#STOP子どもの性被害 日本版DBSを骨抜きにしないで
卑劣な小児性犯罪をキックアウトするため、ついに日本版DBSが導入されます! しかし・・・。 |
フローレンスが2017年から国に政策提言をしてきた、性犯罪歴がある人が子どもと関わる仕事に就くことを防ぐ「日本版DBS」創設に向けて、今秋の臨時国会でついに法案が提出される見通しです。しかし報道によれば、国はその対象施設を保育園・学校などに限定しようとしています。
民間の塾やスポーツクラブなどの習い事などでも子どもの性被害が起きているのに、これでは子どもたちを真に性犯罪から守ることができません。
そこでフローレンスでは、8月10日に緊急署名活動をChange.orgで開始いたしました。
国に対し、塾や習い事、無償ボランティアも含めた「子どもと関わる仕事すべて」を制度の対象とすることを求めるため、署名の参加と全国拡散にご協力をお願いします!
フローレンスの政策提言活動・ソーシャルアクションは、すべて、皆さんからの寄付を原資に実施しています。私たちの活動をぜひ寄付で応援してください。
※日本版DBS
イギリスのDBS(Disclosure and Barring Service)を参考にした制度。保育士や教師、ベビーシッター、部活動のコーチなど子どもと関わる仕事への就労希望者に対し、過去に性犯罪を行っていないことを証明する「無犯罪証明書」の提出を義務付ける。
【子どもたちの日常に潜む小児性犯罪】
私たちは、認可保育園・訪問型保育の運営事業者で、国内の子ども・子育ての社会課題解決に取り組む認定NPO法人です。
被害者の心に生涯消えない傷を残す「魂の殺人」と言われる性犯罪。
警察庁の調査によれば、12歳以下の子どもに対する性犯罪発生件数は年間約1,000件(※1) 。1日に2件以上起きている計算です。
そして、性犯罪は、加害者の7〜8割が顔見知りであるとの調査結果があります。特に子どもは、親族や、教師・コーチ、施設職員等、身近な人物からの被害を受けることが多いとされます。
子どもが本来安心して過ごせるはずの場所である、学校、保育園、学童保育、スポーツクラブ、学習塾、ベビーシッターなどが卑劣な犯罪の舞台となるケースが少なくないのです(※2)。
公立の小中高校に限っても、年間200名以上の教員がわいせつ行為により処分を受けています(※3) 。
【いまの日本の法律・制度では、子どもたちを守れない】
子どもの日常生活の場を、「小児性犯罪の温床」にしてしまっている最大の原因は、子どもたちが利用する現場に性犯罪者を立ち入らせない仕組みがないことです。
たとえばイギリスでは、子どもに関わる仕事に就こうとする人は、過去に犯罪を行っていないことを証明する「犯罪歴証明」を就業先に提出する義務があります(DBS制度)。
しかし、日本にはこうした仕組みはありません。過去にわいせつ事件を起こした人物が求人に応募してきても、事業者は採用時に問題を察知する術がないのです。
この問題に大きな課題感を抱いた私たちは、2017年から「日本版DBS」の必要性を何度も提言し続けてきました。
ベビーシッターのマッチングサービスに登録していたシッターが小児わいせつの疑いで逮捕される事件が起きた20202年。この事件を受け、フローレンスは性犯罪歴がある人が子どもと関わる仕事に就くことを防ぐ「日本版DBS」創設を求める記者会見を実施し、「日本版DBS」創設の要望書と2万筆以上の署名を政府に手交してきました。
こうした活動により社会から注目が集まり、政治もようやく動き出し、ついに、今秋の臨時国会に「日本版DBS」法案が提出される見込みとなりました。
【対象の線引きは、制度を骨抜きにする】
ところが、この制度の対象から「学習塾やスポーツクラブなどが外れる見通し」との報道がありました。それらの場所での小児性被害は山ほどあるにも関わらず、です。
例えば学校で子どもにわいせつ行為をして懲戒免職となった教員は、再び教職に就くことは困難ですが、塾やスポーツクラブの先生、ベビーシッターならば可能になってしまいます。
刑法犯を対象した場合、小児性犯罪の再犯率は他の性犯罪と比べて最も高く(※4)、逮捕・処分歴のある教員・保育士などが、それを隠して別の場所で再び犯行に及ぶ事例は決して珍しいものではありません。
▼【独自】わいせつで免職の元教員、免許状コピーで障害児支援企業に再就職(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210328-OYT1T50266/
▼【独自】わいせつ処分歴隠し学童再就職、児童にまた被害…情報共有の仕組みなし(読売新聞)
また、「塾やスポーツクラブは任意とし、自主的に確認を行った場合に『適合マーク』を与える案が有力」との報道がありました。
▼学校・保育所に確認義務付け 性犯罪歴、塾には「適合マーク」―日本版DBSで政府検討(時事通信)
「任意」では、抜け道ができてしまいます。そんな「日本版DBS」では、真に子どもを守れるような制度になりません!
