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事務局スタッフと相談員が並んでいる様子

AIの時代に、人だからこそ届けられる支援とは【後編】~子育ての悩みをLINEで相談。フローレンスの『おやこよりそいチャット』~

#ハイブリッドソーシャルワーク

「子育てがつらい」

「誰かに話を聞いてほしい」

「こんなこと、どこに相談したらいいんだろう?」

そんなとき、LINEから気軽に専門の相談員とつながれるのが、フローレンスの『おやこよりそいチャット』です。

2022年にスタートした『おやこよりそいチャット』は、全国の子育て家庭を対象としたオンラインの子育て相談サービス。今年で5年目を迎えました。

AIを筆頭に、テクノロジーを活用した相談支援の選択肢が増えた現在。

そんな時代に、専門資格を持つ相談員が画面の向こうでひとりひとりの言葉に向き合う『おやこよりそいチャット』の役割と価値とはどこにあるのでしょうか。

【前編】に続き、後編では事務局の吉田さんと、立ち上げ期から現場を支えてきた専門の相談員の春日さんに、人だからこそできる支援や専門性が問われるコミュニケーション、事業のやりがいなどについても話を聞きました。

※個人が特定されないよう、複数の相談・支援内容を組み合わせて構成しています

話を聞いた人

インタビューした人

ハイブリッドソーシャルワーク事業

サブマネージャー 吉田さん

住宅関連メーカーでのBtoB営業を経て、「児童虐待をなくしたい」という想いから福祉業界へ。児童養護施設で非常勤職員として現場経験を積む。社会福祉士資格を取得後、フローレンスに2021年に入職。ビジネス経験と福祉現場の視点を活かしながら事業運営を支えている。 

話を聞いた人

インタビューした人

ハイブリッドソーシャルワーク事業

相談員 春日さん

総合商社、NPO法人、社会福祉法人などで勤務しながら、ソーシャルビジネスや対人支援に携わる。 「幼少期の親子関係がその後の人生に大きく影響する」と痛感し、親子支援と社会構造の変革を掲げるフローレンスに2021年入職。 相談員第1号として、画面の向こうの親子に寄り添い続けている。

変化を恐れない柔軟なチーム─全国の専門職が集まる現場

── 後編では、「人だからこそ届けられる支援」をテーマに深掘りしていきたいと思います。改めて、『おやこよりそいチャット』では、どのような専門性を持った方が集まっているのでしょうか。

インタビューした人

吉田

相談員の皆さんは、社会福祉士、精神保健福祉士、助産師、看護師、保健師、キャリアコンサルタントなど、多種多様な専門資格や現場経験を持っています。

そのため、子育てだけでなく家族関係や職場の悩みなど、どんなご相談に対しても多角的な視点から対応することができます。

あと相談員の皆さんに共通している人柄としては、「何事も自分ごとにできること」と「変化に柔軟に対応できること」だなと感じます。

立ち上げ当初はSNSを使って相談すること自体が珍しく、試行錯誤の連続でした。昨日決めたことでも「やってみて違ったら、変更しよう」と柔軟に変えていく環境でした。

── 相談員さんから見ても、チームは柔軟な風土があるのでしょうか。

インタビューした人

春日

はい。常に変化を続けているので、相談員も「こうしたらどうですか?」と思ったことはどんどん言い合える雰囲気があります。

柔軟に変化していく雰囲気はチームみんなが持っているかなと思います。

インタビューした人

吉田

沖縄や新潟など、相談員の皆さんの勤務地は全国バラバラでフルリモートなのですが、チャットだから遠慮しちゃって言えないとかは全然なくて。

支援の観点でより良い方法であれば提案するし、それをやってみて違ったら変える。

質の高い支援のための意見が飛び交っています。

緊急時の支援機関へつなぐ危機介入─「言葉の裏」を読み解く相談員の強み

── AIを活用した相談支援が増える中、「専門の相談員」が対応する強みとは何でしょうか。

インタビューした人

春日

 一番は、緊急度が高いケースでの「介入」です。

親子の命が危険な可能性が高いと思われるとき、地域への連携・通告といった直接的な「介入」が必要となることもあります。

以前、ご自身の妊娠・産後うつとパートナーとの関係に悩み、希死念慮(死にたいという気持ち)を訴えられた親御さんがいました。

今までのやり取りやその日のトーク内容から、チームで話し合い危険と判断。その方が地域の保健師さんとつながりがあることを知っていたので、すぐ連絡を入れて状況を伝え、その日のうちに自宅へ訪問していただいたケースがありました。 

「危険そうだから、早急に連携しよう」ではなく、会話のトーンや、今までのトークの内容や背景を鑑みて、いま介入すべきか、どこに連絡をするのが一番いいのかなどを慎重に判断しています。

