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アクション最前線

2017/11/27

「病児保育5万件ってどれくらいすごいの?」新人研修を受けてわかった、命を預かる重み

  


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こんにちは!フローレンス入社1年目、広報の鈴木です。

「子どもが熱を出して保育園に行けず、親が何日か仕事を休んで看病したら会社をクビになった」

子どもが熱を出すのはあたりまえのことなのに、それで仕事を失う社会を変えたい。
子どもが病気の時も親が安心して働ける社会を実現したい。

そんな想いから2005年にスタートしたフローレンスの日本初「訪問型病児保育事業」

この「フローレンスの病児保育」が、12年目を迎えた今年8月、ある記録を達成しました。

それは、病児保育の累計お預り件数が5万件を超えたことです。

その知らせを聞いたスタッフ達は歓喜し、社内全体が祝福ムードに包まれました。

そんな中、入社1年目の僕は戸惑っていました。
ところで、5万件ってどれくらいすごいの?
おめでとうの言葉が飛び交う中、5万件という数字に全然ピンとこなかったのです。

そこで僕はある決断をしました。
病児保育の担い手である、こどもレスキュー隊員(※1)が現場で独り立ちする前に必ず受ける新人研修を一緒に受けてみよう、と。

この5万件の意味を理解するには、日々子どもたちと向き合い続けてきた、こどもレスキュー隊員の仕事がどんなものなのか、身をもって知る必要があると思ったからです。

実際に研修を受けてみると、訪問型病児保育の現場の想像を絶する大変さを目の当たりにしました・・・!
これから僕が受けた新人研修についてご紹介します。

新人研修のスケジュールは以下のとおりです。

1日目:現場見学
2日目:レスキューフロー研修(基礎)(※1)
3日目:現場研修(見学)
4日目:ケアポイント研修
5日目:現場研修(体験)
6日目:リスクマネジメント研修、レスキューフロー研修(詳細)
7日目:実技研修、ロールプレイ研修
8日目:現場研修(主導)(※2)
9日目:現場研修(卒業)(※2)

※1:フローレンスでは、病気のお子さんのご自宅で保育することを「レスキュー」、保育者のことを「こどもレスキュー隊員」と呼んでいます。
※2:実際の研修では、主導・卒業の現場研修を「合格」が出るまで繰り返し行います。

 
レスキューフロー研修~病児保育の流れやルールを理解する~

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フローレンスの「訪問型病児保育」は、病気で保育園を休んだお子さんを、親御さんに代わって自宅で保育する仕組みです。

一般的な保育園で働く保育士とはまた違った業務内容が数多くあります。

研修の初めは、病児保育の1日の流れやルールについて基礎的な部分を学びました。

研修担当者から、これから研修で使う「病児保育ハンドブック」を手渡された僕は衝撃を受けました。

こんなにたくさん覚えることがあるのか……

100ページに渡るそのハンドブックには、フローレンスがこの12年間で蓄積してきた病児保育のノウハウが詰め込まれていました。

お薬をあげる前は必ず本部へ連絡する、受診に行くときは徒歩5分以上の場合はタクシーを利用するなど、なぜこれをしなければいけないんだろう?というようなルールもありました。

なぜこんなにも細かいルールがたくさんあるのでしょうか?
その答えはシンプルです。

フローレンスの病児保育で1番大切なことは「お子さんの安全を守ること」だからです。

つまり、それだけ細かいルールを守らないと、お子さんの安全が保障できないということです。

研修はまだ始まったばかりですが、さっそく病児保育の厳しさを感じました。

 
現場研修~病児保育レスキューは前夜から始まっていた~

新人研修では新人1人ひとりに、ベテランの先輩こどもレスキュー隊員がつき、現場での指導をしてくれます。

3日目の現場研修では、前日のレスキューフロー研修を踏まえて、それが実際に現場でどのように実践されているのか、先輩の病児保育をまる1日見学します。

お子さんの自宅に着いてからが病児保育のスタート!
…と思いきや、それは大きな誤解でした。

フローレンスの訪問型病児保育は、前日の15時から予約の受付を開始し、当日の朝8時までの予約に対しては100%対応を保証しています。そして、病児保育ですから毎日違う利用会員さんから予約をもらっています。

