Florence News

「相談してくれてありがとう」と言える支援を届けるー「無料産院」事業ー支援の現場から

「相談してくれてありがとう」と言える支援を届けるー「無料産院」事業ー支援の現場から

#にんしん相談・無料産院 #寄付

フローレンスが願い続ける、#赤ちゃん遺棄をゼロに

 

「生まれたばかりの赤ちゃんが遺棄される悲しい事件をなくしたい。」

 

そんな強い思いから、フローレンスは2016年、ご寄付を原資に赤ちゃん縁組事業を立ち上げ、7年にわたり「にんしん相談」と「特別養子縁組」に取り組んできました。

 

フローレンスの「にんしん相談」では、これまでに4000件を超える相談に対応し、予期せぬ妊娠などに悩む女性の声に耳を傾け、病院の受診付き添いや自治体との連携など幅広い支援を届けています。

 

相談を受けるなかで見えてきたのが、お腹が大きくなっても誰にも相談できず、ひとり孤独に出産の日を迎えてしまう女性たちの姿でした。

 

そこでフローレンスは、2022年10月、ご寄付を原資に「中期以降ハイリスク妊婦への初回受診料支援」をトライアルで開始。孤立し経済的に困難な状況にある妊婦の初回受診料をフローレンスが代わりに払うことで、母子ともにリスクの高い未受診による出産や最悪のケースとしての赤ちゃん遺棄を防ぎます。

 

2023年に正式にスタートしてから数ヶ月間で、相談から1ヶ月以内に出産したケースが8件もありました。臨月に入って途方にくれていた8人の妊婦とお腹の赤ちゃんを医療機関につなぎ、リスクの多い孤立出産から守ることができたのです。

ついに「無料産院」事業をスタート

 

2023年6月、健診費用や出産費用を妊婦に代わって提携先の病院に支払い、妊婦が安心して出産できるようサポートする、日本初の「無料産院」事業を開始しました。第一弾として京都の第二足立病院と提携し、全国化を目指して年内10院を目標に掲げて活動しています。

 

5月31日に実施した本事業の記者会見の模様は全国のメディアで取り上げられるなど大きな反響をいただき、これまでにもフローレンスの想いに賛同してくださった多くの方から応援メッセージやご寄付をいただいています。また、提携先についても1ヶ月で9つの医療機関からお問い合わせをいただいており、着々と支援の輪が広がりを見せています。

妊婦と赤ちゃんの命を救う最後のセーフティーネットともいえる「にんしん相談」の現場で何が起きているのか。本事業を推進する赤ちゃん縁組事業部スタッフの声をお届けします。

 

石原綾乃

赤ちゃん縁組事業部

事業推進チーム

「お金の心配はしなくていいから、一緒に病院に行こう」

フローレンスの「にんしん相談」は、予期せぬ妊娠に悩む女性が、LINEで無料で妊娠について相談できるサービスです。チャットボットが24時間対応しているほか、緊急性の高い妊娠中期以降の方には社会福祉士、心理士、看護師、保育士等、専門知識を持つスタッフが対応する別の窓口も用意して、日々相談に応じています。

フローレンスの「にんしん相談」には、「妊娠したかもしれない」という相談から、「お腹が大きいけれど病院に行けていない」といったSOSまで様々な相談が寄せられます。

LINEという細いつながりで相談を受けながら、フローレンスを信頼してもらうために、LINEの文面には非常に気を使います。ほんの数行返すのに、皆で議論を重ねることもしばしばです。

緊急性の高い妊婦を「お金の心配はしなくていいから一緒に病院に行こう」と受診につなげることができるのが、フローレンスの強みです。この事業には国の補助金や助成金は出ませんので、応援してくださる寄付者の皆さんには本当に感謝しています。

もちろん、妊婦を支援する公的な制度はあります。経済的な理由などで、医療機関での出産が困難な妊産婦を支援する「助産制度」や、自治体にもよりますが受診券により健診にかかる費用の補助を得られます。しかし、これらの制度を利用するにはまずは自分で病院を受診して妊娠判定をしなければなりません。経済的に困難な状況にある人や誰にも相談できないでいる人にとっては病院に行くことがハードルになるため、行政の支援につながることは容易ではありません

公的な支援制度の狭間に、落ちてしまう人たちがいます

例えば、アルバイトで生計を立てていた方が、妊娠したことで働けなくなって無収入になり生活に困窮しても、前年度の収入がある程度あった場合は助産制度は使えません。そもそも妊娠判定は保険適用外なのですが、健康保険証を持っていないために受診をためらってしまう人もいます。また、たとえ助産制度や生活保護が使える方であったとしても、手続きに時間がかかるため、今にも産まれそうという状況で相談に来られた方には間に合いません。

