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アクション最前線

2017/05/31

【みんなの #保育の日 】フローレンス石川のプレゼンを書き起こし。障害児保育問題の現状と解決策とは

  


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2017年4月19日に開催された、みんなの保育の日。

イベントでは、「保育イノベーター」として、10人のプレゼンターが、さまざまな角度から見た保育について語りました。

フローレンス障害児保育事業部の石川もそのひとり。障害児保育問題とはいったい何なのか、そしてフローレンスが目指すものとは何かを、熱く語りました。

今回、そのプレゼンテーションをスライド付きで書き起こしました。

「保育を受けられないのは、待機児童だけじゃない」

そう語る、石川の熱いメッセージをぜひ感じてみてください。

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石川廉

フローレンス障害児保育事業部 サブマネージャー

新卒で障害児支援のNPOに入社後、フローレンスに転職。障害児保育園ヘレンの運営を担当。沖縄出身。EXILEのMATSUに似ている。


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はいさい〜みなさん、ちゃーびらさい〜

保育の日に、めんそーれ! みなさん、こんにちは! 認定NPO法人フローレンスの石川廉です。

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僕、ここに立っているのが奇跡なくらい、1ミリも有名じゃないんですよ。今日のプレゼンターの10名の方、すごい人ばっかりで。
僕の次にしゃべるのがてぃ先生で、Twitterで40万人のフォロワーがいるんです。

僕、さっきスマホで、自分のフォロワー数見たんですよ。46人。1万倍の差がある(笑)

そんな僕ですけれども、ずっと真面目に取り組んでいるものがあります。

僕は新卒でNPOに入って、転職してもNPOに入りました。いま、NPO法人フローレンスにいるんですけど、僕はですね、人生をかけて、障害児保育問題という社会問題に取り組んでいるんですよ。もう10年くらいずっとやっています。

だから今日は、フォロワー数46の僕ですけども、ぜひ伝えたいことがあって、ここに立っています。

障害児保育問題とは何なのか、そして私たちができることはないのか。そういうことをここで、真面目にお伝えしたいと思います。

保育を受けられないのは、待機児童だけじゃない

じゃあ皆さんにちょっと、質問させてください。

保育を受けられない子ども達を知っていますか?

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こういう質問をしたら、どういうお子さんを想像しますか?

たぶん、待機児童かな、と思うかもしれないですね。でも、そんな待機児童にすらなれないお子さんが、実はいるんです。

待機児童というのは、入園申し込みはできる。ただ、場所がないから入れない。

そうではなくて、入園の申し込みすらできない子ども達が、この世の中にいるんです。どういう子かというと、重症心身障害のある子どもです。

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こういったお子さんは、知的にも、身体にも、重度の障害がある子どもです。

そして、もうひとつ、聞きなれないかもしれないですけども、医療的ケアが必要な子ども

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こういったお子さんも実は、保育園に入園の申し込みすらできません。

この写真の子は、気管切開のあるお子さんです。右側に看護師さんがいて、医療的ケアをしています。

このお子さん、呼吸がしづらく生まれてきたんですね。で、喉に穴があって、医療機器……カニューレというんですけど、それを喉にいれることによって、呼吸がしやすくなるんです。

ただ、喉に医療機器があると、たん(痰)がたまるんですよ。なので、写真のように、看護師さんが、たんの吸引をしています。

保育園も、病院も、行政も、子どもを預かれない

障害児支援をやってるいると、いろんなお母さんの話を聞きます。

皆さんにもちょっと想像してほしいです。自分の子どもや、仲のいい友だち、あるいは親戚がこんな状況に陥った場合をちょっと想像してほしいんですけど……

たとえば、お母さんがですね、障害のある子を、そろそろ、同年代の子と遊ばせたいなとか、友だちを作ってほしいなとか。そういうといに、いろいろ、相談しに行くとするじゃないですか。保育を受けられるところを探しているんです、と。

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そうすると何を言われるか。まず、保育園に行くじゃないですか。保育園に行くととこう言われるんですよ。

