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女性に抱っこされている笑顔の女の子

#虐待の世代間連鎖 をゼロに―調査で見えてきた、被虐待経験のある親が直面する「孤立」と「言葉にできない苦しさ」

「こどもへの虐待」と聞いたとき、わたしたちはつい「親の努力不足」や「個人の資質の問題」として片付けてしまってはいないでしょうか。しかし最新の研究(※1)では、虐待された経験のある親は、人に頼ることができず「孤立した育児」に陥りやすいことがわかってきました。

わたしたちは、こうした孤立が「虐待の世代間連鎖」を引き起こす一因になると考えています。個人の責任に帰結させるのではなく、懸命に育児に向き合おうとする親たちの孤立を防ぎ、誰もが周囲に頼りながら安心して子育てができる社会を目指して、「虐待の世代間連鎖ゼロ」プロジェクトを推進しています。

なぜ人に頼れず、孤立してしまうのか。どんな支援があればよいのか。フローレンスはその答えを探すため、1,400名以上へのアンケート調査を行いました。現在はさらに当事者へのヒアリングや、詳細な分析も進めています。本記事では、詳細レポートの発表に先駆け、まずは調査内容の速報をお伝えします。

※1 大阪大学准教授 三谷はるよ著『ACEサバイバー ――子ども期の逆境に苦しむ人々(ちくま新書1728)』(2023年、筑摩書房)

調査概要

今回の調査は、以下の内容で実施いたしました。

調査方法:インターネット上での回答
調査期間:2026年4月8日(水)~4月11日(土)
調査対象:20~49歳の子育て経験のある男女調査対象者数:1,452件
主な設問:18歳までの逆境的体験(ACE)、育児困難感、支援接続状況、支援未接続理由など

調査結果:虐待経験のある子育て中の親の「孤立」と相談を阻む壁

調査の結果、被虐待経験(※2)のある親の孤立に関して、深刻な実態が明らかになりました。

※2 今回の調査では、20~49歳の子育て経験のある男女で、18歳になるまでに「身近な大人が、あなたを叩いたり殴ったりした」「身近な大人が、あなたを罵倒したり侮辱したりした」「5歳以上年上の人や大人が、あなたに性的に触れたり、性行為を強いたりした」「あなたに十分な食事や衣服を与えたり、医者に連れて行ったりしてくれる大人がいなかった」「身近な大人が、叩いたり殴ったり、殴り合ったりしていた」のうち、1つ以上で当てはまるものがある場合に「被虐待経験あり」と判定しました。

孤立感「よくある」と回答した深刻な層は2.1倍

被虐待経験のある親が「誰にも頼れず一人でがんばり過ぎている」と感じることが「よくある」と回答した割合は27.7%に達し、被虐待経験のない親(12.9%)の2倍以上となりました。

虐待された経験がある場合、孤立感が「よくある」と回答した割合は2.1倍高い

3人に1人が「つらくても、どこにも相談していない」

育児に困難を抱えながらも、被虐待経験のある親の34%(約3人に1人)が「誰にも、どこにも相談したことがない」と回答しており、必要な支援の手が届いていません。

幼少期に虐待を受けた経験ありの人は、約3人に1人が「つらさはあったが、相談したことはない」と回答

相談を阻むのは「説明できない苦しさ」という心理的障壁

相談しなかった理由として「どこに相談すればよいか分からない(45.1%)」という情報不足に加え、当時の気持ちとして「苦しさをどう説明してよいかわからない(36.9%)」が最多となりました。

これは単に窓口を知らないという物理的な壁だけでなく、自身の辛さを言語化することそのものへの高いハードルが、支援を遠ざけていることを示唆しています。

相談しなかった理由として、約半数が「どこに相談すれば良いのかわからなかった」と回答
相談しなかった当時の気持ちとして、「苦しさをどう説明してよいのかわからない」が最多

フローレンスでは以前、虐待を受けてきたことなどの「逆境的小児期体験(ACE)」に関する記事を公開しましたが、非常に多くの反響が寄せられました。

「自分のあまりの不幸の原因について分かった気がする」

「ACEスコア5項目当てはまりました」

「大人になったACE被害者もなんとかしてほしい」

といった切実な声が届きました。

大人になって初めて「自分は傷ついていたのだ」と認め、その「生きづらさには理由があった」と気づく――。そんな当事者たちの声は、この問題が個人の資質ではなく、過去の経験に深く根ざしていることを物語っています。

わたしたちの決意:新たな社会課題を、皆さんとともに

わたしたちは、この「被虐待経験のある親の孤立」を、個人の悩みではなく、解決すべき「新たな社会課題」として訴えていきます。今回の調査で見えてきたものは、まだ氷山の一れている悲鳴が、この社会にはまだたくさんあるはずです。だからこそ、わたしたちは「この角に過ぎないのかもしれません。まだ見えていない問題や、誰にも気づかれずに飲み込ま現状をなんとかしたい」という思いで、これからも探究と活動を続けていきます。

「仕組み」で連鎖を止める

心理的・経済的な障壁を可視化し、過去の経験に縛られず、誰もが安心して子育てができ、必要な支援に適切につながることができる社会の「仕組み」を構築します。

さらなる分析と提言

寄せられた「生の声」をより深く分析し、虐待の連鎖を止めるための具体的な提言をまとめた詳細レポートを発表予定です。

生きづらさを感じている人が、少しでも生きやすくなる社会にしていくために。それはフローレンス一人の力では成し遂げられません。みんなでこの問題解決に取り組んでいけるよう、わたしたちはこれからも活動を加速させていきます。

【アンケート実施中】あなたの声を届けてください

フローレンスでは、現在「虐待の世代間連鎖」をなくすための活動に対するご意見や体験談を募集しています。ぜひ皆さんのお声をお寄せください。


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