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お知らせ

2022/06/15

「無園児家庭の孤独感と定期保育ニーズに関する全国調査」結果発表。働く親のための保育園から、全ての子どものための保育園へ!

   


コロナ禍でますます深刻化する孤独・孤立の問題。子育て環境についても例外ではありません。

普段、保育園や幼稚園に通っていない未就園児(無園児)家庭は社会的とのつながりが希薄になりやすく、特に、専業主婦家庭では、平日の子育ての分担を母親ひとりで対応している割合が高く、精神的な負担や子育てについての悩み、不安を感じる割合も高いと言われています

そこで、フローレンスは、株式会社日本総合研究所に委託し、全国の0歳以上の未就学児の保護者2,000名にアンケート調査を実施。保育園、幼稚園などを定期的に利用している家庭と、そうでない家庭(=無園児家庭)を比較し、生活実態や精神的な状態、保育所等の利用ニーズに迫りました。

あわせて、未就園児(無園児)家庭の利用希望率及び利用頻度毎に利用パターンを設定し、パターンごとに保育所等のキャパシティ及び必要財源を試算いたしました。

<保護者アンケート調査 概要>
調査方法:インターネット上での回答
調査期間:2022年3月3日(木) ~3月7日(月)
調査対象:長子が未就学児の保護者(父親又は母親)
調査対象者数:2,000件

当日の記者会見の様子

保護者アンケート調査 結果サマリ

●未就園児(無園児)家庭の方が、親が子育てで孤独を感じやすい
未就園児(無園児)家庭の方が、定期的に保育サービスを利用している家庭よりも「子育ての中で孤独を感じる」と回答した割合が10.6ポイント高く、未就園児(無園児)をもつ低年齢家庭では「子育ての中で孤独を感じる」と回答した人が5割以上を占めました。

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●子育てで孤独を感じている家庭ほど定期保育サービスの利用意向が高い
子育ての中で孤独を感じている家庭の70.6%が定期保育サービスを「利用したい」と回答。

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「子どもに手をあげてしまいそうなことがある」「子どもを怒鳴ってしまうことがある」といったリスク行動が見られる家庭の方が、そうでない家庭と比べて定期保育サービスを「利用したい」割合が高い傾向も見られます。

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●未就園児(無園児)家庭の過半数が定期保育サービスの利用を希望
未就園児(無園児)家庭の56.4%が定期保育サービスの利用を希望。利用する場合の希望頻度としては、週1~2日、1回あたり3~5時間が多く、現行制度よりも低頻度・短期間での利用ニーズが寄せられています。一方で、実際に一時預かりサービスを利用したことがある未就園児(無園児)家庭は1割強にとどまりました。

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●子どもへの愛着度と、定期保育サービスの利用意向の相関
「子どもがかわいくてたまらない」に対して「あてはまらない」と回答した方の7割以上が「定期保育サービスを利用したいと思わない」と回答しました。皮肉にも、子どもへの愛着度が低い家庭ほど定期保育サービスの利用意向が低いことが明らかになりました。

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定期保育サービスの利用が任意の場合、親が自発的に利用する必要があります。例えば、ネグレクトが疑われるような、子どもへの愛着度が低い家庭は、自発的な利用をしない可能性があり、外部から積極的に利用を促す必要性が考えられます。

未就園児(無園児)家庭の保育ニーズに関する推計(キャパシティ・財源試算)

未就園児(無園児)家庭の利用希望率及び利用頻度ごとに利用パターンを設定し、パターンごとに保育所等のキャパシティ及び必要財源を試算いたしました。

●保育所等空き定員数は今後も継続的に増加することが見込まれる
厚生労働省や総務省、文部科学省などの調査をもとに保育所等空き定員数を試算した結果、2022年時点ですでに計46万人程度の空きがあり、その後も増加傾向であることがわかりました。待機児童が多く発生していた0歳児、1・2歳児においても、今後継続してそれぞれ10万人以上の空き定員数が見込まれます。image3

また、保育所等の空き定員を利用して、未就園児を受け入れることが可能であるかどうか試算した結果、地域及び学年区分を加味しない場合、2022年度時点ですでに未就園児計145万人全員を週1回受け入れることが可能な状況であることが分かりました。

