社会課題をさまざまなレンズ(視点や解像度)で深く見つめ、理解を深めていく音声コンテンツ「フローレンズラジオ」。
シーズン4「医療的ケア児編」第12話公開!
今回のテーマは――
ヘレンをつくったことは「分離」なのか
「場をつくると固定化するという、終わらない葛藤」
前回は、「排除」「分離」「統合」「包摂(インクルージョン)」という4つの言葉を手がかりに、インクルーシブの考え方を整理しました。今回は、その考え方がどこから生まれ、どう世界に広がっていったのか、歴史をたどりながら考えていきます。
始まりはデンマークの官僚バンク・ミケルセン。
第二次世界大戦中にナチスへのレジスタンス活動で捕らえられ、強制収容所を経験した人でした。戦後、知的障害のある方の入所施設を視察したとき「ここは自分がいた収容所と同じじゃないか」と感じた――その違和感から「ノーマライゼーション」という言葉が生まれます。
スウェーデンのベンクト・ニィリエがその理念を整理し、世界へ発信しました。1日・1週間・1年のリズムをもちながら生活できること、本人の意思と希望が尊重されること……読むとごくあたりまえのことばかりですが、提唱されたのは50年ほど前のことです。
そこから当事者自身が声をあげ、「障害は個人ではなく社会の側にある」という障害の社会モデルへとつながっていきます。車椅子で行きたい場所に行けないのは、足が動かないからではなく階段しかないから――という考え方の転換です。1994年のサラマンカ声明、障害者権利条約第24条、そして2022年に日本が国連から受けた分離教育への勧告まで、この考え方は少しずつ世界に広がってきました。
そして最後は、自分たちの実践にも目を向けます。
障害児保育園ヘレンを開園した際「障害児だけを集めた保育園のあり方は分離ではないか」と指摘されたこともあったそうです。場をつくることは、時にその場を固定化させてしまう。単純に一緒がいいとも、分けるのがいいとも言い切れない中で、その葛藤とどう向き合っていくかを、今もわたしたちは考え続けています。
問いが生まれ続けるテーマを、ぜひ本編でも聞いてみてください。


