認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区、代表理事:赤坂緑)は、「医療的ケア児等の育ちの支援事業」を品川区より受託しました。令和7年度より東京都の予算に含まれた事業を品川区が都内自治体で初めて導入したものとなります。2026年8月より、品川区内での事業を開始します。
本事業は、医療的ケア等により集団保育の利用が難しい未就学児に対し、保護者の就労の有無など「保育の必要性認定」にかかわらず居宅でご家族と一緒に保育する共同保育を提供することで、こどもの成長を図るとともに、家庭の孤立を防ぐものです。まさに「こども誰でも通園制度」と目的を同じくしています。これまで制度の狭間で光が当たってこなかった家庭に保育を届ける、全国的にも先進的な取り組みです。
背景:医療的ケア児等家庭が直面する「制度の狭間」と、保育への切実な願い
人工呼吸器や胃ろうなどのケアを日常的に必要とする「医療的ケア児」は全国に約2万人存在し、この10年で倍増しています。2021年9月には「医療的ケア児支援法」が施行され、さらに2026年度からは「こども誰でも通園制度」が本格実施となりましたが、医療的ケア児や障害児のいる非就労家庭は制度の狭間で取り残されている現状があります。
医療的ケア児等を育てる保護者の状況
- 医療的ケア児の母親は43%が非就労というデータがあります※1。こどもの体調が不安定であったり日常的にケアが必要であったりすることから、就労が困難になりがちです。
- フローレンスが全国の障害児・医療的ケア児の家族を対象に実施したアンケート※2でも、下記のような声があがっています。
乳児期から医療的ケアがあることで、早々に職場復帰を諦め、退職してしまう親も多いと思います。私の場合は復帰を目指しましたが、週5日の預かり先がなく退職しました。
(身体障害/知的障害/医療的ケアのある子の母)
※1)全国医療的ケア児者支援協議会実施アンケート(2020年)
※2)認定NPO法人フローレンス「全国の障害児・医療的ケア児の家族を対象としたこども誰でも通園制度(仮称)に関するアンケート調査」(2023年)
「こども誰でも通園制度」における医療的ケア児等の状況
- 「こども誰でも通園制度」は、非就労家庭など保育の必要性認定にかかわらず誰もが保育を受けられる制度ですが、現状では集団保育が前提とされています※3。地域の保育園に医療的ケア児等の受け入れ体制がなく通えない場合や、体調悪化・感染リスクの懸念があり集団保育が難しいお子さんは、事実上対象から除外されてしまっています。
- フローレンスが実施した前述のアンケート※4では、多くの家庭が就労の有無を問わない保育の利用希望を持っていることが分かっています。

- また、保育を通してこどもの成長を期待するコメントもありました。
医療的ケアがあると感染リスク高く重症化につながりやすく、通常の感染対策意識に不安があるため通園したくても不安で通園できなかった。(中略)親以外の人と過ごす時間がこどもらしい成長の時間になると思う。
(身体障害/医療的ケアのある子の母)
※3)令和6年10月30日の第3回こども誰でも通園制度に関する検討会において、「『居宅訪問型保育事業』は引き続き『こども誰でも通園制度』の対象外であるが、運用上、『こども誰でも通園制度』の対象となる園から、居宅への保育従事者の派遣を認める」という方向性は示されています。しかし、実際に利用者のニーズに合った制度として運用していけるのか、制度の先行きに注目が必要です。
※4)認定NPO法人フローレンス「全国の障害児・医療的ケア児の家族を対象としたこども誰でも通園制度(仮称)に関するアンケート調査」(2023年)
東京都が創設した、保護者の就労などの有無にかかわらず、居宅などで保育をし、こどもの健やかな成長を図る「医療的ケア児等の育ちの支援事業」はまさにこのような現状に対応するものです。品川区はこの事業をいち早く取り入れ、この度、フローレンスが事業者として受託する運びとなりました。
「品川区医療的ケア児等の育ちの支援事業」の概要
| 対象 | 品川区在住の、医療的ケア等により集団保育が難しい0歳6か月以降の未就学児 |
|---|---|
| 内容 | 居宅訪問型保育専門研修を修了したスタッフが家庭を訪問し、ご家族と一緒に保育する共同保育を提供 |
| 実施頻度 | 週2回程度、1回3時間程度 |
| 利用者負担 | 無し |
| 利用方法 | 品川区に申請し利用認定を受けた後、直接事業者と利用調整を行う |
フローレンスは、障害や医療的ケアの有無にかかわらず、こどもが社会の中で育ち、家族が希望を持って歩める「新しいあたりまえ」を、これからもさまざまな関係者とともに創造してまいります。




