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アクション最前線

2019/09/17

医療の発達によって生まれた「新しい障害児」を知ってますか? #医療的ケア児

    


フローレンスでは、『障害児保育園ヘレン』『障害児訪問保育アニー』を運営し、障害や疾患などが理由で認可保育所等での集団保育ができないお子さんを保育しています。

お預かりの対象となるのは、障害や疾患、そして医療的ケアのあるお子さん(医療的ケア児)です。

このうち、障害や疾患についてはイメージがわくけれど、「医療的ケア」という言葉は、聞いたことはあってもいまいちピンと来ないという方も、まだまだ多いのではないでしょうか。

医療的ケア児と、その家族を取り巻く社会の環境には、いまだ多くの問題がありますが、そもそも、医療的ケアというものがどういったものかよく知られていないのが現状です。

医療的ケア児って、どんな子ども?

医療的ケア児とはその名の通り、医療的ケアを必要とする子どものことです。ではその医療的ケアとはなんでしょうか。

具体的な医療的ケアの例としては、以下のようなものが挙げられます。

(1)経管栄養:食事のためのチューブを胃に通す

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嚥下(飲み込む)機能の障害などにより、口から食べ物を食べられない場合に、お腹に穴を開けたり、鼻からチューブを通すなどして、胃に直接食事(栄養剤等)を入れる処置です。

(2)気管切開:呼吸のための器具を喉に取り付ける

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疾患などが原因で口や鼻がふさがってしまう症状がある場合、喉に穴を開け、カニューレ(通気の管)を通して空気の通り道を確保する処置です。

この他にも、様々なケアの種類がありますが、共通しているのは、何らかの医療デバイスによって身体の機能を補っている状態であるということです。

元総務大臣の野田聖子議員のお子さんも同じように医療的ケア児で、かつて障害児保育園ヘレンに通っていました。

医療的ケア児が生まれる割合は年々高まっています

こういった医療的ケアを必要とする子どもは、2015年の時点で、全国で約1万7千人。
この数は増加傾向にあり、10年前と比べると約2倍になっています。

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一方で、2018年に生まれた子どもの数は約91万人と3年連続で100万人を下回り、生まれる子どもの数は減り続けています。

生まれる子どもが減っている一方で、医療的ケア児は増えている。このことは、生まれる子どもにおける医療的ケア児の割合が増えているということを意味します。

これはなぜでしょうか? その理由は、日本の新生児医療技術の向上にあります。

医療技術が向上したことで、出生時に疾患や障害があり、これまでであれば命を落としていた赤ちゃんを救うことができるようになりました。

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その医療処置の結果として、生きるために医療的デバイスを必要とする子ども、すなわち医療的ケア児が増えてきているのです。

医療的ケア児は「新しいカテゴリー」の障害児

医療技術の向上等を背景として新たに生まれるようになった医療的ケア児は、過去にはない障害のカテゴリーです。

もともと日本における障害児の分類は「大島分類」というものが使われており、身体をコントロールする力(座位がとれる、立てる等)と、知的能力(IQ)がどの程度あるかという2つの軸によって、障害レベルが判定されていました。

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大島分類の図。この図の1, 2, 3, 4に当てはまる場合、「重症心身障害児」という重い障害の分類とされる。

この分類により、子どもの障害の程度が決められ、それに応じた行政の支援を受けられる、というのが現在の障害児者支援の制度です。

しかしこの大島分類は約45年前に作られたもので、新しい存在である医療的ケア児は考慮されていません

例えば、知的な遅れがなく自分で歩くこともできるが、経管栄養のチューブがついている医療的ケア児は、この分類では「障害がない」ということになってしまいます。

このように医療的ケア児は、既存の障害児者支援の法制度の枠組みに入ることができず、国や自治体の支援を受けることができなかったのです。

保育・療育を受けられない医療的ケア児とその家族

では具体的に医療的ケア児とその家族に降りかかる問題とは何でしょうか。

多くの場合、医療的ケア児は普通の認可保育所には通えません。なぜなら、食事を胃に注入したり、呼吸器に酸素を送ったりといった医療的ケアを行う担当が保育所にいないからです。

そのため、親が仕事を辞め、24時間子どもにつきっきりにならざるを得ないというケースが非常に多くなっています。

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親が就労できないことは、経済的な困窮につながり、また身体的・精神的な負担の大きさから、両親の離婚など、家庭環境が悪化するケースも少なくありません。

また、障害のある子どもの発達を促す療育についても、医療的ケア児の場合、施設に看護師など医療従事者が必要となり、受け入れが難しくなってしまいます。

保育園にも、療育施設にも通うことが難しい。医療的ケア児は、法制度のセーフティネットからこぼれ落ちた存在だったのです。

フローレンスの障害児保育の特徴

フローレンスは「障害の有無に関わらず、すべての子どもが保育を受けられ、保護者が子育てと仕事を両立できる社会」の実現に取り組んでいます。

フローレンスの障害児保育は、日本初の障害児向け長時間保育、医療的ケアにも対応、子ども同士の交流による発達促進する環境を提供しています。

選べる2つの保育形態

「障害児訪問保育アニー」は、保育スタッフが障害のあるお子さんのお宅に伺い、マンツーマンで保育をする日本で初めてのサービスです。

日中は、お子さんの発達に合わせた活動を行います。近所へのお散歩などはもちろん、地域の保育園への交流保育を実施し、子ども同士の交流を通じて、発達を促します。

「障害児保育園ヘレン」は、障害のある子の長時間保育を実現する日本で初めての保育園です。

看護師、作業療法士、研修を受けた保育スタッフがチームを組み、子どもたちが安心して過ごせる環境を作ります。

フローレンスの障害児保育について詳しくはこちら

「どんな保育をしているの?」「利用条件は?料金は?」など、実際の保育の映像を交えながらご説明し、不安や疑問にお答えします!お子さんやきょうだい児も同伴可能です。この機会に、ふるってご参加ください!

利用希望者説明会に参加する

看護師による医療的ケア児のためのシッター

 

「医療的ケアシッター ナンシー」は、看護師が週に2回、医療的ケアのあるお子さんのお宅に伺い、医療的なケアに加えてお子さんの発達に合わせた遊びや学びの支援を行います。ナンシーの訪問中、親御さんは別室で休んだり、少し外出することも可能です。ご興味がある方は、お気軽にご相談ください。

医療的ケアシッター ナンシーについて




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