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全国1,000カ所への調査から明らかに!こども宅食の有効性と、現場のリソース不足

全国1,000カ所への調査から明らかに!こども宅食の有効性と、現場のリソース不足

こども宅食とは

「こども宅食」は、経済的困窮などお困りごとのある家庭に対し、定期的に食品をお届けして生活を支えながら、身近な相談者としてつながり、必要に応じて公的・専門的な支援へつなげていくアウトリーチ支援です。フローレンスはグループ団体のこども宅食応援団と連携して、この取り組みを全国に広げるためのさまざまな活動を行っています。

こちらの動画でわかりやすく紹介しています。)

こども宅食などのアウトリーチ支援は、令和5年12月に閣議決定された「こども未来戦略」でも「困難を抱える家庭のSOSの早期発見・見守り施策」として明記されるなど、その重要性は増しています

本記事のサマリー

フローレンスは2024年10月から11月にかけ、今後こども宅食を全国に普及させるために「導入を阻む問題は何か?」を明らかにするべく、全国の自治体と、こどもに関連する活動を行っている民間団体それぞれへ調査を実施しました(一般社団法人こども宅食応援団と共同実施)。

その結果、こども宅食は「支援が必要な家庭の見守りに有効である」と認知されている一方で、さまざまなリソース不足が大きな問題であるとわかりました。

本記事では、この全国調査の内容をピックアップして解説します。

※記事の最後に、調査報告書(全体版)と、ノウハウ・財源などのリソース不足を受けて行った先進事例・財源紹介セミナーの動画・資料があります。

調査概要

  • 実施期間:2024年10月2日(水)~2024年11月18日(月)
  • 実施方法:マクロミル社のQuestantを利用したWEBアンケート
  • 実施対象:
    • 自治体調査
      日本の自治体(全47都道府県の1,747市区町村)において、下記部署に勤務されている担当者
      ・ こどもや子育て支援、児童福祉に関する部署
      ・(こどもや子育て支援以外の)保健・福祉や障害に関する部署
      ・地域協働や市民活動に関する部署
    • 団体調査
      NPOや社会福祉法人等の子育て支援に関わる民間団体の担当者
  • 回収数:
    • 自治体調査:400件 *回答率13.7%(アクセス数 2,926件)
    • 団体調査:628件 *回答率21.5%(アクセス数2,919件)

調査結果ピックアップ

自治体にこども関連のどのような活動に取り組んでいるかを聞いたところ、こども宅食を実施している割合は16%と、やはりまだ普及が進んでいないことがわかりました。

あくまで回答協力者ベースとなるが、“こども宅食”の現在の実施状況は、”こども食堂” “フードバンク/パントリー”“子ども第三の居場所”に次ぐ結果となっている。

一方で、こども宅食の成果・効果として期待することは、自治体と民間団体ともに、経済的困窮への直接支援以外に、①支援が必要な家庭の見守り②児童虐待の発見や予防③孤立状態の防止・軽減が上位に挙げられ、こども宅食の有効性は確かに認知されていることがわかりました。

加えて自治体からは、「こども宅食という手法ならでは」の効果を実感しているという声も寄せられました。

関東 A市/こども家庭相談課

支援に拒否的である家庭へのアプローチについては、(中略)、支援機関の関わりに保護者がメリットを感じていないと関わりが困難なケースもある。

そのような際、食料支援や経済支援、家事支援等、保護者にとって「助かった」と実感できる支援があることで繋がれることもあるため、多様なニーズに対応できる支援メニューの整備の必要性を感じている。

九州地方 B市/子育て・障がい支援課

支援の必要性と、拒否感や抵抗感は、相関の図式にあり、保護者の壁に遮られ、もどかしい感情を抱くことは少なくありません。

宅食は必要物資の提供がフックとなり、頑なな扉が能動的に開錠されることが期待され、実態として成果も出ています。

これだけの期待や確かな効果が認められるこども宅食が、なぜ普及しないのか。導入の障壁は、自治体、民間団体ともに共通して、「ノウハウ・情報の不足」、「担い手・人手の不足」、「財源の不足」でした。

民間団体へのイメージ調査でも、こども宅食は子育て世帯の安心感や児童虐待の予防や発見に寄与し、今後より一層必要だと効果・必要性が認知される一方で、多くの物資・資金や行政バックアップが必要な、簡単には始めにくい事業として認識されていることがわかりました。(調査に回答した多くの民間団体がこども支援に関わる団体です)

本調査の調査報告書(全体版)は、こちらをご確認ください。

この結果を受け、全国セミナーを実施!

さまざまなリソース不足が問題となっていることを受け、全国の自治体・民間団体向けに、「官民連携によるアウトリーチ支援を考える」セミナーを開催しました!
(一般社団法人こども宅食応援団との共催)

当日は217名もの方々にご参加いただき、自治体×民間団体の先進事例具体的な財源をご紹介しました。セミナーのアーカイブ動画・資料はぜひこちらからご確認ください。

※本全国調査及びセミナーは、「令和 6 年度 孤独・孤立対策推進交付金(孤独・孤立対策担い手育成支援事業 中間支援組織)」に基づき実施しました。


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