したがって、こどもレスキュー隊員のもとには、前日の夜になって初めて病児保育の依頼が来るため、それを確認する作業があるのです。

依頼が来たら、1度も会ったことのないお子さんの病状やアレルギーの有無、自宅までの行き方、過去に他のこどもレスキュー隊員がお預りした時のフィードバック報告などをもとに、翌日の病児保育の計画を立てます。

そして当日の朝、普段使わない電車に乗り、降りたことのない駅で降りて、初めて会うお子さんの自宅へ向かうのです。

移動中も油断できません。なぜなら、そこは病児保育。朝になってお子さんが回復すれば依頼がキャンセルになる可能性があるからです。キャンセルになると次の依頼を待つために待機しなければなりません。

フローレンスの病児保育は現場に到着してからではなく、現場にたどり着くまでにも越えなければいけないハードルがたくさんあるということがわかりました。

親御さんとの引き継ぎの様子

(写真は親御さんとの引き継ぎの様子)

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ご自宅を訪問し、いざ保育が始まると、先輩こどもレスキュー隊員のあまりにもスムーズな親御さんとの引き継ぎや食事の準備、本部との情報共有、お子さんとの接し方を見て、「あれ、意外と難しくないのかな?」と錯覚を起こすほどでした。

しかし、この時当たり前のようにやっていたことは、決して当たり前ではないということがこれから明らかに……

 
ケアポイント研修~命を預かる保育だからこその専門知識~

病児保育において欠かせない知識やスキルの1つに「看護」があります。

ケアポイント研修では、お子さんの様々な病状に対するケアや観察のポイント、与薬の際の注意点、アレルギーへの対処など現場で必要となる知識を学びます。

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(写真は与薬についての座学研修の様子)

フローレンスの病児保育でお預かりするお子さんの病状は様々です。
風邪、胃腸炎、手足口病、RSウイルス感染症、溶連菌感染症、インフルエンザなど。

それぞれの病状に対しての知識や適切なケアの仕方を知っていなければ、お子さんを安全にお預かりすることはできません。

実際に現場では、急な熱の上昇による熱性けいれんや、下痢、嘔吐のような、初めて目の当たりにしたら戸惑ってしまうようなことが起こります。

「もし目の前でお子さんの容態が急変したら、自分は適切な対応ができるのだろうか」
看護については全くの素人である僕は、その状況を想像したら急に怖くなりました

病児保育の現場はお子さんとの1対1だからこそ、こどもレスキュー隊員1人1人に一定レベルの看護の知識とスキルが求められます。

様々なサポート体制もありますが、お子さんに何かあった場合の第一発見者は必ずこどもレスキュー隊員になるので、1秒1秒気が抜けないとても責任の重い仕事だと感じました。

 
リスクマネジメント研修~安全な保育をするために~

フローレンスの病児保育では、サービスを始めた2005年から12年間、重大な死亡事故などは無くお子さんをお預りしてきました。

そんな安心安全な病児保育を提供できているのも、こどもレスキュー隊員のリスクマネジメントに対する意識が高いからです。

リスクマネジメント研修では、「お子さんから絶対に目を離さない」「危険を予測して事故を未然に防ぐ」ということを繰り返し伝えられました。

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病児保育の現場では、様々なリスクが想定されます。

誤飲や窒息、転倒、転落、投薬、誤嚥など、それぞれのリスクについての注意点や対処法について学びました。

見学の現場研修ではあまり気づきませんでしたが、この後自分が主導で行う現場研修では、様々な危険があることを感じ、リスクマネジメントの重要性を痛感することになりました。

