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アクション最前線

2020/03/12

非常事態下で“医療的ケア児”家庭に特化したニーズが浮き彫りに 「医療的ケア児一斉休校に関する緊急全国アンケート」調査結果公開

     


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日常生活に医療が必要な子ども・医療的ケア児の家族による当事者団体として日本最大級の「一般社団法人全国医療的ケア児者支援協議会」は、政府の「一斉休校」要請後、医療的ケア児に対して初の全国調査を行い、当事者のニーズを可視化いたしました。

3月6日(金)に調査開始し、5日間で全国から196件の回答が集まり、うち休校・休園対象となったお子さんのいる保護者から151件の回答を得ました。

回答結果からは、健常児で一斉休校の対象となったご家庭と比べ、「医療的ケア児」親子に特化した結果が明らかになりました。命に直結する問題の解決と、保護者と障害児が直面する精神的・肉体的負担の軽減が急がれます。

【医療的ケア児 一斉休校に関する緊急全国アンケート 概要】

実施期間:3月6日(金)18:00~3月10日(火)24:00まで

対象:全国の医療的ケア児の保護者 ※未就学児の保護者も含む

回答総数:196 

有効回答(医療的ケア児の保護者)数:190

※ うち、お子さんの通う学校が休校になった保護者:151  


アンケート結果サマリ

 ●休校措置に対して、70.9%・107人の親が「とても困っている/困っている」(n=151)

 学齢期の医療的ケアが必要な子どもがいる家庭では「とても困っている/困っている」と回答した保護者が7割超。新型コロナウイルス対策に多くの企業が導入するリモートワークに関しても「医療的ケア児を抱えての在宅勤務は厳しい」との声が寄せられました。

●「臨時休校の影響として困っていること、心配なこと」は親子の生活負荷の増大(n=151)

 医療的ケア児は、痰の吸引や酸素吸入などの医療的ケアを必要とする障害児です。医療的ケアは保護者か医療従事者、特別な研修を受けた人にしかできません。医療的ケア児の世話を頼める人や日中の通所先が限られるため、親子の生活負荷が増大します。

全国医療的ケア児者支援協議会の事務局運営を務める認定NPO法人フローレンスが2020年3月10日に発表した、主に全国健常児を子育て中の家庭を対象に調査した「一斉休校に関する緊急全国アンケート」では「家事や育児の負担増」に困っていると回答した保護者は46.1%であり、医療的ケア児家庭(62.3%)の負荷の高さが伺えます。

表1

●「どんな支援があったら助かりますか」は、マスクやエタノールの提供と、訪問看護の長時間化(N=190)

医療的ケア児のデイリーケアに欠かすことのできない物品が行き届きにくくなっています。一斉休校および新型コロナウィルス感染症の拡大にともない、医療的ケア児がいるご家庭からはマスク・エタノールの提供や、訪問看護の長時間化を求める声が多く集まりました。「感染予防のマスクや、気管切開しているので吸引時に使用する消毒液が手に入らない」、「3食の食事介助(1回に1時間半~2時間かかる)をしながら家事もしており、長期化すると大変」といった切実な意見も寄せられています。

表2

新型コロナウィルス感染症の拡大および一斉休校で深刻化する医療的ケア児の問題(アンケート結果より)

・医療的ケアが必要な子どもの世話を親戚や知人で代わることができず親の負担増

 医療的ケア児は、子どもだけで留守番をすることができません。一斉休校に伴い親は仕事を休まざるを得ず、所得が減り今後の生活に不安を抱えています。訪問看護の長時間化や頻回化など、専門職による在宅での支援が必要です。

・罹患すると重症化するリスクが高いため、通院などの送迎に公共交通機関を使う事が難しい

 感染リスクが高いとされる現在、罹患すると重症化する可能性が高い医療的ケア児は、公共交通機関を利用することができません。福祉車両での輸送サービスの実費負担は大きく、利用補助が必要です。

・消毒用エタノール、マスク等が不足し医療的ケア児家族が日常のケアを行えない

 医療的ケア児の日常のケアに痰の吸引があり、ケアのたびに手指や器具の消毒が必要です。エタノールが使用できなくなると、厚生労働省が定めるマニュアル通りのケアを実施することができません。

私たちが考える、行政・民間企業・社会に求めるサポート

●医療的ケア児家庭に対し、自宅訪問型の支援を、①柔軟に、②利用者の負担を増やすことなく、できるようにしてください。

●移動の際、福祉車両を利用出来るように、補助を増やしてください。

●エタノールやマスクが医療的ケア児の家庭に行き届くようにしてください。

「臨時休校の影響として困っていること、心配なこと」という質問に対して、お子さんの通う学校が休校になった当事者151名のうち62.3%にあたる94人が、「家事や育児の負担が増えること」と回答しています。

