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お知らせ

2019/06/18

これからを生きる子どもを育てる。シチズンシップ保育ってなあに?【4月保育塾】

   


日々子どもに関わっていると、ふと未来の姿に思いを馳せることがあります。
子どもたちの持つ、いろいろな可能性を考えるとワクワクしますよね。
今ここにないこれからの社会を、子どもたちはどのように生きていくのでしょうか。

「これからの社会で、子どもたちが自分らしくいられるために、今どんな経験が必要なのだろう?」
「目まぐるしく変化する現代社会を生き抜くために、これからどんな力が求められるのだろう?」

そんな問いのヒントにすべく、今回の保育塾は『シチズンシップ保育』をテーマに、これからの社会を生きていく子どもたちとの向き合い方について話し合いました。

保育塾とは
フローレンスの全ての現場スタッフに向けた自主参加型の研修です。
現場スタッフの「知りたい!」「学びたい!」に応えられるように、毎月違うテーマで研修を行っています。

今回の講師は、みらいの保育園事業部の平井久里子さんです。
みらいの保育園事業部では、おうち保育園やみんなのみらいをつくる保育園の運営を行っています。

保育・教育の今

教育や保育の役割の一つとして、今は見えない今後の社会の中で、子どもたちが生きていく力を育てる、という役割があります。
そのため、移ろいゆく時代に対応しながら保育や教育のあり方は見直され、さまざまに変化してきました。

その変化のひとつとして、近年では、保育所保育指針・小中学校の学習指導要領が改訂され、2018年に施行されました。

前回の改訂が2008年であったことを考えると、久しぶりの大きな改訂となり、そこから子どもたちを取り巻く環境も大きく変化していることが感じられますね。

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参加者の様子

これからの社会で求められる力

では、これからの変化の大きい社会の中で生きていくためには、どんな力が必要だと考えられているのでしょうか?

その一つとして、「自ら考え試行錯誤し、他者と関わりながら行動する力」があります。

言い換えると「非認知能力」と言われるものです。読み書き計算などの認知能力と違い、非認知能力はいわゆるIQや点数で計測・評価することはできませんが、生きていくためにとても重要な力です。

では、これは具体的にどのような力のことを指すのでしょうか?

主な例としては、「やりぬく力がある・粘り強い」「やる気を持てる」「忍耐強い」「意志が強く自制心がある」「自分の状況を把握できる」「リーダーシップや社会性がある」「すぐに立ち直れる」「創意工夫ができる」などが挙げられます。

この能力は、特に脳の発達が著しい幼児期に獲得されると言われており、この非認知能力を伸ばすために、フローレンスが取り組んでいるのが『シチズンシップ保育』です。

シチズンシップ保育って?

シチズンシップという言葉の意味をご存知でしょうか。

シチズンシップは直訳すると「市民性」を表し、「社会の一員として、よりよい社会の実現のために、積極的に多様な人々と協働して課題解決する資質・能力」を指します。

非認知能力を伸ばすことによって、そのような資質・能力の基礎を作る保育をフローレンスでは『シチズンシップ保育』と呼んでいます。

そのために幼児期から、日常で生じる様々な問題に対し「教えてもらってないからわからない。」「だれかやってよ。」ではなく、「考えてみよう。やってみよう。」「ねえ、僕(私)はこう思うけどあなたはどう思う?」「みんなで協力して解決できた!」という経験を積み上げていきます。

シチズンシップ保育の考え方は、日々の保育のなかでどんな子どもにも、どんな場面でも活かすことができます。

例えば、フローレンスのシチズンシップ保育で大切にしていることは、こんなことです。

・「大人が決めて子どもが従う」という一方的な関係ではなく、一人の人として子どもを尊重する
・一人ひとりの感情や意見を大切にし、やりたいことに夢中になれる環境を作る
・みんなそれぞれが違って当たり前、違っても仲良くなれる
・もしケンカになったときは話し合えば解決できる
・一人ひとりが自分らしく

実際にフローレンスの運営するおうち保育園やみんなのみらいをつくる保育園で行われている具体的な例をご紹介します。

まず、戸外活動の時に、よく行く公園の特徴がわかる写真を用意して、子どもたちがどこで何をして遊びたいか意見を言える場を設けています。

写真を用意することで、0-2歳児で公園の名前がわからなくても自分の意見を言うことができます。


時には、子どもたちの意見が分かれたり、時間や距離の都合でどうしても希望の公園に行けない時もあります。
そんな時は、「他の公園にも似たような所はなかったっけ?」と保育者が問いかけたり、子どもたちにやりたいことを先に聞き、他の公園でも実現できることを保育者が補足します。

例えば、

子ども「A公園に行きたい!!」
先生 「A公園で何をしようか?」
子ども「探検したい」「どんぐりを拾いたい」
先生 「そっか、それならB公園はどうかな。B公園には山があるよね。」

といった様子です。

このように、自分の気持ちに気づいたり、自分の意見を伝える機会を日常的に取り入れています。

自分の意見が通らなかった場合も、丁寧に対話することで他の意見を受け入れることができますし、子どもたちの意見を聞いて決めていくことで、子どもたち自身が納得感を持って活動することができます。

続いて、フローレンスの障害児保育園ヘレンが併設されているおうち保育園での様子をご紹介します。


障害児保育園ヘレンに通うAちゃんは、併設されているおうち保育園に遊びに来て、朝の時間から長いときにはお昼寝までおうち保育園の子どもたちと一緒に過ごしています。
Aちゃんと一緒にお散歩に行くことも多く、Aちゃんが歩いていると、さっそく2歳児Yちゃん・1歳児Kちゃんが「Aちゃーん!」と手をつなぎにいく姿がありました。
ヘレンの子どもたちがおうち保育園に遊びに来てくれるだけではなく、夕方の時間にはヘレンのお部屋におうち保育園の子どもが遊びに行くこともあります。

障害の有無や国籍・文化の違いがある多様な人が互いを認め合い、共存することは、シチズンシップの目指すところである、「よりよい社会の実現のために、積極的に多様な人々と協働して課題解決できること」につながっていきます。

さまざまな保育で活かせる!シチズンシップ保育

保育塾はフローレンスの全スタッフが参加できる研修のため、小規模保育・障害児保育・病児保育など、参加したスタッフもさまざまな保育を行っています。

ワークショップでは、それぞれの日々の保育のなかで「これってシチズンシップ保育かも?」と思うことと、各々の保育で取り入れていきたいことをシェアしました。

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ワークショップの様子

あるスタッフからは、「子ども同士のトラブルがあった時に、それぞれの気持ちやどうすればよかったかを子どもたちが考えて伝え合う時間を作っているよ」という共有がありました。

他にも、「シチズンシップ保育の最初のステップとして、子どもたちが自分で考えて選べるような選択肢を作ってみようと思う」といった今後取り組みたいことが挙がっていました。

全体の感想からは、「シチズンシップ保育は集団保育向けのものかと思っていたけれど、より丁寧に子どもの意見を聞けたり、マンツーマンだからできることもあるかも!」といった発見があったりと、他の事業部の例や工夫を聞きつつ、それぞれが自分の保育に合ったシチズンシップ保育の形を考えるきっかけとなったことがうかがえます。

6月の保育塾は『明日からの交流保育が変わる!~交流保育をより良くするために~』をテーマに開催します。
5月の報告記事も近々公開いたします。お楽しみに!

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書いた人:佐藤 万由花


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