 
現場研修~自分でやると分かる病児保育の難しさ~

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これまでの現場研修は先輩こどもレスキュー隊員が主導で保育を行っていましたが、ここからは自分が主導で保育を行います。
1日自分でやってみると、その大変さは想像以上でした。

まず、朝利用会員さん宅を訪問して最初の山場は、親御さんとの引き継ぎです。

出勤前の親御さんとお話できる時間は限られています。
そんななかで、お子さんの病状を詳細に聞き取るのがかなり難しかったです。ただひたすら親御さんの言ったことをメモするのに必死で、その日の病児保育に必要な質問をすることはできませんでした。

なんとか引き継ぎが終わり、いざ子どもと1対1になると、「子どもから目を離さない」ことの重要性と難しさを痛感しました。

今回僕がお預かりしたのは、1才4ヶ月で風邪の回復期にあるお子さんだったので、ぐったりしているというわけではなく、よく動き回るお子さんでした。

そのお子さんにはお気に入りのペンがあり、それをずっと握りしめていました。
刺さったら危ないなと思い、取ろうとすると大泣きしてしまう。そんな状況でした。
しばらくはそのまま保育を続けたのですが、一瞬たりとも目が離せず、緊張感でいっぱいでした。

この時僕は、子どもから目を離すということがどれほど怖いことなのか、身をもって知ることができました。

また、お子さんが予期せぬタイミングで眠ってしまい、予定していた保育計画が大幅に狂ってしまうという事態も経験しました。

きっとこれも、前日の睡眠の様子を丁寧に親御さんから聞いたり、お子さんのちょっとした眠気のサインに早く気づいていれば、早く対策ができたことでした。

僕の初めての病児保育は、全てが後手後手に回ってしまい、主導権は常にお子さんにありました。もちろんお子さんのペースを優先するのですが、自分から遊びや食事、睡眠へと誘う工夫も大切だと感じました。

うまくいかなかったなあと落ち込みながらも、1日の病児保育が終わり、帰ってきた親御さんに最後の引き継ぎをすると、「ありがとうございます。とても助かりました」と言っていただきました。そしてお子さんも帰ろうとする僕を、手を振って見送ってくれました

今まで病児保育の大変な部分ばかり痛感していましたが、この時に「困っている親子を支えることができた」ということが実感でき、今までに味わったことのない嬉しさがこみあげてきました。

 
新人研修を終えて

9日間の新人研修を通して、僕はお子さんの命を預かる重みを知りました。

現場研修で実際に自分が1日保育をしてみると、そのプレッシャーは計り知れないものでした。

1日お子さんを安全にお預かりするのは、決して簡単なことじゃないということが今だからわかります。

病児保育の現場は、ちょっとした油断でいつ事故が起きてもおかしくない、そんなリスクと常に隣り合わせにある場所でした。

最初は自信が持てず不安になる時もありますが、現場経験豊富な先輩こどもレスキュー隊員や研修担当者が、研修中はもちろん独り立ちしてからもしっかりフォローしてくれるので、安心して病児保育に向き合うことができました。

「病児保育5万件達成」

とても素晴らしいことです。

ですが、その中にある尊い1件1件を忘れてはなりません

この記録が達成できたのは、病児保育のプロであるこどもレスキュー隊員が、目の前の1人のお子さんと真剣に向き合い続けてきたからこそです。

「重大な事故のない5万件」が達成できたのも、ただ日々の病児保育を繰り返してきたのではなく、その日の病児保育から得られた学びを全員で共有し、保育の質を高め続けてきたからなのです。

5万人のお子さん親御さんからの感謝の気持ちを胸に、これからもフローレンスのこどもレスキュー隊員は、病気で苦しんでるお子さんのもとへ安心安全な保育を届け続けます。


フローレンスでは、1対1の保育で病気のお子さんに寄り添う「こどもレスキュー隊員」を募集しています!

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書いた人:鈴木貴之


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