わたしたちフローレンスは、「今を生きるわたしたちと まだ見ぬこどもたちが 希望と手をつないで歩める社会。さあ、心踊る未来へ」を団体のビジョンに掲げ、さまざまな事業や政策提言、ソーシャルアクションを通して、日本のこども・子育て領域の課題解決に挑戦しています。
これまでの活動実績で培ったノウハウの一端を学生の方々に伝えることで、「自分は社会を変えられる」、そんな「社会に対する自己効力感」を感じてもらいたいーー。
そんな想いで、フローレンスでは学生向けのインターンシップ事業を行っています。
このインターンシップを経て、「自分は社会を変えることができる」と感じる学生が増えることが、アンケート結果からわかっています。
社会を作っているのは、特別な誰かではなく、わたしたち一人一人であるということ。
この社会をより良く変えるのは、政治家や官僚だけじゃなく、わたしたち一人一人であるということ。
その意識を持ち、アクションしていく人が社会の中に増えていけばもっと社会は良くなっていくはずです。
「自分も社会を変えられる」ーー。それを学生の皆さんに感じてもらうために提供する2日間のインターンプログラムをご紹介します!
ルールメイキング体験インターンとは?
今回受け入れを行ったのは、市川高校の1、2年生の生徒の皆さん8名です。
2年連続でのインターン実施となりました。
▼昨年の様子はこちら
今回のインターンは、「医療的ケア児のインクルーシブ保育(障害の有無に関係なく一緒に保育を受けること)」をテーマに、保育現場の見学や実習、政策提言に関する講義、実際に政策提言を考えるワークショップを行いました。
インターン1日目 ヘレン見学と講義
1日目にまず行ったのは、障害児保育園ヘレンの見学です。障害児保育園ヘレンは、医療的ケア児をはじめとする、障害のあるお子さんの長時間保育を日本で初めて実現した保育園です。
園長から障害児保育園ヘレンに関する説明を受けたあと、保育士や看護師スタッフが、優しく声をかけながらお子さんと遊ぶ様子を見学。一緒にパラバルーンを使って遊ぶなど、活動にも参加しました。その後の園長との質疑応答タイムでも、医療的ケア児を取り巻くさまざまな課題についてたくさんの質問が飛び交いました。
▼参加学生の声
僕たちからみたら大きなハンデキャップを抱えたこどもたちでも、本人にとってはそんなことは関係なくて、他の子供と同じようにただ精一杯遊んで泣いて生きているのだなということを感じられた。
看護師さんや保育士さんは、こどもたちが自分の感情を表現するのを待って接していたり、瞬きで返事をしているのではないかと気づいた方もいると聞いて、こどもたちにとっては本当に良い環境だと思いました。園長さんの「どんな子でも健常児と同じように保育園を選択できる社会であってほしい」という言葉はとても印象に残りました。
午後からはフローレンスの神保町オフィスに移動し、オペレーションズによるオフィスツアーを実施。フローレンスの自由なオフィスの雰囲気を感じていただきました。
その後、「政策提言とは」をテーマに講義を行いました。この講義では、フローレンスが実際に政策提言を行ってきた事例を交えながら、政治家・官僚・民間団体などさまざまなステークホルダーによって政策が決定されていることをお伝えしました。また、フローレンスが民間の立場で、どのように政策提言を行っているのかをお話ししました。
政策提言について学んだあとは、フローレンスでインクルーシブ保育を実践している園の園長や看護師スタッフとの対話を行いました。インクルーシブ保育の実践をする中で起こったさまざまな葛藤や、園児たちの反応など、現場視点でのリアルなお話をたくさんお伝えしました。
▼参加学生の声
実際に取り組んでいる方のお話を聞くことで現状の制度に足りないことを知ることができたり、問題が解決したらどんなに子供たちや親御さんにとって良いかをひしひしと感じることができました。
こうして、1日目は医療的ケア児を取り巻く社会課題や、政策提言に関する理解を深めて終了。
インターン2日目 保育実習とワークショップ
インターン2日目は、フローレンスの保育園での保育実習からスタート!
