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アクション最前線

2020/03/13

トレンドの発信源ロンハーマンが提案する幸せは、消費のその先へ 【根岸由香里×駒崎弘樹対談】

  


よく晴れた冬のある日、千駄ヶ谷の閑静な街並みの一角に一人の男がやって来ました。

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ここはアメリカ西海岸発のライフスタイルを提案するファッションブランド「ロンハーマン」のストア前。若干場違いな気もしないでもありませんが、今回こちらに弊会代表・駒崎がおじゃましました。

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実はこのたび、ロンハーマンさんが初のチャリティを開催。その寄付先として我々フローレンスが選ばれたのです

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「ファンデーション1976」と銘打たれたこのプロジェクトは、創業者のロン・ハーマンが提唱し続けてきた「Happiness is the Goal(すべてはハピネスのために)」という言葉を具現化したもの。
プロジェクト始動の第一弾となる今回の「White Shirt」では、ヴィンテージの白いシャツを18人のデザイナーが思い思いにリメイク。全23のピースをオークション形式で販売し、その売上を全額寄付とするもの。

このところのSDGsの流れから、ファッション業界でも「サステナビリティ」「エシカル」といったことが重要視されています。

今回は駒崎がロンハーマンのカリスマディレクターである根岸由香里さんにお話を伺いました。縁遠いようで実は近かった、ファッションとチャリティについてお届けします。

根岸由香里:1977年栃木県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業。某セレクトショップで販売、企画、バイイングなどを担当。2008年、ロンハーマン立ち上げ時にサザビーリーグへ。バイヤーを経て、2016年にリトルリーグカンパニー執行役員兼ロンハーマン事業部事業部長兼ウィメンズディレクターに就任。

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駒崎:このたびは寄付先に選定いただきありがとうございます。
ファッション業界ではフードロスならぬ”クローズロス”問題児童労働の問題など、グローバルな業界だからこそ課題やイシューから逃れられない側面がありますよね。そこにいち早くご自身でできることに取り組まれ、素晴らしいことだと思います。

根岸:ありがとうございます。今回、「ファンデーション1976」という形で活動のベースを作りました。それを通して社会貢献していくだけでなく、自分たちも勉強していく場だと考えています。

駒崎:既製品を売って寄付いただくのではなく、このためのオリジナル作品を作られましたよね。

根岸:新しくものを作るのではなくて、今あるものに対して新しいクリエイションを加えて価値を見出していくことをやりたかったんです。それはリサイクルという点でもそうかもしれませんが、ものを一から生み出すばかりではなく、他にもできることはあるという問いかけでもあります。

駒崎:オークション形式にされたのはなぜですか?

根岸:多くの人に実際ピースを見ていただき、参加いただきたかったからです。キャラバン(国内6店舗にオークション対象のシャツを巡回展示する)を見てなにかを感じていただきたいですね。

駒崎:日本ではオークションって一般的に馴染みが薄いかもしれませんが。

根岸:18人のデザイナーのうち、お一人がもともとチャリティに積極的な方でした。その方が「オークションは人の心意気だから」と仰っていて。海外だとチャリティオークションはものに対して値段をつけることにプラスして、自身の気持ちも価格に乗せるという文化があるそうです。

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駒崎:昨年、気候変動サミットで小泉進次郎環境相が「気候変動への取り組みはセクシーであるべき」と発言し批判されましたね。一方で四角四面に環境問題を訴え出ても人の心には届かない。今回のオークションも、アトラクト(人の心を惹き付ける)な仕立てで、魅力を持たせるあたりはさすがだなと思いました。

根岸:難しく訴えても人の心には届かないですよね。そうでなく、「何だろう素敵!」と思って知ってもらいたいと考えたんです。ファッションはそういうことができる業界だし、私達だったらできることだと。

駒崎:お客様が、「あのデザイナーさんがこのピースを作ったんだ」と展示を見にこられると聞いて衝撃でした。僕が服を買うときに、「誰が作ったか」とはあまり考えたことがなくて…。服ってアートに近い文化だなと思いました。

根岸:そこは「もっとファッションにできることはないか」を考えていた中で大事にした点です。
例えばこの1枚のニットが、どういう人がどういう思いで作ったかがお客様に伝わると、より思い入れが生まれる。はい着た・はいポイと消費するのではなく大事に着てほしい。

駒崎:今のお話を聞いて農業みたいだなと思いました。普段口にするものって実は生産者がいて。例えばオクラを40年作り続けている生産者から話を聞くと違った価値観を持てて、オクラって素晴らしいと思える。
ファストフード・ファストファッションの社会では、私たちはだたの消費者ですが、その構造から一歩踏み出して、人と人がつながるということにとても希望を感じます。

根岸:農業でもファッションでも、畑は違えど、温度というか、どうやってここにたどり着いたかを大事にして行きたいと思っています。

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駒崎:障害のある子どもを支援することに決められたのはなぜですか?

