2018/03/01
自分の人生をまえのめりに:仕事と子育ての両立を考えるイベント「the GIFT」を開催しました
こんにちは。みんなで社会変革事業部の岩井です。
1月27日にフローレンスとFASHION CHARITY PROJECT(以下FCP)共催にて、仕事と子育ての両立を考えるチャリティイベントを開催しました。
今回のイベントは働く女性たちの結婚・出産・育児、仕事と子育ての両立に関する不安の解消と、その根本にある社会課題の認知・解決のために【今できるアクション=未来への「GIFT」】をテーマに、トークセッションやブースを通じて交流する場として企画しました。イベント参加費は全額、フローレンスへの寄付になります。
今回なぜフローレンスとFCPがこのようなイベントを開催することになったのか。そこには方法は違えどもお互いに「社会問題を解決したい」という思いがあったからです。
「FASHION CHARITY PROJECT」は、個人が不要になったファッションアイテムをFCPに提供し、そのアイテムが購入されると売上の一部が寄付になるという社会貢献型の通販サイトです。フローレンスは、2014年より寄付先に選定いただきご支援をいただいています。
FCPは、フローレンスが事務局を務める新公益連盟(全国約100の社会的企業・NPO団体の連盟組織)の仲間でもあるのですが、昨年その新公益連盟の合宿でFCP土持梨奈さんと熱く議論したことが、今回のイベントのスタートでした。
フローレンスとFCPのサービス利用者やファン層は年齢も嗜好性も違うのですが、共感する価値観は似ている気がする。ファッションと社会貢献。一見とても遠くにある2つですが、お互いの強みを活かして一緒にカタチあるものを作ってみたい!という話になりました。
具体的には、お互いが単独ではリーチしづらい層に対してアプローチしていき、ファッションやイベントを通して、今後、自分が当事者になるかもしれない社会課題、「病児保育」「ひとり親」「待機児童」「障害児保育」「孤独な子育て」について知ってもらい、自分ごと化してもらえるよう企画を練りました。
しかし一方では、好きなことや楽しいことーー例えばファッションを通して「社会をよくすることはもっと気軽であっていい」というメッセージが伝わることを第一目的としました。社会課題解決というとお堅いのですが、誰でもお洋服を楽しむように「社会にGIFTをプレゼント」するきっかけになるように。そんな思いから「the GIFT」というイベント名で企画が進行していきました。
イラストエッセイストとして働きながら子育ても行っている犬山紙子さん。スタッフの妊娠を機に結婚・出産・子育てについて考え、取り組んでいる㈱ウツワ代表のハヤカワ五味さん。学生や若者向けに家族留学を行い、仕事と子育ての両立についての取り組みを行っているmanma代表の新居日南恵さんと、とても素晴らしい方々に快く引き受けて頂き、イベントの形が少しずつ見えてきました。
FCP側からの交渉でメルカリ取締役社長兼COOの小泉文明さん、ライフスタイルプロデューサーの村上萌さん、スタイリストの亀恭子さんにも出演して頂けることになり、豪華なゲストが勢揃い、とても楽しみなイベントになっていきました。
出展ブースとしてフローレンスはもちろん、サイボウズ、manmaも声掛けに応えてくれ、ブース出展を行ってくれることになりました。FCP側からの声がけで、リブセンス、IBM、女子未来大学の出展も決まりました。
このように登壇者、出展ブースが決まり、イベント当日は仕事と子育ての両立、自分らしいライフスタイルを実践している方々に登壇頂き、さまざまな話を聞いたり、ブースでは、それぞれの企業・事業としての「働き方改革」の取り組みについてプレゼンやワークショップ形式で参加者の方々と交流していきました。
アララ株式会社さんのとても素敵なラウンジで、会場内にはコンセプトに合ったメニューを提案・作成して頂けるGOCHISOさんのとても素敵なケータリングが並び、100名以上の参加者とともにイベントはスタートしました。
イベントのトップを飾ったのはフローレンス代表の駒崎とメルカリ取締役社長兼COOである小泉文明さんによるトークセッション。経営者であり、育児休業取得経験者でもある二人が育休について、そしてこれからの時代の働き方について話していきました。
株式会社メルカリ 取締役社長兼COO 小泉文明
1980年生まれ。早稲田大学商学部卒。2003年大和証券SMBC(現・大和証券)入社。投資銀行本部にてインターネット企業の株式上場支援を担当した後、07年ミクシィ入社。取締役執行役員CFOに就任しコーポレート全体を統括。退任後はベンチャー企業を数社支援し、13年12月メルカリに入社。14年同社取締役に就任。17年4月取締役社長兼COOに就任。
会社は社長がいなくても回る
駒崎:小泉さんは育休を取ったのはどういうきっかけだったんですか?
