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オンラインだから、つながれる親子がいる。事業5年目の現在地【前編】~子育ての悩みをLINEで相談!フローレンスの『おやこよりそいチャット』~

オンラインだから、つながれる親子がいる。事業5年目の現在地【前編】~子育ての悩みをLINEで相談!フローレンスの『おやこよりそいチャット』~

#ハイブリッドソーシャルワーク

「子育てがつらい」

「誰かに話を聞いてほしい」

「こんなこと、どこに相談したらいいんだろう?」

そんなとき、LINEから気軽に専門の相談員とつながれるのが、フローレンスの『おやこよりそいチャット』です。

2022年にスタートした『おやこよりそいチャット』は、全国の子育て家庭を対象としたオンラインの子育て相談サービス。今年で5年目を迎えました。

LINEだからこそつながれる人がいる。一方で、LINEだけでは解決できないこともある。

今回は、『おやこよりそいチャット』を運営するフローレンス事務局の吉田さんと、専門の相談員として現場に立つ春日さんに、5年目の活動を通して見えてきた支援のあり方や課題、現在地について聞きました。

対面での支援と違い、活動の様子が見えにくいオンラインでの支援。どのような家庭に、どのような支援を届けているのでしょうか。

※個人が特定されないよう、複数の相談・支援内容を組み合わせて構成しています

話を聞いた人

インタビューした人

ハイブリッドソーシャルワーク事業

サブマネージャー 吉田さん

住宅関連メーカーでのBtoB営業を経て、「児童虐待をなくしたい」という想いから福祉業界へ。児童養護施設で非常勤職員として現場経験を積む。社会福祉士資格を取得後、フローレンスに2021年に入職。ビジネス経験と福祉現場の視点を活かしながら事業運営を支えている。

話を聞いた人

インタビューした人

ハイブリッドソーシャルワーク事業

相談員 春日さん

総合商社、NPO法人、社会福祉法人などで勤務しながら、ソーシャルビジネスや対人支援に携わる。 「幼少期の親子関係がその後の人生に大きく影響する」と痛感し、親子支援と社会構造の変革を掲げるフローレンスに2021年入職。 相談員第1号として、画面の向こうの親子に寄り添い続けている。

LINEの相談支援『おやこよりそいチャット』とは?

──まず、サービスについて教えてください。

インタビューした人

吉田

『おやこよりそいチャット』は、全国の子育て家庭が対象のLINEを活用した相談サービスです。LINEを活用しているので、「いつでも・どこでも・匿名で」専門の相談員に気軽にご相談いただける特徴があります。

──どのようなご家庭が利用しているのでしょうか。

インタビューした人

吉田

サービスを始めた時期は、離婚前の実質のひとり親の方や、保護者に精神疾患のあるご家庭など、お困りごとを抱えているご家庭に限定していました。

ただ、今はより多様なニーズにお応えできるように子育て家庭であれば、どなたでもご利用できます。

※「おやこよりそいチャット」の事業概要についてはこちら

オンラインだからこそ、つながれる家庭がある

── 実際にどのようなご家庭からの相談があるのでしょうか。

インタビューした人

春日

例えば、親御さんやお子さんに障害や疾病があり、外出困難なご家庭です。

あるご家庭は、親御さんの持病の関係で半年以上、外に出ておらず、日々の動けないストレスや子育ての悩みを、日常会話の延長のような感覚でつぶやいてくださっていました。

他にも「役所に親戚や知り合いがいて、相談しづらい」「家族から相談することを止められている」「親御さんに精神疾患があり、対面が苦手」という方などもいます。日中時間が取れないひとり親の方などは、特に夜間に多く相談が届く傾向があります。

オンラインだからこそ、つながれるご家庭は本当に多いですね。

── どういった相談が寄せられるのでしょうか。

インタビューした人

春日

相談の内容はご家庭によってさまざまです。

ですが「相談をしようと思っていない」、「自分が大変な状況にいることを、自分で理解していない」というケースが意外と多いです。

『おやこよりそいチャット』では、プッシュ型で情報配信をしていますが、それに対しての反応があったり、こちらから話しかけたときに一言「疲れた」とか「しんどい」とか、自分の今の気持ちを率直にお話してくださったりすることがあります。

