2023年6月1日、「こども未来戦略会議」の方針案のなかで岸田首相が「こども誰でも通園制度」を創設、2024年度から制度の本格実施を見据えた形で実施することを表明しました。親が働いているかどうかなどの保育の必要性認定にかかわらず、誰もが保育園を利用できるようにしてほしいと、フローレンスが提言してきた「みんなの保育園構想」が、ついに制度化されることに!
制度化に先駆け、今年度から、保育所や幼稚園に通っていない、いわゆる「無園児」の0~5歳の子どもを、定員に空きのある保育所で週1~2回程度受け入れる「こども誰でも通園制度」のモデル事業が始まります。
この度、このモデル事業を実施する東京都中野区と仙台市で、フローレンスが実施事業者として採択されました。
中野区モデル事業について
「中野区保育所等の空き定員を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業」として、中野区内で2施設が公募。フローレンスの運営する「おうち保育園なかの大和」での受諾が決定しました。
仙台市モデル事業について
「仙台市保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業」の事業者が募集され、フローレンスの運営する「おうち保育園こうとう台」がモデル事業を実施する5施設のうちの一つに選ばれました。
「みんなの保育園構想」について
現在の保育制度では、保育園を利用するために「保育の必要性認定」を満たす必要があります。具体的には、両親が就労しているなど所定の条件をクリアしなければならないので、例えばどちらかの親が就労していない専業主婦・夫家庭等は保育園を利用することができません。保育園は、これまで基本的に共働き家庭のための施設として提供されてきたのです。
しかし、保育が必要な家庭、保育がないと困る家庭は、共働き家庭だけでしょうか?
子どもが幼稚園や保育園に通っていない未就園児(無園児)家庭は、「孤独な子育て」に陥りやすく、また、孤独を感じている家庭ほど、定期保育サービスの利用意向が高いことが分かっています。
「孤独な子育て」に追い込まれ、不安や孤独を誰にも相談できず、助けてもらえない状況のの中での育児は、子どもへの虐待リスクも高まることがあります。
さらに、保育園で幼少期からたくさんの子どもや大人と関わることは、子どもの心身の発達にも大きなプラス効果をもたらします。
週1~2日でも保育園を利用できるという選択肢があるだけで、日本の親子にとってどれだけ安心と安全が増すでしょう。まずは待機児童問題が解消している地域で、空き定員枠を活用して専業主婦家庭等が希望すれば週1~2日からでも保育園を利用できるようにしたい。
フローレンスでは、保育園は「みんなの保育園」になるべきだと考え、提言を重ねてまいりました。
「みんなの保育園」がモデル事業化を経て国の制度に!「こども誰でも通園制度」施行に向けて現場での実践を重ねます。
フローレンスは2022年6月に、大規模なアンケート調査結果をもとに「社会から孤立している無園児家庭でも保育園が定期利用できるように」と訴える記者会見を行うなど、「みんなの保育園構想」の政策化を提言してきました。
その提言と同時に、制度化される前から、仙台市の「おうち保育園かしわぎ」で無園児の定期預かりを実践。
これらの活動が実り、2023年度から「空き定員枠を利用した未就園児の定期預かり事業国のモデル事業」として国のモデル事業がスタートすることになりました。報道によると、このモデル事業は今年度31市区町村の計50施設で実施される予定とのことです。
さらに、「みんなの保育園構想」は、保育所の利用要件を緩和する新制度として2024年度を目処に制度化される見込みです。「こども誰でも通園制度(仮称)」が明記された「こども・子育て政策の強化について(試案)~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~」には、同時にフローレンスが訴えてきた保育士配置基準の見直しも盛り込まれています。
私たちフローレンスは、東京都中野区、仙台市での実践を積み重ねて、その重要性や課題点、制度の活用方法について積極的に発信し、より良い制度につながるよう、保育現場でも実践を続けてまいります。
仙台市保育所の空き定員等を利用した未就園児の定期的な預りモデル事業の利用受付を「おうち保育園こうとう台」でスタートしました。