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2021/07/02

夫婦が一つのチームになるためには?犬山紙子×フローレンス前田「パパの家庭進出の進め方〜子育て家庭と社会のリアル」イベントレポート

    


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2021年5月24日、フローレンススタッフ前田晃平の著書『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!ママの社会進出と家族の幸せのために』が刊行されたのを記念して、note主催で犬山紙子さんと前田の対談イベントが開催されました!今回はそのイベントレポートをお届けします。

―まず、前田さんが『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ! ママの社会進出と家族の幸せのために』を書いたきっかけは?

前田:結婚して、娘が生まれたことですね。フローレンスは男性育休取得率100%だったので、自分も2ヵ月の育休を取りました。それをきっかけに子どもや子育てのニュースが目につくようになって。虐待や出産年齢、女性の社会進出、いろんな社会問題があるけど、みんな当事者として挙げられるのが女性ばかり。

パパも当事者なのにいないことにされていることに違和感を感じて、いろいろデータを調べてnoteに書き始めたら反響がすごく大きかった。日本にはいろんな社会問題がありますが、データを調べれば調べるほど、その根源に男性の家庭進出が進まないことが影響しているのではないか、と気付いて、それを多くの人に知ってほしいと思い、本にしました。

―犬山紙子さんも夫婦問題の本を出されてますね。最新作には家事分担や育児をテーマにした章もありました。

犬山:私は夫のことがすごく好きなので「離婚したくないな」と思っていて。でも関係性はメンテナンスをしないといけない。問題があってもそれを乗り越えた、いろんなご夫婦に話を聞こう!と思ったのがきっかけです。お話を聞いているうちに、これは多くの人に伝えたいと本にしたのが『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』です。夫婦問題のワクチンのような本にしたくて。

―最近だと、パパが保育園にお迎えに行ったり、リモートワークも増えて家でも積極的に育児をしてるという話もよく聞きますが、実際はそうでもないのでしょうか?

前田:もちろんすごく良くなってる面もあります。でも、データを見ると男性育休は7.48%しか取られていない。男性でも育休を取りたいと思っている人は多いんですよ。新卒の男性は8割が育休を取りたいと思っているのに、パタハラで「男が育休なんてけしからん」と言われてしまったり。保育園のお迎えのような、わかりやすい家事育児は男性も引き受けてるけど、外に見えづらい部分に女性に負担が偏っているというのが現状だと思います。

―前田家はどうですか?

前田:自分も育休も取ったし、家事育児やる気満々で臨んだんですよ。でもなかなか上手くいかなくて、何度も妻の地雷を踏み抜いて夫婦ゲンカになりました。産褥期は、女性もホルモンバランスの影響で不安定になっていたりして、さらに母乳育児とか乳腺炎になったりとか、女性の体のことなので男性の僕は介在しにくい雰囲気があって。僕が余計なことを言ってはいけないな、と思って一歩引いて見てしまっていた期間があったんです。でもその間に妻は家事育児のPDCAを必死に回して、効率的なやり方を作り上げている。できあがった仕組みに後から受け身で乗っかる形だと、なぜこうなっているのか分からないんですよね。そこで夫婦の認知の差が開いちゃってケンカになってしまったのかなと思っています。

―例えばどんなことで怒られたんですか?

前田:例えば洗濯物の干し方。乾かない間隔で干しちゃったり。離乳食の味付けの濃さとかも、僕に言わせると「味が濃いとは、どの程度のことを言うんだ?」と思うわけです。でも、妻はいろんなものを調べて検証した上で味の濃さを決めていたんですよね。僕は妻が頑張って作ってくれた仕組みにタダ乗りしてしまっていただけで、そこにリスペクトが足りなかった。家事育児ができないというのは主体性の違いだと思うので、夫婦で一緒にゼロから作り上げて行けたら良いと思います。

犬山:前田さんが的確だと思うのは、情報を自分で取りに行こうとする姿勢。女性から見たら「なんで私が全部司令塔にならなきゃいけないの!?子どものことは2人のことでしょ?」と思ってしまう。そこにご自身で気付くのはすごい。

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前田:僕の本でも女性の愛情曲線の話を取り上げたんですが、出産直後に彼氏・夫への愛情がガクンと下がり、その後V字回復を遂げるグループと、地を這うように低迷するグループの2つに分かれるんです。この運命を分けるのが、妻の出産直後に夫が家事育児にコミットしたかどうか。だから、僕も出産直後の家事育児にコミットして産後に愛情曲線をキープしようと頑張りました。

犬山:この愛情曲線の話は、両親学級で夫もいるところで見たんですよね。我が家は元々家事に夫がコミットしてくれていたけど、産後の女性の身体は大怪我したのと同じくらいのダメージを負っていてズタボロ。体を休めないといけない時期です。その時期に夫が主体的にスイスイ動けるのはありがたいなあと感じました。

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―まだまだ男性が外で一生懸命働き、女性が家事育児、というスタイルのご夫婦もたくさんいますよね。

