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障害児を生んだら親は仕事を諦めざるを得ない?大人たちの宿題・障害児保育問題とは【シリーズ #令和の子育て 】

障害児を生んだら親は仕事を諦めざるを得ない?大人たちの宿題・障害児保育問題とは【シリーズ #令和の子育て 】

#障害児・医療的ケア児家庭支援 #ソーシャルアクション

待機児童問題の裏側で、待機児童にもなれない子どもたちがいることをご存知ですか。

それが重症心身障害児や医療的ケアのある子どもたちです。

新たな時代・令和では、障害の有無にかかわらず、すべての子どもに保育の光を届け、親御さんが子育てと仕事を楽しめる社会を作っていきたいと、フローレンスは考えています。

障害児保育のこれまでと、フローレンスが描く障害児保育の未来をお伝えします。

障害児を預ける場所がない!その原因と解決方法

「私の子どもは医療的ケア児です。育休から復帰したいのですが、保育園で預かってもらえません。一緒に探していただけませんか?」
代表・駒崎の元に届いた1通のメッセージから、障害児保育事業は立ち上がりました。


当時、「保護者の就労を支える」ことを目的とした預かり先は日本ではゼロに近い状況でした。
image1なぜならば、
・保育園では医療が提供できない
・病院では保育が提供できない
・そもそも役所に仕組みがない
という3つの要素があったからです。


そこでフローレンスでは、障害者総合支援法に規定される「児童発達支援事業」と、子ども子育て支援法の「居宅訪問型保育」を組み合わせることで、障害児保育を提供することとしました。

 


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そうして2014年、杉並区で日本初の医療的ケアの必要な子や重症心身障害児の長時間保育を実施する「障害児保育園ヘレン」を開園

 


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8:00~18:30までという長時間の保育を実現し、親御さんの仕事との両立を支えています。

ヘレンや訪問型病児保育での経験を元に、2015年には利用者のご自宅でマンツーマン保育を行う「障害児訪問保育アニー」を開始しました。
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アニーの大きな特徴として下記の3つが挙げられます。

1.居宅訪問型保育に訪問看護を組み合わせたこと。
2.訪問型の保育(ベビーシッター等)では利用料が高額になりがちなところを、子ども・子育て支援制度に基づくため、認可保育園と同じ保育料で保育を利用できること。
3.たんの吸引や胃ろうの管理などの医療的ケアの研修を受けた保育スタッフが担当していること。

こうして「異なる法律の異なる仕組みを併用をする」という方法でフローレンスは障害児への保育を提供を行っています。

2019年現在では障害児保育園ヘレンを都内に6園を展開(杉並・巣鴨・経堂・初台・東雲・中村橋)、障害児訪問保育アニーは16区で展開し、就業を希望する親御さんを支え続けています。

 

子どもは子どもの中で育つ



2016年7月には、小規模保育園のおうち保育園と障害児保育園ヘレンが同じ建物内に同居するという、初めての事例が誕生しました。
2つの園は同じ建物の同じフロアにあり、おうち保育園すがもが4月に開園後、7月に障害児保育園ヘレンすがもが開園しました。

玄関はひとつで、廊下を隔てて左右に保育室が分かれているのみ。ヘレンのお部屋にいても、おうち保育園の園児達の足音がドタドタ、泣き声も笑い声も聞こえる環境です。

こうした環境を活かし、すがも園では随時交流保育を実施しています。

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おもちゃをたくさん貸してくれたり、水遊びのときには手に水をかけてあげたり、絵本を開いて持ってきてくれたり、と、一緒に遊んだり、散歩に行くことがおうち保育園の園児にとってもあたりまえのことになっています。

たくさんの子ども達同士の関わり合いを通して、医療的ケアのある子どもたちも、入園前より感情表現が豊かになったり、自分でやってみようと意思を持って手足を動かすなどの変化も見られました。

ヘレン・アニーを卒園した後の子どもたちの「教育」はどうなる?

 

一方で、障害のある子どもたちが社会で暮らしていくにはまだまだたくさんの壁が存在します。

例えば、特別支援学校への通学
学齢期を迎えた障害児は、特別支援学校へ入学する子が多いのですが、医療的ケアが必要な子どもたちはスクールバスに乗せてもらえない、という状況があります。
「送迎中に必要な医療的ケアをするための看護師が不足しており、同乗できない」といった理由から、親御さんが車で送迎するといった対応に迫られています。

また、日中の学校生活でも、看護師の不足などを理由に、親御さんが別室待機をし、医療的ケアの対応を依頼している事例が多く見られます。

こうした状況の改善を求めて、医療的ケア児家庭や小児科医、事業者で構成される『全国医療的ケア児者支援協議会』が要望を上げ、平成30年度の東京都予算では、医療的ケア児専用の看護師等が常駐したスクールバスの運行予算が確保される、といった改善も見られました。

 


しかし、医療的ケア児の中には、知的な遅れがない子どもたちもいます。

こうした子どもたちは通常の学校に通う事ができればよいのですが、医療的ケアを理由に地域の学校での受け入れがされず、家庭での訪問教育を受けたり、特別支援学校に通ったりしています。

こうした子どもたちへ、どうやって学習機会を提供していくのか。
私たち大人への宿題は今もなお、提示されて続けています。

 

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