小泉:育休はもともと取るつもりでした。取る前提でいたため、奥さんにはわざわざ伝えておらず、奥さんがヤフーニュースで知ってびっくりしていました。育休を取ることで、奥さんからの自分に対するハードルが上がって、それは少し心配でした(笑)。メルカリ社員も男性の育休取得率は90%で、積極的に取ってもらうようにしています。
駒崎:男性のうち90%が育休を取得しているのはすごいこと。社会全体で育休を男性がとる割合はわずか3%ですからね。
育休を実際にとってみてどうでしたか?
小泉:会社は意外と社長がいなくても回る。育休に向けて、事前に仕事を引き継いだり、教育したり、自分がいなくても会社が回る体制をつくることができたので、とくに不安もなかったですね。
駒崎:僕も育休を2カ月取った時、最初は自分がいなくなったら皆が困るだろうと思っていたんですよ。でもいざ休んでみたら誰も困ってなくて(笑)。
それまでは自分の意思決定が会社を左右していると思っていたけど、そうでもなかった。それで社員を信じられるようになったし、任せられるならどんどん任せちゃおうってことで権限委譲が進みました。自分の働き方を見直す意味ですごく良かったから、男性の方には本当にオススメしたいですよね。
小泉:トップがいることで会社が回りやすいこともあるけれど、いないから言いやすいことも多くて、社員もやりやすかったんじゃないかと思います。
自分がいなくてはダメだと思っていましたが、意外とトップがいなくてもきちんと回るし、今は、マネージャーだけでも会社が回るようになっているので、良いことだと思います。
また、人事と給与以外の会社の情報は基本的に誰でも見られる状態にしています。
例えば自分が関わっていないエンジニアの部署が今何をしているかとかも議事録をたどれば見られるようになっています。なので、自分自身も1時間もあれば、その部署がどういう動きをしているのかだいたいわかるし、なるべく全体にオープンな状態にしています。
今は2ヶ月育休でまとまってとるようにしているが、例えば保育園入った後は慣れるまでの期間など、忙しくなるタイミングがそれぞれであるので、今後は2週間とか、4週間とか、分けて柔軟にとるような仕組みでもいいと思っています。
小泉:メルカリの社長である自分と子会社の社長が同じタイミングでそろって育休を取ったことで、業界全体で男性が育休をとる波がなんとなくきています。
やはり、大きな企業だと古い体制で育休を取りづらい現状はあります。
そのため、ベンチャー企業が積極的に新しいことを取り入れて、業界の雰囲気を変えていくことで、大企業も、「そっちが当たり前なんじゃないかな?」と変化していくきっかけになればと。ベンチャーからどんどん変わっていくことが大切だと思います。
個人が輝くために:副業も選択肢の一つ
駒崎:個人が会社に属するだけではなく、多様な働き方を選択する時代への過渡期が今だと思います。副業もその一つですよね。
小泉:メルカリでは、創業当時から副業もOKにしてます。
当時は副業はまだ珍しかったですけど、人が副業すると、そのまま離れちゃうんじゃないか、辞めちゃうんじゃないかと心配されがちでした。
しかし、うちでは例えば、「外部に講演しに行く」人数をKPIで取っていて、積極的に外に出させるようにしています。
相手に伝えることを意識するから、自分自身も勉強するし、結果的にその人自身のスキルを上げて、その能力を会社に還元してくれていますからね。
駒崎:フローレンスでも副業は可能です。サイボウズの人事の方が「副業したい」って言ってくれて。サイボウズで得たノウハウをうちに還元してくれて、うちで得たことをサイボウズに還元する。競合しているわけではないですし、お互いうれしいですよね。
それに、動画をやりたいと言っている社員がいて、副業でやってたら、そのスキルがどんどん上がっていたので、フローレンスでも医療的ケア児の動画を作ってもらったらツイッターやフェイスブックで数十万PVとれるようになって。会社にも良い影響を与えるなと、とてもいい機会になった。
1980年代頃から、個人を重視するようになり、個人の価値観が重視される一方で、以前のように会社に縛りつけるのが難しくなりました。
スキルを活かしその人自身の能力を高めて、生き生きと働いてもらう、それが会社にも活きる。そういう採用の仕方を、これからはしていかなきゃいけないですね。
小泉:副業をすることで離れていくのであれば、それは副業のせいではなく会社自身に魅力がないからであって、そのせいで副業をさせないのであれば、それは本末転倒な話ですからね。
1億2000万通りの働き方が選択できる社会へ
駒崎:メルカリのような会社が増えていけば日本の生産性は上がっていくと思うんですが、どうやったら良い働き方は増やしていけるんですかね?