24時間休みなく続く医療的ケア児のケア、家事・育児の負担を減らすために、訪問看護の長時間化や頻回化、居宅介護や移動支援の柔軟な運用、ベビーシッター利用支援事業の拡大などを通じて、柔軟に、かつ利用者の負担を増やすことなく、ご自宅での支援をできるようにしてください。

感染リスクが高いとされる現在、罹患すると重症化する可能性が高い医療的ケア児は、公共交通機関を利用することができません。障害児通所支援サービスの送迎も受け入れに制限があり、結果として医療的ケア児は障害児通所支援サービスを利用できないことがあります。福祉車両による輸送サービスの利用補助を増やしてください。

「どんな支援があったら助かりますか」という質問に対して、回答者190名のうち60.5%にあたる115人が、「マスクやエタノールの提供」と回答しています。手指やカニューレなどの消毒にエタノールは欠かせず、頻回に通院する医療的ケア児には感染リスクを低減するためのマスクが欠かせません。医療的ケア児とその家族にエタノールやマスクが行き届くよう、ご支援をお願い致します。

一般社団法人全国医療的ケア児者支援協議会について

日本初の障害児保育園ヘレン、障害児訪問保育アニーなどを運営する認定NPO法人フローレンスは、障害児親子を取り巻く社会問題解決に向け、社会福祉法人むそう 代表 戸枝氏、NPO法人ソーシャルデベロップメントジャパン 代表 矢部氏と共同で2015年に「全国医療的ケア児者支援協議会」を立ち上げました。

2019年、医療法人財団はるたか会/あおぞら診療所 理事長 前田氏、医療的ケア児保護者 山田氏を理事に迎え、一般社団法人化いたしました。当団体は医療的ケア児保護者や関係者668名による日本最大規模の医療的ケア児者 当事者団体です。

公式サイトはこちら

アンケート結果報告

●休校措置に対して、70.9%・107人の親が「とても困っている/困っている」(n=151)

学齢期の医療的ケアが必要な子どもがいる家庭では「とても困っている/困っている」と回答した保護者が7割超。新型コロナウイルス対策に多くの企業が導入するリモートワークに関しても「医療的ケア児を抱えての在宅勤務は厳しい」との声が寄せられました。

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●「臨時休校の影響として困っていること、心配なこと」は親子の生活負荷の増大(n=151)

 医療的ケア児は、痰の吸引や酸素吸入などの医療的ケアを必要とする障害児です。医療的ケアは保護者か医療従事者、特別な研修を受けた人にしかできません。医療的ケア児の世話を頼める人や日中の通所先がないため、親子の生活負荷が増大します。

全国医療的ケア児者支援協議会の事務局運営を務める認定NPO法人フローレンスが2020年3月10日に発表した、主に全国健常児を子育て中の家庭を対象に調査した「一斉休校に関する緊急全国アンケート」では「家事や育児の負担増」に困っていると回答した保護者は46.1%であり、医療的ケア児家庭(62.3%)の負荷の高さが伺えます。 

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●「特に困っていること・心配なことについて、その理由や具体的なエピソードを教えてください。」では、以下のような回答がありました。(一部抜粋、原文ママ)

<マスクやエタノールの不足>

「アルコール消毒のジェルは大ボトルが半分以上あったので、大きなボトル1本を追加で購入した。アルコール消毒はこれだけあれば十分だと思っていたが、マスク同様店舗に在庫がない…このままでは、ネイルアートで使っているエタノールか、ウォッカで代用するしかない気が…」

「感染予防のマスクが手に入らない。気管切開しているので吸引時に使用する消毒液が必要だが、手に入らない。」

<医療的ケアがあるために、居場所がない/サービスが十分に使えない>

「『動ける』医ケア児なので、通常でも受け入れデイ(※デイサービス)がありません。やっと重心(重症心身障害児)のデイに入れて「頂いている状態」なので、休校だからと追加希望が出来ません。(普通でも月2回位なので)。あと、小さい子より、中学生以上は、特に行きにくいです。」

「医ケア(医療的ケア)がないお子さんは支援学校で預かってくれるのに、医ケアだとなんだかんだ理由をつけて預かってもらえなかった。デイサービスはこれ以上増やせないと言われた。」

「医療型特定短期入所施設にしか行き場がない為、臨時休校で急遽需要が増えた時にはじかれてしまうのではないか…という不安がある。」

「休校の影響で普段より人との接触が増えて体調を崩している。支援学校生が朝から児童発達支援と一緒に利用が始まり、普段他の子供との接触のない重心未就学の子供が精神的負担で疲れ、半日発熱した。医師が感染確認しても何も出なかったが、発熱した原因を問わず熱の影響で児童発達の利用と訪問介護やその他レスパイトなども4日間断られその間のサービスを利用できなくなりとても困っている。」