「おうち保育園」「みんなのみらいをつくる保育園」に各自集合し、保育士と一緒に保育にあたります。
この日は少し涼しい日だったので、久しぶりの外散歩に出かけた園も多く、園児たちとたくさん関わることができました。また、こどもとの関わりだけでなく、保育士がどうやってこどもと関わっているのかを実際に見たり、園長との会話から多くのことを学んでいただけたようです。
▼参加学生の声
ある子が手を出してしまったとき、「謝りなさい」というのではなく、「嫌そうな顔をしてるよ」と言っていて、保育士さんは道を示すのではなく自分たちで考えてどうすべきなのかを考えるように促している場面を何度も見かけました。一人一人こんな大人になってほしいという思いを持って社会の一員として接することができているのが本当にすごいと思いました。
政府によってこどもに対する保育士の最低人数が決められているけど、その保育士の人数はこどもの安全を担保して活動させるには足りないということを身をもって感じた。
保育園の実習のあとは、再びフローレンスのオフィスに集まっていただき、「インクルーシブ保育を広めるための政策提言を考える」をテーマにワークショップを実施。
この2日間の講義や現場での体験でインプットしたことを元に、「なぜインクルーシブ保育が必要なのか」「どんな政策提言をしたらインクルーシブ保育が広まるのか」をグループで考えていきました。
提言を考えるにあたっては、フローレンスが実際に政策提言を考えるときに使用しているフレームワークを利用して議論を深めました。議論に行き詰まったときは、フローレンススタッフが議論のサポートを行います。また、各グループごとに積極的に国の制度や自治体での現状を調べながら議論を進めていたことも印象的でした。
議論のあとはグループごとに発表を行いました。こちらも、フローレンスが実際に政策提言で使用している要望書のフォーマットを使用します。
発表していただいた政策提言の一部をご紹介します。
2日間の経験を通して、医療的ケア児に関する社会課題の解像度をしっかりと高め、グループで熱い議論を交わすことで素晴らしい提言内容を作っていただきました。
▼参加学生の声
医療的ケア児については色々な問題が絡み合っていて、何が主なボトルネックとなっているのか、どの問題を解決すれば目指す未来に繋がるのかを考えるのがとても難しかったです。始める前は政策提言を考えるって大変だな、ちゃんと議論できるかなと不安になっていたのですが、ヘレンへの訪問やフローレンスでの活動などの話を聞いて、課題が見え、自然と議論することができました。本当に楽しかったし、これ以上ない経験をさせてもらえたなと思いました
初めは政策提言が自分たち子供が考えられるのかと不安に思っていましたが、未熟ではあるものの政策提言をグループで決めることができたし、話し合うときに皆んなが熱くなってしまうくらい問題に対して真剣に取り組めたのはとても良い経験になりましたし、年齢に関係なく社会を良くするための活動に貢献できるのではと思えました。
インターンの前後で起こった変化
「自分も社会を変えることができる」と感じてほしい!という思いで企画したこのインターン。インターンの前後で、参加学生にアンケートを行い、このインターンを経てどのような意識の変化があったのかを確認しました。
まず、「あなたは『自分は社会(学校や地域など身近な社会を含む)を変えることができる』とどの程度思いますか?」という質問について、インターンの前後で+2.2ポイントの変化がありました。
事前アンケート平均:5.8
事後アンケート平均:8.0
また、「あなたはこれから社会(学校や地域など身近な社会を含む)を変えるために行動したいと思いますか?」という質問には、参加人数の半数以上の5名が「とてもそう思う」と回答。事前アンケートの「今までに社会を変えるために行動したことがありますか?」との質問と比較し、3.9ポイントも増加しました。
このような結果から、インターンを通して「自分は社会を変えられる」「社会を変えるために行動したい」と参加学生の皆さんに感じていただけたことがわかります。

また、インターン全体を通しての満足度を尋ねる質問では、全員が満点となる10と回答。好評をいただくことができました。
引率の教員の方からのコメント
引率の教員の方からも嬉しいコメントをいただきました。
初日午前の障害児保育園ヘレン、午後の全体ガイダンスからのインタビュー、2日目の午前を挟んでワークショップにいたるまでの、全体的な流れがとても良かったと思います。
机上での議論は学校でも可能であるが、実際に現地に赴いて現場の空気を感じることは、学生のインターンならではの企画だと思います。
フローレンスの各現場に行って話を聞くと、園長先生のような立場の方だけでなく、保育士さんの方々も皆さん思いをもって働かれている方が本当に多いように感じます。そういったところがフローレンスの強みなのかなと毎回感じます。
この経験で終わりにせず、参加者の今後の進路選択や他の活動につながるようにサポートしたいと思います。
児童福祉の現場を実際に見たり、フローレンスが「政策提言」によって社会課題の解決に挑戦していることを知ることによって、生徒の皆さんの将来の職業選択や進路選択の幅が広がることも期待できます。
「自分も社会を変えられる」をあたりまえに
「社会を変える」というと、とても大きなことに思えるかもしれませんが、大小さまざまな「社会課題」は実は身近にたくさん存在していて、それを変えられるのは小さなわたしたち一人一人の力だと信じています。
社会をつくることを決して人ごとにせず、アクションしていく人を増やしていくために、フローレンスの事業やノウハウを活かした学生向けのプログラムを、引き続き実施してまいります。
今回の記事で紹介したような2日間のインターンプログラムの他、2~3時間のワークショップでルールメイキング体験を行うプログラムも実施しています。詳細は下記の記事をご覧ください。

お問い合わせ先
◆学生向けインターンを希望する学校関係者の方へ
インターンを希望する方は、下記メールアドレスまでお問い合わせ下さい。
認定NPO法人フローレンス 代表室
rr@florence.or.jp
※「学生向けインターンの問い合わせ」であることを明記の上ご連絡ください。