「すみませんお母さん、看護師さんがいないので、私たちの園では預かることができないんです」

わかりました。じゃあ病院には病棟保育というものがあるから、病院に相談に行ってみようかと。そうすると、

「病院では、病気のお子さん、あるいは入院しているお子さんしか預かれないんです。すみませんお母さん、難しいですね」

って断られるんです。

じゃあ最後の頼みの綱として、役所に行きます。役所の人は何というか。役所の人はすごく冷たいんですけど、

障害のあるお子さんを預かる仕組みがないから無理です。以上」

みたいな、そんな対応をされるんですね。

これって、僕が作った話に聞こえるかもしれないですけど、本当にあった話です。僕らはこれを、障害児保育問題とよんでいます。

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待機児童にすらなれない。保育を受けてほしいのに、子どもは保育を受けたほうがいいのに、保育を受けられない。それが、障害児保育問題です。

今の話を整理するとですね、こんな感じですね。

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保育園は、医療がないから預かれません。病院は、保育を提供する場所じゃないので、預かれません。役所は、仕組みがないから、当然預かれません。お金も出せません。

なので、24時間365日、お母さん・お父さんは、ずっと家の中で子どもと一緒に過ごすんです。子どもも、親しか見たことがないんです。

これって、問題だと思いませんか? 僕は問題だと思ってます。強く思ってます。

保育を受けさせたいのに、保育が提供できない。その問題に僕は取り組んでいて、解決したいと強く思っています。

障害児保育園という解決策

障害児を預かれる保育園は、これまで日本にはどこにもありませんでした。

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なので、僕たちフローレンスは、ひとつの解決策として、日本で初めての、障害児保育園ヘレンを開園させました。すべての子どもに、保育を提供したいという想いからです。

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この障害児保育園ヘレンは、重心児、つまり重症心身障害のある子ども、そして医療的ケアのある子ども、どんな子でも入ることができます。

でも、さっき行ったように、病院も預かれない、保育園も預かれない、役所も預かれない。じゃあ、フローレンスはどうやって保育を提供したの?って思うじゃないですか。

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これは、実際の障害児保育園ヘレンの、保育士さんと重心児の写真です。

どうやって保育を提供したのか? 私たちの答えは、これかなと思っています。

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3つの領域のスタッフが協同して、新しい保育、新しい障害児保育を作っていく。これが僕たちの解決策です。

上から、保育、看護、そして療育ですね。看護の分野は看護師さん。やっぱり、医療的ケアがあると、医療行為なので、看護師さんしかできないこともあります。そのために、看護師さんが園に来ます。

そして療育。障害のある子たちは、身体の麻痺などもあったりするので、そういった子のために、理学療法士さん、作業療法士さんが園にきます。

そして、そのスタッフたちをまとめるのが、保育士の仕事です。保育士は遊びを通じて、看護と療育を合わせた、新しい障害児保育を作っていく。

これはもちろん、簡単ではないです。やっぱりスタッフ同士の考え方が違ったりするので、難しいんですけど、僕たちは毎日、この障害児保育園ヘレンという現場で、ひとつひとつ取り組んでいます。

もちろんスタッフ同士の衝突もあるでしょう。いろんな議論もあったりします。でも、僕たちは、これが答えだと思って、必死に、フローレンス一丸となって、この障害児保育を創っていきたいと思っています。

じゃあ、障害児保育って、実際にどんな感じなんでしょうか? たぶん、映像をみたほうがはやいと思うので、動画をご覧いただきたいなと思います。

実際にこれを見て、誰が保育士さんかな、誰が看護師さんかな、リハビリのスタッフかなって、わからないですよね。これが私たちの答えかなと思っています。

ヘレンに来たら、ちょっとびっくりするかも知れないんですけど、例えば保育士さんはエプロンを着ているかというと、着ていないんですよ。看護師さんもナース服を着ていません。リハビリのスタッフも、何か特徴的なものを着ているかといったら、着ていません。

それでいいんじゃないかなって思っているんです。なぜなら、子ども達にとってなにが必要か、それを考えながらやっているから。

この動画で一番伝えたいことは、子ども達には、障害児保育問題とか、待機児童問題とかって、知ったこっちゃないということなんです。

保育を受けて、健やかに育ち、わくわくして、「あれ楽しそうだな」とか「おいしそうだな」とか、そういう感情を持つことがずっと大事なんです。

僕たち大人は、障害児保育問題だとか、待機児童問題だとか言ってますけど、もう、はやく解決しちゃったほうがいいんです。だって、子どもは望めば保育を受けられるべきだから。そう思って僕たちは日々活動しています。

