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特別養子縁組

2022/04/04

私たちの幸せがあるのは 実親さんがこの子を産んでくれたから #4月4日は養子の日

 


今日は、4月4日「養子の日」。

愛情に包まれのびのびと育つことができるあたたかい場所が、子どもの健やかな成長には必要です。日本では生みの親のもとで育つことのできない子どもが約4万人以上いて、このうち約85%が施設で暮らしています。

生みの親と共に暮すことができない子どもが家庭・家族を得られるよう、日本にはいくつかの制度があります。そのうちの一つが”特別養子縁組”です。

都内の会社に勤めるなおゆきさんと、妻のりょうこさんは、フローレンスの特別養子縁組で当時生まれたばかりの女の子、まいちゃんを迎えました。

まいちゃんの1歳の誕生日を家族3人で迎えたなおゆきさん・りょうこさんご夫妻に、これまでのストーリーを伺いました。


夫婦で徹底的に話し合い

─フローレンスの特別養子縁組を検討するまでにどのような経緯があったのですか。

なおゆきさん:4〜5年ほど不妊治療を続けていましたが、なかなか子どもを授かることができず、今後どうしようかと他の手段も視野に入れて夫婦で話し合ってました。そんなときに偶然フローレンスさんが特別養子縁組の活動をしていることを知ったんです。

りょうこさん:子どもがほしいけれど、不妊治療がうまくいかずどうしても自分では産むことができないことから、特別養子縁組を検討しました。特別養子縁組をサポートしている民間団体は数多くありますが、フローレンスさんの活動内容に共感する点が多かったことが決め手です。

なおゆきさん:そもそもフローレンスさんを知ったのは特別養子縁組がきっかけではなく、障がい児保育など他の事業活動が先でした。それらの事業に強く共感していたこともあり、そのままお願いすることにしたんです。

特別養子縁組を決めてからは、これまでの結婚生活でかつてないほど二人で腹を割って話し合いました。夫婦とはいえ、やはり他人なので気を使って生活している部分もあります。それを一度取っ払って、ひたすら話し合いました。

お互いの人生観が全て一致しているわけではないので、当然いろんな違いはあります。ケンカになることもありました。

ただ、それでも子どもを迎えるにあたっての覚悟や思いは徹底的に話し合いました。迎える子どもに影響してしまうことなので…。

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りょうこさん:そもそも本当に特別養子縁組を利用して子どもを迎えても大丈夫なのか、どんな気持ちで迎えるのか、本当に夫とはいろんな話をしました。家族はどう思うだろうかという話もしましたし、実際に家族にも「養子で子どもを迎えることをどう思うか」と聞きました。

振り返ってみれば、この時にとことん話し合っておいたことで、何か問題が起きたときは話し合いで解決できる土台が作れたと思っています。

なおゆきさん:こんな機会がなければ、ここまで話し合うことはなかったかもしれません。

りょうこさん:子どもを迎えた後も、まだまだ子どもに関するいろんな問題が出てきますし、考えなければならないこともたくさんあります。私たちは話し合える土台を作っておけたので、子どもを育てている今も、ちょっとこのことでも「話し合おうよ」としっかりコミュニケーションがとれていると感じます。

うちに来てくれる子を愛して育てようという強い思い

─迎える子どもが健康とは限りません。障害や病気の可能性もあることについては?

なおゆきさん:一般的に特別養子縁組で養子を迎えるにあたっての悩みや不安は、実子ではないのに本当に受け入れられるかどうかと、子どもへの「真実告知」だと思うんです。

突き詰めて考えると悩みの8〜9割は子育ての不安とか、子どもが生まれることに対するものであり、結局のところ、養子縁組そのものへの不安はあまりなかったような気がします。

迎えた子どもの障害や病気がのちのち判明したとして、でもそれは実の子を持つ場合も同じですよね。

りょうこさん:もちろん健康な子どもを迎えたいという気持ちは、なかったわけではありません。

でもフローレンスさんで研修を受けるうちに、自分が産んだ場合でも障害や病気を持って生まれる可能性はあることはすとんと腹落ちしました。
私たちのところにきてくれるのなら、どんな子であってもうれしいなと考えるようになりました。

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─産まれてから、その赤ちゃんを迎えるか否かを養親となるご夫婦にお伺いします。そのときに出生の背景や詳細など、わかっていることをすべてお伝えしています。まいちゃんは健康上の経過観察が必要でしたが、お二人は「迎えます」と即答されましたね。

りょうこさん:連絡を受けたときは、正直なところ何がなんだかわかりませんでした。

でも、お話しているうちに「子どもを迎えにいけるんだ!」という思いに変わっていったのを覚えています。仕事中だった夫に電話したら「もちろん迎えにいこう!会いにいこう!」と。

経過観察があることに関しては、病院の先生と話をするなどして対応しました。すんなり、といったら変かもしれませんが、「治せるなら治してあげよう。治せないんだったらいちばん良い付き合い方を考えよう、この子がつらい思いをしないようにしてあげよう」という気持ちに切り替えられました。

