタッフ
「不妊治療について、まったく初めて聞く話ばかりだった。実際に、同僚から相談されたときも『へえ…大変なんだ』というくらいだったが、まずは知るべきだと思った。周りの人間も不妊治療の実態を理解していないと、適切なサポートをしてあげられない」

みんなのみらいをつくる保育園 園長
「現在不妊治療中のスタッフが現場にいる。急に明日治療に行かなければならないという場合もあるが、細かいことは聞かず周りのスタッフが柔軟にシフト変更してくれている。ただ、お子さんを授かるまで先が見えないため、支えるスタッフへのフォローも大切だと感じた」

みらいの保育園事業部 本部スタッフ
「保育現場は、行政に登録しているスタッフ以外園に入れないこともある。制度のハードルを柔軟にして、代替がきかないという働き方を見直していくべき

 

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「不妊はプライベートなことでセンシティブなことだから、踏み込めないよね」という世間一般の認識、本当にそうでしょうか?

個人の問題だ、と見て見ぬふりをしてよいのでしょうか

「自分が当事者ならどんなサポートが必要?」
「仲間が当事者ならどう支える?」
今回の研修を通じて、性や不妊の知識について社員が理解を深め、オープンに話し合うことで、仲間の人生を応援することを1人ひとりが考える時間となりました。

不妊治療に限らず、介護や透析や育児やガンの治療も同じです。困ったことがあったときに相談でき、お互い様と言える職場をフローレンスでは目指しています。

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NPO法人Fineの調査によると、現在不妊治療に対応する制度を用意している企業は6%程度と少数ですが、フローレンスには、2年間の時効により消滅する有給をストックしておける「安心ストック休暇という独自の制度があります。
がん、脳卒中、その他難病、また不妊治療中の社員が、積み立てた有給を治療の際に使って、働き続けることができる制度です。

このような新しい制度づくりや研修を通じて、どんな時も社員がその人らしく働くことができる組織をつくっていきたいと思います。


そんなフローレンスの仲間になってみたい!
というあなたはぜひ、採用情報をのぞいてみてくださいね。

フローレンスの採用情報

 

※冒頭クイズの答え

1「女性の卵子が一番多い時期は?」…胎児の頃(500万個~700万個)
2「精子3億個。これは一回分?一年分?一生分?」…一回分
3「国内で不妊治療中のカップルは何組に1組でしょう?」…5.6組に1組
4「できるだけ精子をためておいたほうが、妊娠しやすい?」…NO
5「男性に不妊の原因がある割合は?」…5割


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