子どもは、子どもの中で育つ

僕が伝えたいことを一言でいうとこうなります。

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「子どもは子どもの中で育つ」です。

24時間365日、ずっと家で親と一緒に過ごすという選択をする人もいるかもしれないですけど、希望をすれば、保育園に入れる、仲間と遊べる、友だちを作れる、お出かけして「ああ、お花がきれいだな」とか、そういった経験って絶対、どんな子でもできるべきだと思うし、僕らはそれを提供したいと思っています。

実際に、こういった、子どもが子どもの中で育つということをやってきたら、ちょっとした変化が起きたんです。

医療的ケアのひとつに経管栄養というのがあって、胃に直接栄養剤を入れるので、水分すら口に入れない子もいるんです。

そんな経管栄養のある、あるお子さんが、ぱくぱく美味しそうに弁当を食べている隣の子を見て「なんだかおいしそうだな」とか「これ、口から食べられるんじゃないか?」みたいな、ワクワクした気持ち、子どもの自我が芽生えたのか、隣の子のお茶を、ペロッと舐めたんです。

本当にあった話なんですけど、これって、絶対に家ではしなかったことだし、障害児保育園で初めてできたことでした。

こういった子たちが、どんどんどんどん日々成長していって。それで、何人かの子たちは、医療的ケアが必要なくなったんです。そしたらどうなるか。なんと、4人、認可保育園へ転園したんです。

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これって、すごいことじゃないですか、皆さん!

(会場拍手)

僕らも想像していなかった未来でした。障害児保育園ヘレンに入ったら、小学校に入るまで、卒園はできないだろうなと思っていたんですけど、この4人は、気管切開があった子は閉じて、経管栄養の子は経管がなくなって。

そうしたら、保育園に入れますよね。保育園の園長先生も来てくれて、「この子、集団保育できるね」と。そして保育園に転園できた。これって、僕たちも想像してなかったことだし、すごいことだと思っています。

これはゴールではなくて、ひとつの道筋だと思います。認可保育園に行ったほうがいい子は、行ったほうがいいし、障害児保育園で手厚い保育を受けたほうがいい子は、そのほうがいいし、いろんな保育があっていいかなと思います。

そして、あるとき、あるお子さんのお母さんがこういうことを言ったんですね。

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これ、すごく感動しました。

「介護っぽかったのが、子育てっぽくなりました。子どももそうだけど、私自身を社会に戻してくれてありがとう」

そんなことを言ってくれたんですね。

もう号泣ですよ。フローレンス代表の駒崎とか、ディレクターの宮崎とか、ずっと号泣。こういったお母さんのコメントをいただいて、すごく嬉しかったのを今でも思い出します。

障害児保育問題の解決はまだ道半ば

ただ……僕らは、まだ道半ばだと思っています。

現在、障害児保育を提供できるのは東京のみです。圧倒的に不足しているのが現状。

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僕は沖縄出身なんですけど、沖縄では、全くできていません。この問題を解決するために、僕たちは、障害児保育園をモデルケースとして全国に広げていく、そういうことをしていきたいと思っています。

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なので、皆さんにもぜひ応援いただきたいし、この障害児保育園ヘレンというモデルを、はやくパクってもらって、色んなところに広げていってほしいなと思っています。

長くなってしまいましたが、僕のまとめはこれです。

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すべての子どもが、保育を受けられる社会を目指して

皆さんもぜひ、一緒になって……今日のプレゼンター10人もそうですし、今日会場に来た皆さんも、ニコ生で見ている方も、一緒になっていただいて、希望する子ども達が全員保育を受けられる社会を目指して行きたいなと思っています。

以上です。みなさん、どうもありがとうございました。にふぇーでーべる!(ありがとうございました)

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石川のプレゼンを動画で見たい方はこちらをどうぞ!

もっと障害児保育園ヘレンを詳しく知りたい方は、こちらのサイトもご覧ください。

日本初の障害児専門の保育園「障害児保育園ヘレン」 

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書いた人:石川 廉