なおゆきさん:実の子でもありえることだし、そこまで悩むことではなかったですね。この子のためにちゃんと対応してあげられるなと思って話を聞いていました。

この子がいるのは実親さんが産んでくれたから

─まいちゃんを最初に抱っこしたとき、どんなお気持ちでしたか。

りょうこさん:小さくて本当にかわいくて……。

今になって考えると、育児のイメージもぼんやりで、覚悟も甘かったなぁと思いますが、それでも、一緒に生活していくんだ、育てていくんだという気持ちでいっぱいでした。ただただかわいくて、本当にうれしかったです。

なおゆきさん:私自身はそんなに子どもが大好きでたまらないというタイプではなくて、普通に子どもが好きというくらいでした。それでも最初に抱っこしたとき、赤ちゃんという存在の魅力に強く心を掴まれて、これは目を離せないぞと感じましたね。

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─実際に3人での生活が始まって感じたことはありますか。

りょうこさん:一緒に生活し始めてから、「私がこの子を産んであげられたらよかったのに…」って強く思ってしまう時期がありました。
かわいくて仕方がないからこそ、「この子が成長して思春期を迎えたころ、養子であることで悩んでしまうのではないか。私が産んでいたら、その苦しみはなかったのに…」と思いつめてしまって。顔を見るたびに涙が出るようになって。

そんなときに妹にその話をしたら、「お姉ちゃんは子どもが産みたかったの?それともまいちゃんを産みたかったの?」と聞かれたんです。

「私はまいちゃんを産みたかった」と答えたら、「お姉ちゃんはまいちゃんを産めないよ。まいちゃんは実親さんが産んでくれたから、今ここにいるまいちゃんなんだよ」と言われてハッとしました。

「そうか、実親さんが産んでくれなければ、このまいちゃんには出会えてないんだ」って。

それからは、”この子を迎えられて、私たちの子どもとして育てていけることが何よりの幸せなんだ“と素直に思えるようになりました。私たち夫婦の他に実親さんという存在がいるという背景もひっくるめてこの子なんだということを、きちんと受け止められるようになったんだと思います。

実親さんが産む選択をしたからこの子がここにいるということを、心の底から受け入れることがとても大事だと感じますね。

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実親さんのことは隠していません

─お二人はまだ言葉がわからない今の時期から、すでにまいちゃんに実親さんのことを繰り返し伝えているそうですね。

りょうこさん:もちろん話している言葉の意味はまだわからないと思いますが「寒いね、実親さんのところも寒いのかな」と話しかけたり、「産んでもらえてよかったね」と伝えたりしています。

毎日というわけではありませんが、ふとした時、実親さんのことが頭をよぎったら言葉に出して伝えています。

なおゆきさん:どちらかというと、私たちがこの子に出自を伝えることに慣れていくというか。実親さんについて話すことのハードルを下げている時期だなと思っています。

─お友達やご近所など、周囲の方には特別養子縁組で子どもを迎えたという話を伝えていますか。

りょうこさん:私たちはマンション住まいで、上下階と同じフロアの方には伝えました。私が妊娠した様子がなかったのに、突然赤ちゃんがやってきて夜泣きしているとみなさん不思議だろうと思って。

「特別養子縁組で子どもを迎えました。これから夜泣きなどでうるさくなるときもありますが、よろしくお願いします」と伝えています。本当に仲のよい友人たちには以前から養子を迎えるかもしれないという話を少しずつしていて、実際に子どもを迎えたときにはみんな喜んでくれました。「おめでとう!」と普通に言ってもらえて、うれしかったですね。

なおゆきさん:私も会社の同僚や上司、部下にはあらかじめ伝えていました。

ですが、子どもを迎えることが決まってから実際に迎えるまで2〜3日しか時間がなかったんです。そのため子どもを迎えたという報告は突然になりましたが、それでもみんなにあたたかく喜んでもらえました。

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なおゆきさん:生活を共にしてきた夫婦でも、子どもを持つことに対する思いは違う場合があると思うんです。

「相手はこう考えているんじゃないか」と想像しても、実はそんなふうにはまったく考えていなかったということも多いのではないでしょうか。
考えが違うことはあたりまえだと捉えて、徹底的に話し合い、伝え合い、気持ちをあわせることが大切なんだと思います。

りょうこさん:今になって考えると、養親として子どもを迎えるための準備をしていた期間は、私にとっての妊娠期間だったんじゃないかなと思います。いつかやってくる子どものこと、家族のことを考えて、夫婦で話すべきことがたくさんありましたね。

(※画像は全てイメージです)


今、お二人はまいちゃんと共に、明るくあたたかな家庭を築いています。
なおゆきさんとりょうこさんの愛情をたっぷりと受け、まいちゃんはこれからのびのびと育っていくことでしょう。

家族のかたちーーそれは血の繋がりがあってもなくても変わらないことだと、お二人とまいちゃんが教えてくれるようでした。

養子を迎え入れることは決して特別なことではありません。
子どもがほしいご夫婦、様々な事情から赤ちゃんを育てることが難しい親御さん。そして何より、赤ちゃんがあたたかい愛情に包まれて、安心して育つための制度です。

特別養子縁組を選択肢のひとつとし、赤ちゃんが笑顔にあふれた家族を持つことができるよう、私たちは活動を続けています。


フローレンスの赤ちゃん縁組、また、予期しない妊娠によりサポートが必要な妊婦さんの無料相談受付は、皆さんのあたたかいご支援により成り立っています。




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