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今必要なのは、保育園を社会みんなで支える仕組みづくり。【全国の保育現場向け調査結果レポート】

今必要なのは、保育園を社会みんなで支える仕組みづくり。【全国の保育現場向け調査結果レポート】

#みらいの保育園 #政策立案・政策提言 #ソーシャルアクション

児童虐待、孤育て問題など、近年、日本では子育てに関するさまざまな社会課題が挙げられています。そんな中、すべてのこどもの育ちを応援する、「こども誰でも通園制度」が創設され、全てのこどもに保育園とつながる機会が保障されました。
(「こども誰でも通園制度」について詳しくはこちら

一方で、保育園の現場からは「困っているご家庭にできる限りの支援をしたいが、とにかく人手が足らず、支援ができなくなってきている…」という悩みの声も出ています。

「こども誰でも通園制度」がより良い制度となっていくためには、保育園や保育士への負荷軽減も両輪で進めていくことが必要です。そのために必要な取り組みを考えるべく、フローレンスは全国の保育事業者を対象にアンケート調査を実施しました。この調査では、「支援が必要な保護者や子への対応に、保育所などが現在どのように取り組んでいるのか?」を明らかにすることを目的としています。

<アンケート概要>
調査方法:インターネット上での回答
調査期間:2023年11月21日~2023年12月15日
調査対象:認可保育所、認定こども園、地域型保育事業、幼稚園
回答数:236件

「自治体に相談しながら対応している」園が多数

他のお子さんに比べて発達がゆっくりで、個別の配慮が必要なお子さんや、ご家庭の経済的な課題や子育て疲れを抱えている保護者、外国籍で慣れない日本で暮らしているご家庭など、保育園では「支援が必要な親子」に出会う機会があります。

「在園しているこどもや保護者に対して、支援の必要性を感じた場合、園外に相談先はありますか。」と尋ねると、8割以上の園が「相談先はある」と回答しました。

「相談したあと、一緒に具体的な対応を考えてほしい」という声も半数

その一方で、相談後の具体的な対応を関係機関と一緒に検討することができている、と回答する園は6割前後に留まりました。残りの半数弱の園からは、「相談したあと、どのように支援を進めていくか、もっと一緒に考えて、動いてほしい」という期待が多く上がっていました。

家庭への支援を実施するためには、保育とは異なる専門性が必要になる場面があるからこそ、具体的な支援の方針について一緒に検討したり、心理士やソーシャルワーカーといった専門職に相談しながら対応をすすめたい、という期待があることがわかりました。

できる限り、おうちの方の不安などを解消できるようコミュニケーションをとることを大事にしているが、専門的な意見を聞く機会が設けられると、よりよい支援ができるのではないかと感じています。

家庭への支援においては、ソーシャルワークの視点や必要な対人スキルが、保育と異なる。このため、特に現場の保育士が対応の難しさや苦手さをより感じてしまっているのだと思う。ソーシャルワークの技術獲得や、対人スキルの獲得に向けた専門職からの研修などがあると良い。

「園に丸投げにしないで」

アンケートの自由記述欄にも、切実な意見が多数寄せられました。保護者やこどもの状況、保育園などに期待される役割が近年変化していく中で、それに見合った体制が園内で築けず、大きな負担や課題を抱えている状況が浮かび上がりました。またこの状況を解決していくために、行政に対する期待として重みのあるメッセージも多数寄せられていました。

保育についての仕事量が多い上に、保護者支援、地域支援まで行うことに疲弊しています。保育園の役割が多すぎる。人手があれば実行できることもありますが、ここ数年保育士確保が厳しく、姉妹園は年間通して派遣を利用していた所もあります。保育士の賃金をアップし、なり手を増やしていかなければ、日常の保育さえままならない状況になると感じています。

行政が園に丸投げするのではなく、園が抱えている家庭の支援などを理解し、もっと園に寄り添って解決していけるような支援が必要と感じる。年々支援や配慮が必要な親・家庭が多くなっているが、行政はいつも園に丸投げの状態である

困難ケースに該当する家庭への支援においては、ソーシャルワークの視点や対人スキルについては保育と視点が異なることもあり、特に現場の保育士が対応への難しさや苦手さをより感じてしまうと思う。ソーシャルワークの技術獲得や、対人スキルの獲得に向けた専門職からの研修などがあると良い

「親子を支える保育園」を社会で支えるしくみ・事業をつくる

保育士の労働環境改善は、保育施設を運営する団体ごとの自助努力と捉えられがちですが、保育士がより手軽に研修を受けられる機会や、専門職に相談できる機会をつくる、保育園にとっての相談先の一つである自治体との連携体制を整えるなど、社会で取り組める課題・打ち手もたくさんあるとフローレンスは考えています。

フローレンスの保育園ではこれまで150件以上(2024年2月時点)のご家庭のサポートを、園スタッフ・フローレンスに在籍しているソーシャルワーカーで実施しました。また、2021年度からは中野区から受託を受け、中野区内119園(2023年4月1日時点)に「保育ソーシャルワーク」を提供しています。

保育現場でのソーシャルワークの取り組みについては、こちらでもご紹介しておりますのでご覧ください。

その他にも2023年度には、支援が必要な家庭への対応のポイントについての個別研修を社外の保育施設向けにも実施しました。

これからも、困りごとを抱えた親子を支援する保育現場のことを、社会全体で支援できるような仕組みをつくり、広げることができるように、フローレンスは活動を続けていきます。

自治体・民間企業に本アンケート結果を提供します

本調査は「見守り体制強化促進のための広報啓発事業」の助成を受け実施しました。
フローレンスは、本調査の結果を、ぜひ今後の支援施策の参考としてご活用いただきたいと考え、以下に調査結果のデータを公表いたします。下記より、ダウンロードの上ご活用ください。引用元として「認定NPO法人フローレンス」と明記をお願いいたします。使用費はいただきません。

参考資料

▼保育事業者の親子支援実態に関する調査報告書

報告書をダウンロードする

※ご使用の際には、下記2点をお願いしております。
・引用元として「認定NPO法人フローレンス」と出典の明記をお願いいたします。
・弊会の取材申込フォームに使用用途を記載の上お知らせください。
<取材申込みフォーム>https://florence.or.jp/publicform

ソーシャルアクション・政策提言は皆さんのご支援で運営しています

フローレンスは、保育現場を自分たちの手で運営しながら、そこから日々得られる親子や園スタッフの生の声や、事業ノウハウを社会に広げ、国や地域の制度に具体的施策を提言をすることで、日本のこどもを取り巻く環境、綱渡りを強いられているハードな子育て環境を、アップデートしていきます。
いつも応援してくださる寄付者の皆さん、参加・協働してくださっている多くの皆さんに心から御礼申し上げます。

ぜひ、これからも応援をよろしくお願いいたします。


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