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●少子化に伴う補助額相当分の活用で、未就園児(無園児)の定期保育ニーズ*を充足できる
厚生労働省や総務省、文部科学省などの調査をもとに、未就園児受け入れに伴う財源を試算したところ、2028年には少子化に伴い減少する国の保育園等への補助額相当分で、未就園児の定期保育に必要な財源を補える見込みであることが分かりました。

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私たちの提言

まずは待機児童問題が解消している地域で、空き定員枠を活用して、希望する誰もが週1~2日からでも保育園を利用できるようにしてください

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※2022年6月15日 「無園児家庭の孤独感と定期保育ニーズに関する全国調査~働く親のための保育園から、全ての子どものためのセーフティネットへ~」記者会見を実施しました。

現在の保育制度では、親の就労などの理由により、保育の必要性や必要量を判定する「保育の必要性」が認められないと入園できません。
子育て中の家庭が孤独感に苛まれながらも、日々生活しながら保育の必要性認定を得るあまりのハードルの高さに入園を諦め、家の中で、誰にも知られることなくお子さんと親御さんが孤立を深めています。

また、保育園入園のために多大な苦労を伴って、保育の必要性認定を得るための「保活」をせざるを得ない状況があります。

未就園児(無園児)家庭は、人知れず「孤独な子育て」に陥りやすく、24時間小さな子どもと過ごすことでストレスがかかり、虐待リスクが高まることがあります。

虐待リスク行動がエスカレートしていても、家庭が地域から孤立し閉ざされていると、気づくことができず痛ましい事件が後を絶ちません。

もしも、週1日でも2日でも保育園を利用することができれば、保育士が家庭内のリスクや異変にいち早く気づくことができるなど、早期のサポートが期待できます。保育園は、保育を提供するだけでなく、子育ての「セーフティネット」としても重要な役割を担っているのです。

乳幼児期から保育園を利用することで、子どもの発達や知育など子どもに関する専門知識をもつ保育士や、地域の子育て仲間とつながることができ、「孤独な子育て」に陥りにくくなります。

これまで保育園といえば、待機児童問題がクローズアップされてきましたが、出生率が6年連続で低下し、2021年の出生数も81万人と過去最少となりました。

少子化が加速する中、待機児童対策として保育園の施設整備が進んだ結果、待機児童は減少傾向にあります。待機児童対策が急務だった保育の現場ではいま、少子化の加速で定員割れが続々と発生し、経営が成り立たず、閉鎖する園も出てきています。

2022年3月に厚生労働省が行った調査研究で、全国の保育園やこども園など(9,493施設が回答)に、子どもの減少によって施設の運営維持が難しくなるかどうかを尋ねたところ、「現在影響がある」という回答が12.2%、「今後生じる可能性がある」は55.7%にものぼりました。

待機児童が徐々に減少し、定員に空きのある保育園も増加している今こそ、保護者の就労の有無にかかわらず、すべての親子が保育というセーフティネットに守られる「みんなの保育園」(こども誰でも通園制度)が必要なのではないでしょうか。

まずは待機児童問題が解消している地域で、空き定員枠を活用して保育の必要性認定のない専業主婦家庭などでも、希望する誰もが週1~2日からでも保育園を利用できるようにしてください。

私たちは、現状の制度を見直し、希望する全ての家庭が保育園を利用できるよう、引き続き国に対して提言活動を行ってまいります。

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「保育の必要性認定」の壁に阻まれ窮地に陥った経験のある当事者より

私には5歳の長女と4歳の双子の男児がいます。

3人の保育園入園が決まったときは、子どもたちを死なせずにここまで生かすことで精一杯だった私が、「もう、誰かに頼っていいよ」と自治体から認められたような気持ちでした。

トータル2年3ヶ月の自宅保育でした。

今でも思い出すと胸がぎゅーっと締め付けられるようなあの日々は、何かのボタンが一つ掛け違っていれば、何かのタイミングが1分1秒ズレていれば、私も虐待死事件の母親となっていたかもしれません。そんな脆い危険な状態と紙一重でした。