犬山:男性が働き、女性が専業主婦、という夫婦の形も夫婦の双方が納得しているなら全然ありだと思います。でも産褥期は本当に大切な時期。その時に夫がそばにいられないことにもお互いが納得しているなら良いけど、そばにいてあげたいのにできないのは大問題だと思う。

今は女性の方が仕事もするし育児もする、女性にばかり負担がかかり過ぎている。でも一方で男性の側も会社がブラックすぎて、でも仕事を辞めるわけにもいかないし、どうしたらいいの? という人もいる。それならそれで妻が孤立しないようにする工夫が必要。例えば夫がバリバリ働く代わり、その稼ぎの中から家事代行サービスを頼むとか。

前田:男性も気持ちは変わっているんです。でも日本は世界で一番労働時間が長い。よく男性の家事育児時間はスウェーデンと比較されるのですが、スウェーデンの方が2時間も長いんですね。理由は簡単で日本人の方が2時間多く働いているから。それが産後の大事な時期に妻を孤立に追い込み、児童虐待やネグレクトなど悲しい事件に繋がっている。

男性の産後うつも問題になっています。男性も子どもが産まれて頑張らなきゃと思っているのに仕事も多すぎて鬱になってしまう。

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―犬山紙子さんのお家では元々パートナーの方も家事育児を担当されているそうですね。

犬山:夫婦で妊娠中から密にコミュニケーションを取っていました。最初から一緒だと頼れる相棒で心強い存在です。でも、男性が育休取りたくても、社会の側が許してくれないという人もいる。育休を取ったらキャリアに影響があるんじゃないか?という恐怖があるのかなと感じます。でも女性は強制的に休まなきゃいけない。労働時間も偏りがあるのもおかしいですよね。

夫婦で冷静に話し合って決められるべきなのに、女性が当たり前のように時短勤務を取らされる。社会の先入観やジェンダーバイアスによって男女共に苦しくなっています。男性も育児する権利を奪われてしまっているとも言えますよね。

前田:子育ては大変だけどすごく楽しいし、自分も育てられる貴重な経験だと思います。その体験をする機会を奪われている。人生に何度もない素敵な機会がなくなっているという認識を持ってほしいです。

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子育ては幸せだけどものすごく大変 SOSを出して外部サービスに頼ってもいい

―犬山さんも(子どもといると)「こんなに幸せでいいのか?」と書かれていましたね

犬山:あー幸せ!と思う時と、あー、大変!と思う時と、ジェットコースターみたいですよ。笑 でも男性だから外で働け、女性だから育児しろ、と決められてしまうと辛く苦しくなってしまう。

前田:育児で苦しくなったとき、ぜひ積極的に社会にSOSを出してほしいです。フローレンスもいろんな支援サービスを提供しています。女性が育児を外部サービスに頼ろうとすると批判的なことを言う人もいますが、子どもはいろんな大人と愛着形成ができることが様々な研究から分かっています。いわゆる「孤育て」をどうにかしたいと思っている団体やサービスも世の中にたくさんあるので。

犬山:前田さんの著書にも「子育ては自己責任?」をテーマにした章があって共感しました。子どものことは母親の自己責任じゃない。でも周りから「そんなの自己責任でしょ」と言われたらSOSが出せなくなってしまう。
私も育児で大変な時に欲しかったのは、「私もこんなSOSを出したよ」「こんな風に家事育児サボってるよ」「こんなサービス使ってるよ」とかそんな話が聞きたかった。自治体や社会の支援もあれど、そこまでいくハードルが高いですよね。

前田:外部サービスに頼ろうとしてもお金がないという話も、とても大きな問題です。日本は家族関連支出が諸外国と比べてものすごく低い。日本は政治が「自己責任で子育てしろ」という制度になっている。例えばシッター代の補助が出なくてすごく高額だったり。その負担が今すべて女性に行ってしまっている。その分、男性がめちゃくちゃ働かされて定時に帰れない、と悪循環に陥っている。行政や政治の立場から、子育てしやすいように積極的に投資をする必要があると思います。

犬山:財政をケチったツケは、全て女性が払っているということですよね。そもそも今はコロナ禍だし、そこまで緊縮財政にするべきなの?とも思います。子育てにかけた支出は将来大きくなって帰ってくるし、そもそもそこを手当しないのは人道的ではないですよね。

前田:当然、日本は民主主義だから、票が集まるところに政策が手厚くなる。でも子どもへの支出は最終的にはみんなにとって良いものとして返ってくると認識してほしいです。これは政治家にも知ってほしい。

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社会を変えるために、まずどんなことをするのがおすすめ?

―例えば前田さんは記者会見などの、社会を変えるためのアクションを行っていますが、政治に対して言いたいことがあった時にどんなことをするのがおすすめですか?

前田:第一はまず問題に気付こう!ということ。的外れなこと言っても解決にならないので。家庭で家事育児をやらなかったら、そもそもその問題に気付けない。

それから、よく「声をあげよう」と言われるけど、その先に「声を届ける」というアクションがある。記者会見のような大袈裟なことでなくてもいいんです。地域の市議会議員、区議会議員さんって、メールを送ると普通に返信くれるんですよ。Twitterで140文字打つのを、地元の議員さんにメールを送ってみてほしい。「そんなことで困ってたんだ!」って飛んできてくれます。それをやらない政治家には投票しなければいい。

最近だと、ポリテックという分野があります。例えばissuesというサービスは自分の住んでいる地域の問題を勝手に集めて政治家に届けてくれる。地域の選挙は10票くらいでもとても重要なので良く動いてくれるんです。

―自分の身近、例えば会社などで起こせるアクションはありますか?