そこからのお話を続けていくことで、本格的な相談につながるというようなケースです。

── 情報配信や声かけなどのきっかけがあると、返事があることがあるんですね。

インタビューした人

吉田

そうですね。それも「相談してみませんか」っていうパターンもあれば、「ちょっと気持ちをつぶやいてみませんか」みたいな聞き方をすることもあって。

こちらから発信や声かけができるチャット相談ならではだと思います。

実際の配信例
※実際の配信例

親子を孤立させない、その次に「つなげる支援」

── 数あるチャット相談の中で、『おやこよりそいチャット』はどのような特徴があるのでしょうか。

インタビューした人

吉田

よく皆さんがチャット相談で想像されるのは、「こういう支援がありますよ」と支援先の紹介するところまでだと思います。

『おやこよりそいチャット』では、利用者さんと地域の支援機関の間に入り「つなぐ」こともしています。

利用者さんによっては、過去の経験から対面支援に苦手意識があり、窓口に相談すること自体がハードルになっている方もいます。

支援先をご案内するだけでなく、利用者さんからの同意が得られれば、相談員が窓口にお電話し、利用者さんのご状況やお困り事をお伝えします。

利用者さんが電話をかけたときには、話が共有されているので安心して対面支援につながることができます。

── 「相談にのる」「情報提供する」で終わりではなく、「支援先につなげること」も相談員さんの役目なんですね。

インタビューした人

春日

そうですね。

過去に、親御さんに持病があるひとり親のご家庭で、生活が困窮していても役所へ行くことに強い抵抗感を持たれている方がいました。

やりとりの中で養育費が止まり、ついに「携帯電話が止まった」とお聞きしたんです。わたしたちとはLINEで連絡がとれますが、電話はライフラインなので「これはまずいぞ」と判断して、チームで支援の方針を話し合いました。それからご本人の許可を得て、こちらから役所の相談窓口へ電話を入れました。面談の日程調整と情報連携を行ったんです。

ご自身で説明するよりも、第三者の専門の相談員が客観的な情報として伝えることで、行政側にもご家庭の深刻度が正確に伝わり、スムーズに動いてもらいやすくなります。

 

── たしかに、利用者さんがご自身の状況を理解して、適切に伝えることはハードルが高そうです。

インタビューした人

春日

利用者さんには「話しておくから大丈夫ですよ」っていう後押しをする。

一方で役所へは利用者さんが行ったときに、齟齬がないようなかたちで状況を共有する。

「その場を整えること」もわたしたちの重要な役割です。

姿が見えない「文字でのやりとり」。支援の質に直結する相談員との信頼関係

── 利用者さんとのコミュニケーションで、心がけていることはありますか。

インタビューした人

春日

特に最初の場面では、必ず寄り添い、ねぎらい、受け止める言葉をかけることです。

なぜかというと、支援をしていく上で利用者と相談員の信頼関係が、支援の質に直結するためです。心理学では「ラポールの形成」と言いますが、要は関係ができていないと、本当のニーズや本音はお話をしてくれないことが多いです。

お話が出てこないと、本当に必要な支援につながりにくい。なので信頼関係を作ることをまず大事にしています。

── 継続的に利用されている方へ心がけていることはありますか。

インタビューした人

春日

おやこよりそいチャットの特徴として、利用者の方と長い付き合いになる場合も多々あり、その時々で悩みのフェーズが変わってきます。

そこも見据えながらの対応をするということを心がけています。

それにも付随することですが、わたしたちはあくまでも親御さん視点での“主観的な情報”しかない、ということは常に頭に入れて対応しています。

お子さんの姿を直接見たり、声を聞いたりすることはできないです。

だからこそ、「親御さんの言葉のバックグラウンドに何があるのか」「家庭環境はどうか」「地域の資源とどう関わっているか」という、その方を中心とした状況を常に頭に入れながら、一番良い支援のかたちを考えています。

5年目のいま。チャット相談だからこそ「できること」と「限界」

── 事業開始から5年目を迎え、見えてきた課題やこれからの展望について教えてください。


インタビューした人

吉田

「つながり続けること」の難しさと大切さを実感しています。

 

LINEを使うことで「つながる」ハードルは大きく下がりましたが、「つながりを持ち続ける」という点に関しては課題や難しさも感じています。

長い子育ての中で困るタイミングは人それぞれですし、「一度は困りごとが解決したけれど、しばらくして別の困りごとができた」ということもあります。なので、わたしたちは毎日使い続けなくても良い、困ったときに思い出してもらえる「お守り」のような存在でありたいと考えています。

しかし、日常の忙しさや情報量の中で埋もれてしまい、肝心な「困ったとき」に思い出してもらえない難しさも経験しました。そのため現在は、2ヶ月に1回のお米の配送企画や、オンライン面談の機会を設けるなど、ゆるやかにつながり続けるための試みを模索しています。

あともう一つ、LINEだけでは解決できないこともあると感じています。そのため、LINEをきっかけにつながり、その次の支援へつないでいくところも、やっぱり大事だなと思っていて。5年でいろんな課題に出会ってきたからこそ実感しています。

 

インタビューした人

春日

文字だけのやり取りでは、基本的にご本人からの話しか聞けないので限界を感じることもあります。

地域支援と連携していくことはすごく重要で、その親子の全体像を把握していく仕方を検討していく必要性がありますね。

インタビューした人

吉田

LINEだから見える姿と、対面だから見える姿。

双方を組み合わせることで、切れ目のない支援が続いていくと思います。

そのような点でも、これからも親子とつながり、必要な支援につなげる工夫のしがいがあると感じています。

【後編】では、AIを筆頭に、テクノロジーを活用した支援の選択肢が増えた現在。

そんな時代に、専門資格を持つ相談員が画面の向こうで一人一人の言葉に向き合う『おやこよりそいチャット』の役割と価値とはどこにあるのかを考えます。


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