一斉休校や感染拡大リスクで不安を抱える子育て世帯に
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府から2月末に全国の公立小中高校への一斉休校の要請があってからおよそ100日が経ちました。
一斉休校や感染拡大リスクのなか孤立する子育て家庭のニーズに対し、フローレンスと現場支援を実施したいといち早くお声がけ下さった村上財団。村上財団のご支援によって「一斉休校に関する緊急全国アンケート」の実施と、医療的ケア児者家庭、医療現場のニーズに対し、のべ約700世帯の医療的ケア児者家庭と13施設の医療現場に医療物資を提供することができました。
一斉休校に関する緊急全国アンケートの運営費
4月の緊急事態宣言に先駆けて子育て世帯に影響したのが、3月2日(月)からの全国小中高校一斉休校でした。その後、緊急事態宣言をうけ結局多くの地域で5月末まで休校・休園状態が続きましたが、2月末時点では初めての突然かつ長期間の休校に、当事者である保護者や子どもたちは戸惑い、特に子どもの預け先が無い状況に対して、学童保育をはじめ様々な現場で混乱が生じました。
そこで、国内の親子領域の課題を、事業と政策提言で解決するフローレンスは、3月6日~9日、一斉休校措置でお子さんの通う学校・保育園・幼稚園が休校・休園になった親御さんに対し、休校・休園による困りごと・必要としている支援を明らかにする「一斉休校に関する緊急全国アンケート」を実施しました。村上財団から、アンケート集計のデータベース構築・運用費用と、調査期間3日で全国にアンケートを周知するためのWEB広告費を緊急助成いただき、全都道府県から約10000人もの保護者に回答をいただくことができました。
明らかになった医療的ケア児者家庭の物資不足
「一斉休校に関する緊急全国アンケート」に続き、フローレンスが事務局を担う「全国医療的ケア児者支援協議会」で独自調査したのが、「医療的ケア児一斉休校に関する緊急全国アンケート」でした。非常事態下で“医療的ケア児者”家庭に特化したニーズが浮き彫りになりました。
医療的ケア児者家庭の6割以上が、日々の医療的ケアに欠かせない消毒液やマスクの不足で困っていることが明らかになりました。そこで、全国医療的ケア児者支援協議会では消毒液/消毒ジェル/アルコール綿/マスクなどの寄付を全国から募り、物資を必要とする家庭とのマッチングを行いました。村上財団から配送コストの支援をいただき、全国の医療的ケア児者家庭約580家庭に無料配送することができまました。
ピースウィンズ・ジャパンとも協働しさらにマスク24,000枚緊急配送
世界的にマスクが品薄となるなか、特に感染症重症化のリスクが高い医療的ケア児者家庭、および医療現場からのマスクのニーズが非常に高いことをうけ、村上財団、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンが運営する空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”と協働し、さらなる緊急支援を実施しました。
マスクの調達はARROWSが、村上財団が各家庭への配送コストとマスクの購入を、フローレンスでは全国医療的ケア児者支援協議会を通じて各家庭とのマッチングを行い、緊急支援を実施しました。その結果、医療的ケア児者家庭約100家庭にマスク3,000枚を届けることができました。
また、全国各地のNICU(新生児特定集中治療室)にも21,000枚のマスクを提供することができました。
NICUは、医療的ケア児の命を繋ぐ上で欠かせない医療現場ですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、衛生用品の枯渇が深刻な問題となっていたため、大変喜んでいただけました。
村上財団とフローレンスの協働について
これまでに村上財団との協働を通じ、医療的ケア児者家庭、生活困窮家庭への支援事業を数々立ち上げることができました。また、子どもの虐待問題が深刻な社会問題となり、いち早く署名活動を実施し、迅速な政策提言につなげたこともありました。
2017年2月 | 障害児保育園ヘレン経堂開園 |
2017年10月 | 文京区こども宅食新規事業立ち上げ |
2018年6月 | なくそう!子どもの虐待プロジェクト2018全国署名活動 |
2018年10月 | 一般社団法人こども宅食応援団立ち上げ |
2019年9月 | 医療的ケアシッター ナンシー新規事業立ち上げ |
現在は、文京区こども宅食、こども宅食応援団の約3年の活動を経て改めて見えてきたより深刻な実態に対応する、新たな事業の立ち上げを計画しています。
村上財団は、必要な資金が必要なところになかなか届かない日本の非営利活動の在り方や支援の仕方に切り込んでいます。
一般財団法人村上財団 代表理事:村上絢さん
「働く女性、そして母として。日本の未来をより豊かなものとするサポートがしたい」ー
幼少の頃の海外在住、高校時代の留学における諸外国の社会貢献の在り方を肌で感じたこと、そして日本における非営利団体の在り方を自宅でも議論していた父を見て育ったことで、いつか自分なりにできることをしていきたい、という想いをずっと抱いていました。社会に出て企業にて働き、その後母となったことで、まずはじめに私がサポートしたいこと、支援するべきことが明確になりました。それは、「働く女性の労働・生活環境のサポート」であり、「未来の日本を創る子どもたちのサポート」。
「働きたい」と思う女性が思い切り輝けるように。働きながらの妊娠・出産・育児が超えられない壁とならないように。そして子どもたちが様々なサポートを受けながらのびのびと育つことができるように。より暮らしやすく笑顔あふれる日本を創るために、村上財団を通じて、支援をしていきたいと思っています。
村上財団は、「誰にでもセーフティネットがあり、どんな人でも必要な支援を受けられ、安心して暮らしていける社会環境が必要」との考えのもと、フローレンスを長年協働パートナーに選出いただいています。
村上財団をはじめとした、多くの個人・民間・財団から寄付という形で投資をいただき、フローレンスの活動は確実に社会課題の解決に成果をあげることができています。
民間企業や行政の手が届いていない未開の社会課題、今回のコロナ禍のようにスピード感のあるサポートが必要な場面において、今後も多くの皆さんと協働していきたいと考えます。