根岸:最初は地球環境に対するチャリティにしようとしていたんです。今回シャツをご用意して下さった「Witty Vintage」さんとお話をした時に、障害を持つ子どもたちに何らかの支援をしたいが、どこにどうやって寄付すればよいかわからないと聞いて。今回はその支援をしようと決めました。

駒崎:寄付先にフローレンスを選んでいただいた経緯を教えて下さい。

根岸:私自身がネットであれこれ探して、その中で駒崎さんのインタビューなどを読みました。どこよりも早く行動されるパイオニアで、実績もあり安心できるなと。

駒崎:ありがとうございます。Witty Vintageさんの思いが乗った作品の寄付先が、障害のある子どもたちというテーマにつながっているところに温度を感じます。とても嬉しいです。

根岸:どこに寄付をするのかも私たちの責任ですから。透明性が高く、目に見えていい形で使っていただくことが大事でした。

駒崎:「ファンデーション1976」は今回のオークションを皮切りに、今後いろいろな活動を展開されるでしょうし、様々な団体と組んでいかれるでしょう。

根岸:プロジェクトがいくつか同時進行することもあるでしょうし、寄付にこだわらずともワークショップを開催したり、色々な形でご一緒できればと思います。

駒崎:企業とNPOが一方的にではなくお互いに学び合いながら価値をともに作り出していけるのはすごく嬉しいことです。

根岸:企業自体もそうですし、お客様をとおしてチャリティー活動することで、お客様にも良い影響を及ぼせると思っています。

駒崎:ロンハーマンさんだからこそできることがありますよね。

根岸:ファッションの良いところは、ワクワクする気持ちや楽しむこと。その気持をとおして自然と社会貢献できるような流れが少しでも多くできていくことを望んでいます。

駒崎:ファッション業界ならではのパワーがあると思います。

根岸:わたしたち(地球、日本…)は本当に頭を抱えたくなるような問題を多く抱えています。ですが、真面目に考えすぎてしまうとファッション業界をやめなくてはならなくなる。
だからといってみんなが毎日同じものをずっと着る世の中には戻らないと思うんですよね。だったらこの業界の中で、自分達ができることをとにかくやってみることだと思っています。

駒崎:たくさんの人を巻き込むには、楽しさとか嬉しさとか幸せな気持ちが必要です。何気なく着たものがオーガニックで環境に良いものだった、など敷居の低さを作れますよね。

根岸:前向きでポジティブなエネルギーを持っていればなおさら良いですよね。真面目なだけでは何も生まれない。

駒崎:NPOは企業に対して警鐘を鳴らす役割があると同時に、サステナブルなシステムを作っていくパートナーにもなり得る。共に頑張りましょう。

根岸:頑張りましょう。

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オークション対象となる作品はこのような形で店舗に展示されています。
壁面には「ファンデーション1976」の成り立ちと、参加した18人のデザイナーからのコメントがびっしり。みなさんの熱い思いを感じます。

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千駄ヶ谷店のスタッフ、村山さんと林さんにお話を伺いました。

「それぞれのデザイナーのファンの人が、足を運んで実物を見に来ているようです。ファッション業界ではサステナビリティが大事なキーワードになってきています。今回、ディレクターからこの取組みの話を聞いたとき、時代の流れにとても合っているな、と思いました。」(林さん)

「どのシャツにもデザイナーの愛を感じますね。
このプロジェクトに限らず、もの(服)を通してお客様に幸せを届けることを意識しています。その中でも今回は、参加する全ての人に意味があるイベントだと思っています。」(村山さん)

左から林さん・村山さん

左から林さん・村山さん

チャリティ活動だからと言って肩肘を張る必要はなく、楽しかったり面白かったりといったハッピーな思いと共に社会に貢献できればこんなポジティブなことはない、という考え方には我々も大きく頷きました。

キャラバンは3月7日から15日までロンハーマン二子玉川店、18日から22日まで辻堂店と続きます。ぜひ足を運んで素敵と言うほかないシャツの数々を見てみて下さい。
オークションは特設サイト(https://wittyvintage-foundation1976.com/)で同じく22日まで開催されます。

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