このままでは、秋の国会で骨抜きにされた「日本版DBS」の法案が出されてしまいます。
イギリスの場合は、「子どもと関わる全ての職種やボランティア等も犯罪歴チェックを行う」と規定しています。ボランティアも含まれるので、部活動のコーチやキャンプの指導員も対象です。
「職業選択の自由」や「個人情報」について懸念を示す意見がありますが、自由が無制限ではないのは、いうまでもありません。
優先すべきは子どもの安全であり、守る相手を間違えてはいけません。
性犯罪者から確実に子どもを守れる制度にするためには、業種を限定せず、無償ボランティアも含め、子どもと関わる仕事すべてに網をかけることが必要不可欠です。
【メディアからも注目されています!著名人からの賛同の声も】
今回の全国署名について、弁護士ドットコムニュースさんに取り上げていただきました。
▼「四谷大塚」講師の盗撮が発覚、性犯罪歴なしの証明「日本版DBS」に関心集まる(弁護士ドットコムニュース)
「娘を塾に通わせている親としてショック」、「自衛でどこまで防げるんだろう」。
四谷大塚の事件で保護者に衝撃と不安が広がる中、子どもと関わるすべての仕事を「日本版DBS」の対象にするよう求めるオンライン署名には、続々と賛同者が集まっている。
署名を始めた認定NPO法人フローレンスの担当者は「8月10日に署名を始めたが、四谷大塚の事件を受けて保護者の不安が高まっている中で、6日間で6万2千筆が集まった」と反響の大きさを語る。
(記事より引用)
また、子育て中の読者の皆さんも多いであろう VERY Webの記事内にて「日本版DBS」署名キャンペーンを取り上げていただきました。
医師の宋美玄さん、コラムニスト・犬山紙子さん、VERYモデルの東原亜希さんや、SHELLYさんなども、「日本版DBS」の重要性を呼びかけています。
▼【日本版DBS】を子どもに関わるすべての仕事に!署名活動にママたちも注目(VERY)
「日本版DBS」の制度から学習塾やスポーツクラブなどは対象から外れる見通しとの報道や塾講師による性被害の報道を受けて、より多くの方に関心を持っていただいております。
今秋の臨時国会で法案提出の見通しが立つ今、声を上げることが重要です。
子どもたちを性被害から守れるように。
引き続き、皆さんと一緒に声を上げていきたいと思います。
【国に対して以下の対応を求めます】
認定NPO法人フローレンスは、改めて以下を国に求めます。
以上の要望を国に訴えていくため、広く署名を呼びかけることにしました。署名に賛同くださる皆さんと共に、もう二度と幼い子どもが性犯罪の被害者にならない未来を創りたい。
たくさんの皆さんの賛同をよろしくお願いいたします。
フローレンスの政策提言活動・ソーシャルアクションは、皆さんからの寄付を原資に実施しています。私たちの活動をぜひ寄付で応援してください。
(※1) 警察庁『平成30年の刑法犯に関する統計資料』(令和元年8月):https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/H30/h30keihouhantoukeisiryou.pdf
(※2)内閣府『性犯罪・性暴力対策の強化の方針』(令和2年6月):https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/sakutei-suisin/kaigi34/pdf/s1-5.pdf
(※3)文部科学省『令和3年度公立学校教職員の人事行政状況調査について』(令和5年1月):https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/jinji/1411820_00006.htm
(※4)法務省『平成27年版 犯罪白書』第6編/第4章/第4節/2:https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/n62_2_6_4_4_2.html
【アンケート実施中。日本版DBSについて、あなたの声をお寄せください】
この署名を国に届けられるよう、準備をしておりますが、その署名と合わせて、皆さんの生の声を、社会や国に届けたいと思います。
署名に込めた思い、子どもの性被害撲滅についてのご意見、「日本版DBS」に求めることなど、下記アンケートフォームから、お寄せください。
子育て中の方々や、学校・保育所・学習塾・児童館など子どもに関わる施設の関係者の皆さまはもちろん、ご意見やお気持ち、エピソードを共有いただける方はどなたでも、ご協力いただけますと幸いです。
(アンケート回答目安:5分程度)
フローレンスについて
こども達のために、日本を変える。フローレンスは未来を担う子どもたちを社会で育むために、事業開発、政策提言、文化創造の3つの軸で、社会課題解決と価値創造をおこなう国内最大規模のNPOです。
日本初の訪問型・共済型病児保育事業団体として2004年に設立し、ひとり親支援と子どもの貧困防止、子どもの虐待や親子の孤立防止、障害児家庭支援など、日本の子ども・子育ての領域で総合的な活動をおこなっています。
待機児童問題解決のための「おうち保育園」モデルが、2015年度に「小規模認可保育所」として国策化されたほか、障害児に専門的に長時間保育を提供する日本初の「フローレンスの障害児保育・支援」や、子どもの虐待問題解決のため「フローレンスのにんしん相談・赤ちゃん縁組」、子どもの貧困を解決する「こども宅食」などの取り組みを全国で加速しています。
たくさんの仲間と共に、社会に「新しいあたりまえ」をつくるNPO法人です。
フローレンスの団体概要
https://florence.or.jp/about/organization/
受賞歴・書籍・沿革
https://florence.or.jp/about/history/
フローレンスの政策提言活動・ソーシャルアクションについて
フローレンスは、支援現場を自分たちの手で運営しながら、そこから日々得られる親子の生の声や、事業ノウハウを社会に広げ、国や地域の制度に具体的施策を提言をすることで、日本の子どもを取り巻く環境、綱渡りを強いられているハードな子育て環境を、アップデートしていきます。
こうした全国署名や緊急提言の活動も、皆さんからの寄付があるからこそ迅速に立ち上げることができました。
いつも応援してくださる寄付者の皆さん、参加・協働してくださっている多くの皆さんに心から御礼申し上げます。
日本中のすべての親子の笑顔のために、フローレンスはこれからも皆さんと共に「新しいあたりまえ」を形にしていきます。