小泉:インターネットによって個人と会社、社会の関係が対等になってきて、イニシアティブを個人が取れるようになってきています。型にはまった働き方も解き放たれてくると思いますね。ただ自由って怖くて、実は決めてもらった方が楽だったりもするんですよ。その時に大事なのは、個人が「やりたいこと」を見つめ直すこと。そもそもどういう働き方がいいのか、考えたことのない人は多いと思うんですよね。
駒崎:9時出社で18時に帰っていいという規定の中で働く。そこに対して考えるプロセスがなかったのがこれまででした。
小泉:例えば自分の値段を自分で決められることになったとき、明確なロジックや答えを持っている人はあまりいないんですよ。転職活動でも前職の年収を元になんとなく提示することが多い。でも“すっぴんの自分の価値”をしっかり考えていかないと、個人がイニシアティブを持てる状況になっても成り立たちません。
駒崎:会社が個人に対して上から指示する関係から、会社と個人が対等なパートナーシップを組んでいく関係に変わる。まさに保育業界は未曾有の人手不足で、お互いが良い関係を作っていかないと離職率が上がって成り立たなくなります。おそらくどの業界でも同じで、人手不足の状況では個人の価値や希少性が高くなるから、個人の意思を尊重した働き方は実現しやすくなりますよね。
小泉:「個人が強くなる」というのが僕の人生のテーマで、個人が情報を発信できなかった時代に『mixi』というSNS を作り、買うだけだった個人に『メルカリ』で売る場を作って、それぞれ個人をエンパワーメントしてきました。
働き方も含めて、その人がその人らしく生きてほしいんですよ。キャリアと家庭もそうですが、いろいろなものが共存していく中で、その人の思いやWillを実現できる社会を築いていくために、僕やメルカリでできることをやっていきたいですね。
駒崎:僕は1億2000万人いたら、1億2000万通りの働き方を選択できる社会を作っていきたいと思っています。日本は子育てがしづらい社会になってしまっていますが、子育てと何かを両立できて、子育てによって何かを諦めなくてもいい社会をつくっていきたい。ぜひ共闘して、個人が輝ける社会を作っていきましょう。
多様な働き方を認めていき、一人ひとりが自分らしく、自分に合ったスタイルで働いていく。それが会社にも還元されていく。そして、個人が輝く社会になるために。そのために先頭に立って実践している二人のお話は参加者の皆さんにとって、これからの生き方・働き方の可能性にあふれており、とても魅力的なお話でした。
続いてはスタイリストとして活躍されている亀恭子さんとライフスタイルプロデューサーの村上萌さんによるトークセッションです。
仕事と育児の両立や、出産・育児に関する体験について、本業のファッションやライフスタイルの話題と交えながら話を伺っていきました。
トークセッションの最後を飾るのはイラストエッセイストの犬山紙子さん、ウツワ代表取締役のハヤカワ五味さん、manma代表取締役の新居日南恵さんです。
TV・雑誌などでも活躍中の犬山さんと、「家族留学」を通じて生き方のロールモデルを学ぶ機会を提供するmanma代表新居さん、シンデレラバスト向けランジェリーブランドfeast等で有名なウツワ代表ハヤカワ五味さんが、これからの家族のあり方や、仕事だけではない自分の人生の作り方について語ってくれました。
セッションの後は、ブースタイム。サイボウズ・リブセンス・IBM・女子未来大学・manma、そしてフローレンスがブース出展を行い、それぞれの企業、事業での「働き方改革」の取り組みや仕事と子育ての両立を行っていくための取り組みをプレゼン、ワークショップ、展示等の様々な形で参加者と交流しながら行っていきました。
フローレンスブースでは、街頭調査方式で参加者に質問をしながら病児保育・ひとり親支援障害児保育、フローレンスでの働き方について話をさせてもらいました。
また、「Double(ダブル)」というロボットを使用しての実演も行いました。Doubleは実際にフローレンスで使用しているロボットで、遠隔にいるスタッフとリアルにやりとりできるツールです。
普段Doubleを使っているスタッフは石川県金沢市に住んでいます。遠隔で業務をこなしていますが、このDoubleで一緒に会議をしたり、ランチを一緒に食べることもできます。
結婚・出産・育児・仕事と子育ての両立・自分のやりたいこと。一人ひとり違うし、それぞれの人生があります。何も諦める必要はありません。このイベントが一人ひとりの選択肢を増やし、これからの人生が前向きに、そして楽しみなものになるきっかけになればうれしいです。
FASHION CHARITY PROJECTでは、不要となったファッションアイテム(洋服、バッグ、シューズ等)を寄付し、寄付されたアイテムが購入されると、フローレンスのひとり親支援または障害児保育に寄付ができます。
もう使わないけど捨てるのは忍びない……と眠っている洋服やバッグ等がある方は、ぜひ「断舎離するならチャリティで『断チャリ』」を合言葉に、ファッションアイテムでの寄付をご利用ください!
今回のthe GIFTのように、イベントの開催を通じてフローレンスを支援していただける法人の方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください
書いた人:岩井純一
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