前田:男だから女だからっていう昔ながらの価値観が日本はすごく強いなと思う。女性側にも保守的な考えの人も多い。そういう雰囲気を変えるには、男性が育休を取るだけじゃなくて、「育休取ったぞ!」ってTwitterで書いて、それをみんなで褒めまくる。何かやると批判的な意見はたくさん集まるけれど、良いことをしてもなかなか褒めてくれないから。

―20〜30代の感覚はそうなってきているけど、その上の世代はまだそこまでなってない。そういう人たちを変えるには?

前田:妻からの「私家事しない」宣言なんかも効きますよね。やっぱり嫌われたくないはずなんですよ。ガツンといくのも時には大事なのではないかな。もちろん夫婦でちゃんとした関係性、信頼関係があるのは大切だけど。

犬山:私がインタビューしたとあるご夫婦では、妻が夫に関する家事を全部放棄したらしいです。1ヵ月くらいひたすら忍耐だったそうですが、1ヵ月くらいしたら夫が家事をやりはじめた。夫の側も元々家事をやってこなかったことに罪悪感があって、その罪悪感にさいなまれるより、家事をやってしまった方が楽になると。

前田:家事や育児について、夫婦の間で認知の歪みがある場合もあります。夫側もちゃんと家事育児やってるつもりなんですよね。
僕が妻と大喧嘩したとき、「今のままだと私が復職した時に回らないから、あなたも家事育児もっとやってよ!」と言われた。自分はめちゃくちゃ家事も育児もやってるつもりだったから喧嘩になって。「じゃあお互いがやっている家事育児を書きだしてみようぜ!」と書いていったら自分の筆は止まるのに妻からはどんどん出てくる。最後は僕が、もう勘弁してください、という感じに……。

小さな見えない家事がたくさんあるんですよね。そこをきちんと夫婦でチューニングしておくことが大切だと思います。

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―視聴者からの質問:夫婦が仲良くいるための秘訣は?

犬山:私は、精神科医の方が書いた本を鵜呑みにして実践しました。まず、「あなたと私は味方同士だよね」と確認する。照れてもいいんです。まず話し合いの席について、私たちは結婚して同じチームだよね、味方同士だよね、と確認する。「愛してるよ」も大事なんだけど「味方同士でチームとしてどうやって回していこうか。私、このままだったら追い詰められてしまいそうだから、チームのためにどうやったらベストか話し合おう」という話の持っていき方をしました。

前田:お互いに認知の歪みを是正することが大切と思います。「女性は家事育児」というライフスタイルは大正昭和時代にできたもの。僕自身も、日々妻の地雷を踏み抜きながらやっています。家事育児の認識の違いをパートナーとお互いに是正していくことが大切。

夫婦がパートナーでいられているなと思えるのはすごく幸せなこと。家に帰るのが楽しみになります。育児も「お母さんじゃなきゃダメ」なんてことはない。子どもの愛着形成はお母さんとしか築けないというのは科学的に否定されているんです。お母さんとしか時間を過ごしてないから、お母さんとしか愛着形成できていないように見えているだけで、お父さんもしっかり育児に関われば愛着形成はできます。

―視聴者からの質問:6月出産予定。夫も1年育休取得予定。いろいろシェアしているが、産後のメンタルの変化で相手を傷つけてしまいそうで心配です。

前田:知ることってすごく大事。そもそも産褥期に女性の気持ちが不安定になるのはもう避けられないこととして認識する。男性もそれを認識しておくことで覚悟ができます。産後は一見健康そうだけど、女性の内面ではものすごい変化が起きている。事前にそういう期間なんだと知っていれば、つい先日命懸けの出産をしてくれた妻なんだから、少しの間八つ当たりされても耐えられるんじゃないかな。

犬山:パートナーと認識を共有しておくことは大切ですよね。例えばPMSも「そういう時期なんだな」と思ってほしい。彼も自分をあまり責めすぎないように。女性の浮き沈みによって八つ当たりもあるかもしれないけど、その時自分を責めすぎないようにしてほしいです。

―最後に視聴者にメッセージを。

犬山:この『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』は体験談に加えて、いろんな客観的なデータが詰まっていて、理論的に納得できる本!おすすめです。

前田:「パパの家庭進出」というテーマで執筆しましたが、僕はご自身の幸せについて考えてほしいと思っています。子育ては貴重な体験だし、子どもの成長はとても早い、かけがえのない時間。ぜひそれを体験してみてほしい。すごく視野が広がると思う。仕事だけの人生は仕事脳になってしまうけど、世の中はもっと多角的だし多様なので、いろんな視座を得る良い時間にしてほしいと思っています。

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『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!ママの社会進出と家族の幸せのために』(前田晃平・著)
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