そこで、経済的に困窮していながら制度の狭間に落ちてしまい、頼れる人のいない妊婦が病院で安心して出産できるしくみが必要と考え、「無料産院」事業を開始しました。

一人で悩まず、とにかく一日も早く相談してほしい

妊娠し、一人で悩んでいる方は、とにかく一日も早く相談してほしいです。私たちが一緒にお腹の赤ちゃんとご本人にとって一番いい方法は何かを考えます。お金はどうしたらいいのか、出産できる病院はあるか、産んだ後はどうしていったらいいのか、一緒に考える人が一人でもいれば、悲しい事件につながる前に必ず道がみつかると思っています。

誰にも相談できず、経済的に困難な状況にある方が、「無料産院」というキーワードを耳にして、「無料なら相談してみよう」と思って相談し、そこから支援につながることを期待しています。

もしも周りに気になる人がいたら、ぜひフローレンスを紹介してほしいと思います。私たちの活動には、全国の大勢の寄付者の皆さんの想いが詰まっています。「お腹の赤ちゃんのために、相談してくれてありがとう。ひとりじゃないよ」と伝えたいです。

誰にでも当事者になる可能性がある

相談される方の抱えている事情は様々です。いままで普通に働いていたけれども、妊娠が発覚してから体調不良で働けなくなり困窮してしまったという人や、妊娠がわかった途端に相手の男性が音信不通になってしまった人、様々な理由で家族に相談できない人。こういった人たちが特別なのではなく、孤立に陥り、経済的に困窮してしまう危険性は誰にでもあることを知ってほしいです。

「無料産院」事業を全国へ

フローレンスでは、提携してくださる医療機関を本年度中に10院に増やすことを目標に掲げています。賛同してくれる医療機関を増やし、全国にこの活動を広げていきたいと考えています。

今年4月から、国も出産費用の無償化にむけて動き始めました。しかし、こうしている間にも2週間に1件、赤ちゃんの遺棄・虐待死が起きています。制度実現を待っていたら、また何人もの赤ちゃんの命が亡くなってしまう。それを防ぐために、フローレンスはこの「無料産院」事業を独自で開始することにしました。

フローレンスは、国に先がけてこの事業を実施することで、今、目の前で困っている人に支援を届けるとともに、政府に「妊婦の受診・出産費用の無償化」の早期実現を提言していきます。

「無料産院」事業を、共有と寄付で応援してください

フローレンスの「にんしん相談」そして、「無料産院」事業は、寄付者の皆さんのご支援なくしては成り立たない事業です。皆さんのあたたかいご支援によって私たちが活動でき、それによって助けられている人がいます。

赤ちゃん遺棄の悲しい事件が起こるたびに、「フローレンスに相談してくれさえいれば」と悔やまれてなりません。

「無料産院」事業を全国に展開し、ひとりでも多くの人を救うためには、まずは赤ちゃん遺棄の背景にある課題を多くの人に知っていただくことも必要です。ぜひ、周りの人に広めることで、社会を変える一助になっていただければと思います。

 

毎月の寄付で応援する

今回のみの寄付で応援する


2023年6月28日に、寄付者さん限定の「無料産院」事業をテーマにしたイベントを開催し、縁組事業部の石原や相談支援にあたっている相談員が登壇して現場の声をお届けしました。イベント終了後に寄せられた声をご紹介します。

 

相談者さんに、まずは「相談してくれてありがとう」と伝えている、というお話が、とても心に響きました。そのような姿勢が本当に素晴らしいと思います。これからも応援しています!

 

毎週のように流れてくる子どもの虐待・遺棄に非常に心を痛めています。今困っている妊婦さんはもちろん、将来世代に向けて、困ったら頼れるところがあるという認知を広めてほしいですし、応援していきたいと思います。

 

仕事中、お昼休みにオフィスから参加しました。普段何かしたいと思っても忙しさにかまけ、自身の判断材料が乏しく感じる為、 このような機会は非常に有意義でした。 石原さん、相談員さんのお話の端々にご苦労と熱意を感じ、頭が下がる思いです。私なりにできる事を少しずつ実行していきたいと、今まで以上に思いました。ありがとうございます。ずっと応援しています。

フローレンスの「無料産院」事業公式サイトには、相談者さんのプライバシーに配慮した形で実例も掲載しております。詳しくはぜひこちらも御覧ください。

 

フローレンスの「無料産院」事業について詳しく見る >> >>


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