社会課題をさまざまなレンズ(視点や解像度)で深く見つめ、理解を深めていく音声コンテンツ「フローレンズラジオ」。
シーズン3、第3回のテーマは――
大人の不在が引き起こした
こどもの「体験の外部委託」
これまでのエピソードでは、フランスの社会学者ピエール・ブルデューの理論を手がかりに、「体験格差」が世代を超えて再生産される構造について見てきました。
では、なぜ今、令和の時代に「体験格差」がここまで深刻化しているのでしょうか。
今回のエピソードでは、その背景にある“社会構造の変化”に目を向けていきます。
3世代同居の減少、共働き世帯の増加、地域コミュニティの衰退――。
かつて、地域の中に自然に存在していた「こどもを見守る大人たち」の姿は、急速に失われつつあります。
その結果、こどもの放課後は「学童」「塾」「習い事」へと外部化され、体験そのものが“お金を払って得るもの”へと変化していきました。
さらに、公園でのボール遊び禁止や遊具撤去など、こどもたちが自由に遊べる空間も減少。
「外で遊ぶ」というかつての日本ではあたりまえだった体験ですら、今では特別な環境や支援がなければ難しくなりつつあります。
こうした変化の中で、家庭の経済状況や保護者の時間的余裕によって、「どんな体験にアクセスできるか」が大きく左右されるようになっています。
一方で、それは単純に「昔の方が良かった」という話ではありません。
女性の社会進出や多様な働き方の広がりなど、社会が前進した側面も確かにあるからです。
だからこそ必要なのは、失われた地域コミュニティを懐かしむことではなく、今の時代に合った新しいつながりや支え合いを、どう作り直していくか。
「体験格差」の背景にある、社会構造と人間関係の変化を紐解きながら、これからのコミュニティのあり方を考えていきます。