相談ダミー画像
※相談のイメージ画像です

── 保健師さんに動いていただけて良かったですね。こちらはすぐに会いに行くことはなかなか難しいので…。

インタビューした人

春日

そうですね。ですが、保健師さんに家に行っていただくのも、実際に動いてくださるかわからないので伝え方が重要です。

「このような環境で、こんな事案も重なって、今とても深刻な状況」という危険度を、こちらで整理した上で伝えることで、連携先も「これはまずい」と動いてくれる可能性が上がります。 

その点でもやはり専門性が必要なのと、利用者の方と会話を重ねてきたからこそできることかなって思います。

インタビューした人

吉田

連携について、専門職だからこそできることだろうなとすごく感じます。

AIは「こういう窓口がありますよ」という情報提供は得意ですが、次にパスを受け取る機関へ動いてもらうために、必要な情報を添えて適切なタイミングでバトンを「渡す」ことは難しいですよね。

──コミュニケーション上、人ではないと汲み取れないものはあると思いますか。

インタビューした人

春日

確実にありますね。

言葉の裏みたいなものを読み取ったり、書き方や文章の温度感だったり、その方の状態が結構文章に表れるんですよね。

AIは基本的に受け取った文章をそのまま受け取るので、人でないと汲み取れないものは多いのかなとは思ってます。

「解決」ではない。寄り添い続けることも支援

── 利用者さんとのやり取りの中で感じる課題はありますか?

インタビューした人

吉田

相談支援しているご家庭の状況が、あまり改善・好転していかないともどかしい気持ちになります。

地域で頼れる先があっても、なかなか信頼できず「ここでは話せるんですけど」とずっと悩みを吐露されている状態を見ると、もっとやり方はないのかなって感じます。

例えば、利用者さんが学校や病院などへ行き、近くにいる人が対面でサポートできると、もしかしたら進むのかもしれないけれども、それが進まないとか…。

わたし以上に、春日さんの方が感じるのではないでしょうか?

インタビューした人

春日

そうですね。「チャット相談の難しさ」についてはさっき(前編で)言ったように、文字でのやり取りなので必要な情報が取れないなど、コミュニケーションの壁はあって。

あとは、全国向けのサービスですが、わたしたちはすべての自治体と関係性があるわけではありません。

連携しても実際に動いてくれるかわからないんです。

こちらが期待するような動きをしていただけなかったり、動かれたかどうかすら教えてもらえなかったりすることもあります。

どのように利用者さんの状況が変わったのかも、利用者さんが話してくれないとわからないです。

自分たちの支援がどういう結果になったのかがわからない。そういうもどかしさはありますね。

── その「もどかしさ」にどのように向き合っているのでしょうか。打開しないといけないのか、「そういうもの」と受け止めているのか…。

インタビューした人

春日

吉田さんが言っていた「状況が改善しない」ことについては、複合的な課題を抱えていて、今すぐにはどうにもできないケースがたくさんあります。

ですが、何らかのタイミングが来るまで、寄り添い、見守り続けることはチャット相談ではできると思っています。

いつかご本人のタイミングで話せるときがきたら反応する。話そうと思える関係を細く長くつないでいく。それ自体が伴走支援になるのかなと思っています。

 

「寄り添い続けること」が「解決」ではないとしても、「支援」ではあると思い向き合っています。 

事業5年目に思う、支援の意義と原動力

── 最後に、『おやこよりそいチャット』の魅力ややりがいについてお聞かせください。

インタビューした人

春日

多様な専門性を持つチームで、LINEの一通にしても一言一句悩みながら、みんなでどういった支援・どういった返信が良いのかを考えていけるのは、『おやこよりそいチャット』ならではだと思います。

相談員が一人で返信する場合も皆さん熟考して返していて、来たものにすぐに返していくのとはまた違う「質の高さ」があります。 

あとは、利用者さんから

「大変な時期に寄り添ってくれたやり取りを見返して、心の支えにしています」

「画面の向こうに自分を気にかけてくれる人がいることが力になった」

と言っていただけたとき、

顔が見えなくても、その先に人を感じて力になれているんだなと。

インタビューした人

吉田

わたしの視点では、2つあります。 

一つ目は「絶対に必要だな」と確信を持ってやれているところです。

地域格差や相談員の人手不足がある中で、届かない人に支援を届けるこの仕組みは欠かせないですし、それを作っていけるところに大きなやりがいがあります。

もう一つはただチャット相談を運営するだけでなく、AI活用の可能性を検証してみたり、お米の配送を取り入れてみたりと、「どうすればより良い支援ができるか」を真ん中に置いて考えられる環境があります。

専門性あふれる相談員の皆さんとともに、これからもこのサービスをより温かく頼もしい存在へと育てていきたいです。


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