でも、紆余曲折を経て、保育園に通うことができました。

子どもたちにとっては、安心して自分の気持ちを話せる場所として、家庭と保育園の2つがあるように思います。

家族という社会だけではなくて、保育園という家庭とは違う社会で過ごすことによって、家の他にも安心できる場所があるということを本人たちは知れたのではと思っています。

だからこそ、保育を必要なご家庭に対して開かれた保育園であってほしいと強く望みます。我が家を救ってくれたのは間違いなく保育園でした。

関西で3人の子どもを育てています。

長男は夜泣きと授乳がとにかく頻回で、日中も抱っこしていないと寝てくれない子でした。夫と、すぐ近くに住んでいる実の母はフルタイムで働いていたため日中は私1人で長男を見る日々。常にイライラかボーッとしていて、産後うつ状態だったと思います。結局夜泣きは3歳直前まで、授乳は2歳半まで続きました。さらに長男はアレルギー持ちで通院ばかり。2歳をすぎるまで発語もなくひたすら私1人で喋りたおす毎日。近所にママ友が皆無だった私は、誰でもいいから大人と話したい、この子と2人きりじゃない空間で時間を潰したいと地域の子育てセンターや親子のつどいに行くも、初対面のママたちと何を話したらいいかも分からず、長男は極度の人見知りと場所見知りで大泣き、結局2人で泣きながら帰ったことも度々でした。

働いていない母親がどこにも預けず自分だけで四六時中子供を見るというのは、いくら愛情があると言えども限界があります。私のように実母や夫の両親が近くにいたとしても、親たちが現役で働いていることは往々にしてあり、親たちにも生活があるわけで、そんな中で孫の世話や家事手伝いの協力を仰ぐにも限界があります。だからこそ、誰もが定期的に子どもを預けられる場所を作ってもらいたい。

今まさにお子さんと孤立してしまっている親御さん。社会から断絶され、先の見えない長く真っ暗なトンネルの中、今日一日をどうやり過ごそうかと毎日必死ではないでしょうか。

つらい、しんどい、消えて無くなりたい、子どもと居ても全然幸せを感じられない…そんな方が一日でも早く笑顔を取り戻せるよう、お子さんを預けられる場所、頼れる場所、サポートしてくれる存在と出会えることを願って止みません。

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「この子たちを私から離さなきゃ、いつか殺してしまう」「いくら愛情があると言えども限界がある」――記者会見で訴えた無園児家庭の切実な声
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「貧困」と「貧乏」は違う――日本保育学会前会長・汐見稔幸先生が語る、 ポスト待機児童時代の保育園の新たな「セーフティネット」としての役割とは?
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自治体・民間企業に本アンケート結果を提供します。

フローレンスは、本調査の結果を、ぜひ今後の支援施策の参考としてご活用いただきたいと考え、以下に調査結果のデータを公表いたします。下記より、ダウンロードの上ご活用ください。引用元として「認定NPO法人フローレンス」と明記をお願いいたします。使用費はいただきません。

参考資料

【報告書】無園児*家庭の孤独感と定期保育ニーズに関する全国調査 結果
*普段保育所・幼稚園等に通園していない就学前の児童のこと

報告書をダウンロードする


※ご使用の際には、下記2点をお願いしております。

・引用元として「認定NPO法人フローレンス」と出典の明記をお願いいたします。

・弊会の取材申込フォームに使用用途を記載の上お知らせください。

 <取材申込みフォーム>https://florence.or.jp/publicform


ソーシャルアクション・政策提言は皆さんのご支援で運営しています

コロナ禍を経て親子を取り巻く課題はさらに複雑化し、孤立が深まる中、その課題はより周囲から見えにくく、支援が届きにくいのが現状です。

フローレンスは、支援現場を自分たちの手で運営しながら、そこから日々得られる親子の生の声や、事業ノウハウを社会に広げ、国や地域の制度に具体的施策を提言をすることで、日本の子どもを取り巻く環境、綱渡りを強いられているハードな子育て環境を、アップデートしていきます。

今回、2022月6月15日におこなった、記者会見、全国調査、広報活動についても全て皆さんからの寄付により実現しています。

いつも応援してくださる寄付者の皆さん、参加・協働してくださっている多くの皆さんに心から御礼申し上げます。

日本中のすべての親子の笑顔のために、フローレンスはこれからも皆さんと共に「新しいあたりまえ」を形にしていきます。

 




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