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アクション最前線

2023/04/25

デジタル×対面で深まるつながり 神戸「おやこよりそいチャット」利用者154世帯が服の無料配布イベントに参加

   


デジタルソーシャルワーク」という支援は、なぜ必要なのでしょうか?

 

突然ですが、少しだけ想像してみてください。

・子どもにお腹いっぱい食べさせてあげることができない
・新しい学用品を買ってあげられない
・長時間の仕事とワンオペ育児で時間に追われ、子どもに関われない
・体調が悪くて仕事ができず、経済状況がひっ迫している

もしあなたがそんな状況に置かれていたとしたら、まずどんなことを考えますか?親や友人に相談しようかな、行政に支援を求めようかな……もちろんそれで一時的に助けられる人もたくさんいます。しかし困りごとが長期化している、周囲に頼る人もいない、困っていることを知られたくない、DVから逃げていて居場所を知られたくない……。

そんなさまざまな事情から、困りごとを発信できず、その家庭の中だけで問題を抱え込まざるを得ないケースが多く存在します。

フローレンスでは、その困りごとを少しでも家庭の外に発信できるよう、支援を求める声を「待つ」のではなく、こちらから「見つけにいく」ことを目的としたデジタルソーシャルワークに積極的に取り組んできました。

フローレンスには有資格の相談員である「デジタルソーシャルワーカー」が複数在籍しています。デジタルソーシャルワーカーがLINEでつながった子育て世帯に、オンラインで継続的に声をかけ、ゆるやかに相談を受ける中で、必要な情報提供・支援へつなげるのが「おやこよりそいチャット」の取り組みです。

「おやこよりそいチャット」は、フローレンスが2021年8月より神戸市とBE KOBE ミライPROJECTの協力を得て、神戸市で開始しました。2023年2月時点で約4,600名がLINE公式アカウントに友達登録しており、デジタルソーシャルワーカーが月に平均250件以上、150名以上とやり取りをしながら、必要な支援につないでいく活動を続けています。

 
 

「おやこよりそいチャット」登録者との対面イベントが実現

 

その「おやこよりそいチャット」スタートの地・神戸で、登録者対象のイベントが開かれました。ユニクロやジーユーなどのアパレルブランドを展開する株式会社 ファーストリテイリングの提供により、リユースアイテム、新品のインナーなどを織り交ぜ、お一人様計5枚までの衣料が無料配布されるイベントです。

ファーストリテイリングではこれまで、サステナビリティ・ステートメントに「服のチカラを、社会のチカラに。」を掲げ、世界各国への服の寄贈、緊急災害支援活動などの分野でインパクトの大きい支援をいくつも実現させてきました。2020年には、新型コロナウィルスの渦中にあったフローレンスに、アイソレーションガウンやマスクをご寄付いただき、保育や医療の現場を服のチカラでご支援いただいてきました。

今回の配布イベントも「おやこよりそいチャット」同様、BE KOBE ミライPROJECTとフローレンス、そこにファーストリテイリングが加わった三者協働によって実現したもの。「おやこよりそいチャット」登録者でイベントへの申し込みがあったご家庭の中から抽選で212世帯が当選、イベント当日は154世帯が会場に足を運びました。LINEで参加者募集したところ、応募者の関心が非常に高く、登録者世帯にとって、服は高いニーズがあることもうかがえました。

継続した接点を重ねていくことが、地域とのつながり構築のカギ

 

普段はLINE上でのやり取りのみなので、お互いの顔が見えるこうしたイベントは登録者との関係を深められる貴重な機会。これは誰でもそうですが、顔の知らない人や初めて会った人に自分の深刻な悩みを打ち明けられる人は少ないはずです。