「娘の行ける医ケア児のディは地域に1箇所しかなく定員5名。未就学児~生活介護まで幅広く、そちらには医ケア児ではない方々も利用をしている為、週1~2回が精一杯のようで今月は7回利用になっています。父が時折、深夜の救急搬送があり預け先もなく、母にお願いして父を病院に運んだりと娘を置いて行く心配をしながらの生活です。症状が落ち着き処置して自宅に帰るのが深夜2~3時になることも、翌朝になることも…そんな時、娘は母とリビングに朝まで寝ていて、体調を崩さないかと今度は娘が心配で心が落ち着きません。地域にお願い出来る頼れる場所がないと言う状況は今回のような緊急事態にどう対応してよいのか不安でいっぱいです。」

「医ケアがあり預け先がないため自由な時間もとれず買い物などにも家族の帰宅後にしか行けません。また、きょうだい児の相手もままならず、兄弟児に我慢や負担をさせている。」

<経済的な不安>

「仕事を休まざるを得ないことによる失業や収入源に対する不安がある。」

「気切吸引と胃瘻注入の医療的ケアが必要な重症児(医療的ケア児)で、歩行可能ですが重度(2度)の知的障害の娘7才です。歩行可能のため重症心身障害手当てがもらえないので、家のローンがあり母も就業しないと生活が厳しいので働いてます。今回コロナで仕事を休み迷惑かけたため辞職を考えてます。一刻も早く医療的ケアのある子どもの預け先(放課後デイ)を充実させていただきたいです。消費者金融にお世話になりそうです。切実な願いです。どうかお願いします。」

<通院・通所、移動に伴う感染への不安>

「肺炎を繰り返しているため、感染したら重症化するのではないかと不安。複数の病院に通院しているが、病院での感染、移動時の感染リスクを認識しても通院せざるをえない。」

<身体・精神面への影響>

先ず、障害があることによって行動に制限があるため、社会との繋がりは唯一学校と言っても大袈裟ではありません。特に心身障害(医ケア)のある子は、保護者も家事に加えケアに費やす時間が増える分だけ遊びなどでかかわってあげられる時間も(特に全介助の子は1人遊びも難しい為)少なくなっているので、授業や先生、お友達から受ける刺激が(心身の成長、精神衛生の面)無い状態が続くことが心配です。

また休校によって給食が無いので、食事介助に加えペースト食作り等も増え困っています。」

生活リズムがくるい、夜なかなか寝られなくなってしまった。本人は日中寝る事ができるが、他のきょうだいもいるため私は寝るわけにいかず睡眠不足です。」

「学校で日常的に本人も活発に動いたり訓練的なこと(立位の訓練や摂食)をして頂いていたので、それが無くなり折角向上した能力などが衰えてしまうことが残念です。」

●「どんな支援があったら助かりますか」は、マスクやエタノールの提供と、訪問看護の長時間化 (N=190)

医療的ケア児のデイリーケアに欠かすことのできない物品が行き届かなくなっています。一斉休校および新型コロナウィルス感染症の拡大にともない、医療的ケア児がいるご家庭では、マスク・エタノールの提供や、訪問看護の長時間化を求める声が多く集まりました。「感染予防のマスクや、気管切開しているので吸引時に使用する消毒液が手に入らない」、「家事をしながら3食の食事介助(1回に1時間半~2時間かかる)をしており長期化すると大変」といった、切実な意見も寄せられています。

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マスクやエタノールは、医療的ケア児の日常的なケアに不可欠

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新生児医療の発達に伴い、痰の吸引や経管栄養などの医療的なケアが日常的に必要な「医療的ケア児」の数は増加し、全国に20,000人近くいると言われています。医療的ケア児のほとんどは基礎疾患により多くの専門科(神経内科、整形外科、耳鼻咽喉科、小児歯科、眼科、泌尿器科等)に定期的に受診しており、多いときは、月に4~5回受診することもあります。

医療的ケア児には、日常的に痰の吸引をする必要がある子どもが多く、その回数は1日に15~20回程度。吸引を行う毎に手指や医療器具の消毒するよう厚生労働省のガイドライン*で定められており、1ヶ月で1家庭当たり、500mlの消毒液(エタノール)を2~3本程度使用しています。気管切開をしている医療的ケア児の場合、特に気管カニューレ内の吸引は無菌操作で行う必要があり、多くの家庭では吸引カテーテルを消毒し再利用している状況があります。

新型コロナウイルスの影響で、感染症対策として日常的に使用しているマスクや消毒液が手に入りにくい状況を不安視する声が医療的ケア児家庭から多くあがっています。

*出展元:厚生労働省 喀痰吸引等指導者マニュアル(59ページ 吸引に必要な物品)


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