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アクション最前線

2024/03/11

災害に備えて、知る、つながる 仙台市での障害児・医療的ケア児支援

       


2011年3月11日に発生した東日本大震災から、今日で13年を迎えました。

未曾有の災害に、当時創業6年目のまだ小さな団体だったフローレンスも、屋外で遊べない福島のこどもたちの遊び場づくり、被災した受験生が勉強できる環境作り、不安を抱えた妊婦さんの東京での受け入れなど、できうる限りの支援を届けました。

この13年という長い年月を経てもなお、被災地と被災された方の心には震災の爪痕が色濃く残っています。復興支援で大切なのは、継続的に支援を届け、関わっていくことです。フローレンスは、東北の復興のフェーズに合わせて支援の形を変えながら、今は仙台市を中心に活動を続けています。

「私たちに何ができるのか?」12年目の新たな挑戦 ーフローレンスの被災地支援
今年も3月11日がきました。 甚大な被害をもたらし、かけがえのない命を奪い、多くの人生に影響を与えた東日本大震災。12年経った今なお、つらい状況に置かれている人がいます。 一方...

待機児童数が急増、「おうち保育園」から始まった仙台の親子支援

フローレンスが仙台市で支援活動を始めたのは、被災した沿岸部からの人口流入により仙台市の待機児童数が急増したことがきっかけでした。東京で保育事業を運営していたノウハウをもって、仙台市内に0-2歳児のお子さんを少人数でお預かりする「おうち保育園」を開園したのが2015年です。

おうち保育園では、インクルーシブ保育(こどもの年齢や国籍、障害の有無にかかわらず、すべてのお子さんへ、それぞれの発達状況にあわせた保育を提供すること)を掲げて障害児の受け入れを実施、さらに保育事業の枠を超えて、「保育園こども食堂」やコロナ禍の緊急支援として開始した「仙台こども宅食」を通じた家庭の見守り支援など、地域に幅広い親子支援を届けてきました。

「保育園こども食堂」2019年撮影

医療的ケア児の深刻な支援不足が明らかに

仙台市で保育事業を運営するなかで見えてきたのが、たん・鼻水の吸引、経管栄養といった医療的なケアを必要とする医療的ケア児(以下、医ケア児)とご家族への深刻な支援不足でした。そこで2021年10月、ご自宅で医療的ケアに対応した看護師が医ケア児をお預かりするサービス「医療的ケアシッター ナンシー」を仙台市でも開始しました。

2022年には、医ケア児のいるご家庭におうち保育園で作ったお弁当を届ける「医ケア児おやこ給食便」を開始し、ご家庭からは、「初めて(きょうだい児のお子さんと)一緒に『いただきます』ができた」、「心に余裕ができて一緒に遊ぶ時間を取ることができた」といった嬉しい声をいただいています。

「医ケア児おやこ給食便」2022年撮影

みんなが笑って暮らせる社会へ #医ケア児もいっしょにまざらいんキャンペーン

2023年8月、フローレンスは「医療的ケアを必要とする人と家族が、笑って暮らせる」社会、障害の有無に関わらず、「誰でも行きたい場所にあたりまえに行ける」社会を目指して、医ケア児とその家族を包括的に支援する「まざらいんキャンペーン」を開始しました。「まざらいん」とは、仙台弁で「いっしょにやりましょう」という意味です。人や社会とつながって、みんなで医療的ケア児家庭を支えようという思いが込められています。

まざらいんキャンペーンの記者会見と医ケア児を招待した映画上映会の模様は、仙台の多くのメディアで取り上げられました。医ケア児とそのご家族の課題を広く知っていただく良い機会になると同時に、支援につながっていなかった医ケア児家庭との新たなつながりも生み出しています。

「医ケア児おやこ映画会」2023年撮影

災害に備えて、知る、つながる

東日本大震災が起きた13年前にも、仙台市には多くの医ケア児がいました。医療機器が命綱である医ケア児にとって、医療機器を避難所に持っていけるか、電源をどうするかは大きな課題となります。あるご家族は、避難所では電源や物資の確保に不安があり、自宅にいるしかなく、備蓄していた数カ月分の医薬品と予備のバッテリー、手動の吸引器で乗り切ったといいます。

フローレンスでは、災害時にどのような対策をとるかご家庭で話すきっかけとなるように、医ケア児の防災に関するチラシを作成し「医ケア児おやこ給食便」に同梱しました。これは、実際に仙台ナンシーで行った避難訓練を元にしており、「避難訓練をしてみたらこんな課題があった」という気付きとともにまとめたものです。

「医ケア児おやこよりそいチャット」が地域のハブに

医ケア児家庭は、必要に応じて訪問看護やヘルパーなどの支援事業を組み合わせて利用しています。それぞれの事業者が利用者の情報を共有しているわけではなく、すべての医ケア児のご家庭を把握し、つながりを持つのが難しいことも課題の一つとなっています。

フローレンスは、まざらいんキャンペーンの一環として「医ケア児おやこよりそいチャット」(医ケア児のいるご家庭と相談員がチャットでやりとりをし、ご家庭の状況に合わせて、子育て・生活に関する制度や支援サービスの情報を提供する事業)を開始しました。

まずは課題を知ってもらうことから

医ケア児家庭の支援をさらに広げていくには、当事者の声を拾い上げて、継続して発信していくことが重要です。医ケア児の親御さんの中には、普通に働きたい、普通を手に入れるところを少し支えてほしいという方もいれば、他の人と関わるのが怖い、好奇の目にさらされるのではないかと、外に出ることを不安に感じている人もいます。支援が不足するために、24時間のケアに追われて極度の睡眠不足に陥ったり、医ケア児に関する情報が入手しづらく、支援につながらなかったりする人がいます。

フローレンスはそれぞれの家庭の課題に寄り添い、必要な支援を届けながら、支援の輪を全国に広げる活動に取り組んでいます。

仙台での取り組みを、全国へ

フローレンスは、2014年に障害児保育園のパイオニアとなる「障害児保育園ヘレン」開園後、フローレンスが事務局を務める全国医療的ケア児者支援協議会とともに、医療的ケア児者家庭への支援拡充を訴えてきました。

関連団体との訴えが実り、2021年に「医療的ケア児支援法(国や地方自治体が医療的ケア児の支援を行う責務を負うことを明文化した法律)」が制定され、各地で医療的ケア児支援センターの設立が進み、医療的ケア児とその家庭の支援は広がりつつあります。

通常学級に医ケア児が通えるようサポートする体制ができたり医療的ケアの種類や時間に制限はあるものの、医ケア児を受け入れる保育園も徐々に増えています。

その一方で、まだまだお子さんのケアはご家族の負担が大きく、24時間ケアに追われる・用事を済ませるために外出することも難しいといった現状があります。フローレンスは、地方における医ケア児をとりまく課題の解決策の先行事例をつくり、その実績をもとに全国の地方都市での課題解決の道筋とすることを目指しています。

フローレンスのこのような活動は、フローレンスをいつも応援してくださる多くの皆さんに支えられています。 引き続きご支援、応援をよろしくお願いします。




フローレンスでは、社会問題や働き方など、これからもさまざまなコンテンツを発信していきます。
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