困りごとを抱えたご家庭と直接のつながりを構築し、話し合える関係になること。これがデジタルソーシャルワーカーたちが最も重きを置いているポイントです。通常の対面イベントでは心理的ハードルがあり、会場で直接相談を受けるのはとても難しいことでした。しかし、このイベントでは「服のチカラ」を中心に、参加者の皆さんが安心できる空間を作ったことで、何組かの対面相談を受けることもできました。対面で会話をすることで、チャット上では気づくことができなかったことに気が付き、よりご家庭が必要とするサポートへの理解が深まり、地域の支援に繋げることができるのです。

BE KOBE ミライPROJECTはこのイベントを次のように捉えていました。

神戸こども宅食は学生ボランティアチームが中心となり食品のお届けだけでなく、地域の子どもたちや保護者の方へ手書きのメッセージや入っている食品をつかった活用レシピなど”気持ち”もいっしょにお届けすることを心がけています。今回のイベントを通じて、実際に神戸こども宅食を利用されている方と対面でお会いできたことによって、より身近に地域貢献の手ざわりを感じることができたため、非常にありがたい機会となりました。

 
 

「明日から新しい気分でがんばろう」と思わせてくれる、服のチカラ

 

今回、イベントに参加してくださった方にアンケートをお願いしました。何と回答率は100%!イベントの満足度では「大変満足」と「満足」の回答が約88%、衣類の状態や種類についても、「不満」と回答した人は0人というデータからも、参加者のニーズに寄り添ったイベントになったことがうかがえました。

こんなコメントも寄せられました。

初めて参加させていただきました。こんなにたくさん服をいただけるなんて驚きです。子どもの服ばかり買いがちで、自分のものは後回しだったので感謝しかないです。気分も落ちてましたが、来週から新しい気分で頑張れそうです。(Aさん)

現在の収入でなかなか衣料品購入までお金を回せないのでこの機会は大変ありがたかったです。本当にありがとうございました。(Bさん)

厳しい生活の中で服のことは後回しになってしまう……そんな状況の中で、新しい服を選べる喜びが心を支えてくれる。アンケートからはそんな「服のチカラ」を実感するコメントが多く寄せられました。これについてファーストリテイリングから次のような感想をいただきました。

ユニクロ・ジーユーを展開するファーストリテイリングでは、地域コミュニティとの共存・共栄をめざし、積極的に「服のチカラ」を通じた社会貢献活動を行っています。今回の神戸のイベントでは、参加者にリユース品をお買い物感覚で選んでいただくという新しい支援形式を採用しました。フローレンスが運営するおやこよりそいチャットから参加を呼びかけ、当選された154世帯・369名に約2,400着の服を提供することができました。さらに数件の個別相談に繋がるなど、服を起点に参加者と支援者が一箇所に集うことで繋がりが生まれることを実感することができました。今後もこのようなイベントを通じた支援を続け、服を受け取った方々が「服のチカラ」を感じ、長く大切に使用していただけることを願っています。

 

フローレンスではこれからも、多くの企業や団体と協働しながら、オンラインとオフラインを織り交ぜて交流を深めることで、ご家庭の困りごとに寄り添える支援を続けていきます。そのためには、「オフライン交流の要」である、地域社会、地域の支援にご家庭をつなげていく取り組みが重要であることを、今回のイベントでも再認識することになりました。

 

◆継続的なサポートのためにはみなさんからの支援が必要です

 

物価や光熱費の高騰が続くなか、生活状況が厳しい家庭は多く、特にひとり親家庭では仕事や生活、子育てなどの不安を一人で抱え込んでいることも少なくありません。フローレンスは引き続き神戸市、BE KOBE ミライPROJECTと共に、ひとり親家庭や経済的に厳しいご家庭へのサポートを続けていきます。

今後も継続的に取り組みを続けていくためには、みなさんからのご支援が必要です。

こういったフローレンスの取り組みに共感いただき、ご支援・ご寄付いただける方や、こども宅食の利用家庭に配送する日用品や食品などをご提供いただける方も募集しております。ぜひ引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。




フローレンスでは、社会問題や働き方など、これからもさまざまなコンテンツを発信していきます。
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